ある日突然、国賊に(後編)

〈以下、昨日の日記続き〉

前回の日記で書いた通り、日本学術会議は1950年に「戦争を目的とする研究は行わない」と声明を出しているため、日本国内の防衛技術の研究はちーっともやらない。昨今、中国の脅威が迫る中、そんな役に立たない人たちに10億円以上の税金が使われてしまっている事に、門田さん達は先述の動画の中で憤っていた。

そして、ツイッター等で数多くリツイートされているのでご存じの方も多いと思うが、お昼にやっているバイキングという番組でフジテレビ上席解説員の平井 文夫さんという人が、学術会議で使われているお金について以下の解説を行ったって、、、動画を張ろうとしたら既に消されていたので(^^;)、その解説をまとめたbuzzfeedの記事をここでに紹介させていただきたい。

で、この人が何を言ったかというと、学術会議の会員は6年間働けば、今度は日本学士院というところにいって、その後は、我々の税金から年間250万円の年金が死ぬまでいただけるとの事だった。これを聞いたスタジオの芸能人は「えっ∑(゚ロ゚〃)!」て感じのリアクションを取っていた。

しかし、この解説にはツッコミが殺到。日本学士院に行くには非常にハードルが高く、学術会議のメンバーでも必ずしもなれるとは限らないとの事なのだ。よって、翌日にバイキングは早速訂正のコメントを出す事態となったw。てか、正直こんなしょうもない番組をやってるんなら、「笑っていいとも!」を返してほしいと思うのは私だけだろうか。

で、こういった話が世に出た結果、日本学術会議は、

①日本の防衛には役に立たないくせに中国の為には働く売国軍団。

②大した生産性もないくせに、年間10億円をかっさらう既得権益の鏡。

というイメージをもれなく植え付けられることとなる。

①については、色々言われているが、名簿を見ると経済学、医学、法学の先生たちも大勢いて、まさかこんな人たちが中国に軍事協力をしていたとも思えない(てか、したくてもできないだろw)。ていうか、中国との覚書がそんなに問題ならば、親中すぎるとアメリカに突っ込まれた人が幹事長をやっている政権与党の方が、国防上の大問題だと思うのは私だけでしょうか??

②の10億円についても、私は安いと思う。あの、安倍晋三のヒットナンバー「アベノマスク」のコストは約260億円、サービスデザイン推進協議会→電通への中抜き疑惑金額は20億円。こんなもんの方が、よっぽど税金の無駄だ。

しかし、実態はともかくとして、前述①・②のイメージは偉大なコメンテーターの先生たちの後押しもあり、瞬く間に広まった。具体例として↓、

引き続き、門田さんはブチギレまくり(;´・ω・)。

こちらはフィフィさん。軍事をやらないことでブチギレ(◎_◎;)。

こちらは大阪でおなじみ辛坊 治郎さん。彼は、日本学術会議に税金を払うのは無駄では?との主張。

こういった人々のツイートや動画。そして、これらに対する肯定コメントを見ていると、不特定多数の人々から、日本学術会議はネットリンチを受けていると言っても差し支えないのではないかと思う。どの程度、中国の軍事に貢献した等のまともな検証や確認もロクにないまま、彼らはある日突然、「国賊」にされたのだ。

学術会議の人だって、当然に家族や仲間もいるだろう。仮に自分の家族、友人、恩師がこんな目にあっていたら、私なら耐えられない( ノД`)。

すっかり沈んだ気持ちで、「日本を守れ」、「なんで日本の軍事開発はしないんだ?」とお怒りのコメントを日々大量に見ていたら、私はふとこの作品を思い出した。

                 ↓

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私も流石にリアルタイムの世代ではないが、ファミリー劇場というCSチャンネルで再放送されていたのを一時期ハマって見ていた。そして、思い出したシーンはこちら。ちなみに71話。

                 ↓

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ある時、電波攪乱装置が欲しくなったショッカーは電子工学の博士をかっさらってきた。

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そして、名優: 潮 健児さんが演じる地獄大使が、↑の岩をアンテナ代わりにして、博士に電波攪乱装置を作れと迫る。

地獄大使「あの天のごときそびえる岩が、我がショッカーの中継アンテナになるのですぞ。」

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博士「断る!日本全国の通信網を破壊するような計画には手は貸せん!!」

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地獄大使「フハハハハハ!強がりは辞める事だ。今に『うん』と言わせる!」

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地獄大使「(人質の)死刑執行の準備をしろ!」

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地獄大使「そうです。我がショッカーに逆らう者は、すべて死あるのみ!」

・・・そして、この後博士は仮面ライダーこと、若いころの藤岡 弘さんに無事救出されてるというお話。

で、こちらのシーンに、学術会議はけしからん、売国、税金の無駄と言っている人々の言葉を当てはめて見た。

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アンチ学術会議勢「博士。中国がヤバいから、イケてるかっこいい防衛兵器を作ってもらいますぞ。」

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博士「断る!人を殺すような研究には手は貸せん!!」

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アンチ学術会議勢「学術会議民営化の準備をしろ!!」

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アンチ学術会議勢「そうです。逆らうのなら、税金による老後のお小遣い(年金250万)はありませんぞ。」


って、私は一体何を作っているんだろう(^^;)...、と感じる反面、悲しいかな大して違和感を感じない。

学者さん個人の意思とか、思想とかを一切無視して、「税金をもらってるんだから、日本の防衛をやれ」とネット上で罵詈雑言を浴びせるのなら、それはもうショッカーと変わらんレベルになるのではないだろうか?

そして何よりも恐ろしいのは、こうした行為を自民党議員や評論家が率先して行い、そして、決して少なくない人々それを支持している事だ。

この国は医者に続いて、ついには学者の集まりも守らなくなった(ていうか、菅を守るために、みんなして襲いだした)。

医者は自分の体を治してくれる。学者は自分の知らない事を教えてくれる。

そんな人々を弾圧する国が、どうやって発展するんですか?

こんなんで、どうやって中国に勝つんですか?

この国がどこを目指そうとしているか、

正直、私にはわからない。


P.S

今回、私が疑念に思ったことをこちらの記事が数多く答えてくれたので、リンクを置いときます。






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