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楽曲紹介

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配信曲の紹介
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#utau

消滅後の世界

2019年に配信した両A面シングル『東京零年/消滅後の世界』に収録している曲です。1曲目の歌詞内容から随分時がたった、ある日の場面をイメージした歌詞で、主人公は「彼が見ている世界」のなかにいて、世界が「消えてゆく」ことで始まりを示唆してみた内容です。また、後半にあるピアノ・ソロの箇所は、この曲のサウンド・データを解析し、それをシーケンス・データ化したものを手を加えないまま演奏させてみたものです。 彼が見ている世界のなかでわたしは 眠い目をこすりドアを開ける ねえ、窓の外に見

サマンサ・リリー

▶ Spotify ▶ Apple Music 「サマンサ・リリー」は、2018年に配信したアルバム『ソラ・アオイデー』に入っている3拍子の曲です。 黄昏に沈む電飾の都會(みやこ) 大虚(おおぞら)に輝(ひか)る百千(ももち)のヱレクトロン 星の静寂(しじま)に合成の女神 噫(あゝ)響く聲はソプラノの挽歌(ヱレジー) 官能の廃墟は此処に 目眩(めくるめ)く回路は動き 花咲き謡う機械 サマンサ・リリー 幻影で出来た硅素(シリコン)の妖精(ニンフ) 其の意識は遠く海に灌

データ・イン・ダスク- Data in Dusk

「データ・イン・ダスク」は2018年に配信した『アストロライフ@サイバーパーク』収録曲です。 *************************************** 薄暮れの空に霞んだデータ(架空の) 静かな郊外に出現するあの未来 見慣れないロボット(虚数)装置の残骸 電子の赤い眼がこの場所を覗いている いま、すべては流れ出し(消える) 浮かぶ記号を拾って 遠くまで情報の霧が、 *************************************** ■『アストロライフ@サイバーパーク』 https://taizi.website/disc/astrolife_cyberpark.html https://linkco.re/YV4rZmVA

暮らしのルナ

「暮らしのルナ」は、3拍子の、シンプルなフォークソング調の曲です。19歳の頃に作った曲をリメイクして、アコギの伴奏をメインにUTAUで歌わせています。2018年に配信した『ソラ・アオイデー』収録曲。 ********************************************* G 朝早くから刈り入れものを 大地の奏でる調べのなか 河は流れ雲はちぎれて 山々の楼閣はそびえる Em  Bm/D C  GMaj7 Am7 G D7/F# 長い黒髪   を肩 まで 垂らした Em   Bm/D C GMaj7 Am7 G 女は空を見上 げ深くう  なず く 日が暮れると服を繕い 神への踊りで身を清める 星は光り月は輝き 曖昧な空は人を包む 明日を見つめている黒い瞳で 女は今日の無事を夫に伝える ********************************************* ■『ソラ・アオイデー』 https://taizi.website/disc/sola_aoide.html https://linkco.re/MqHV191Q

Ambiguity

「Ambiguity」は2014年に配信した曲です。スローでアンニュイな、5小節のミニマルというか…。タイトルは「曖昧さ」「両義的な」という意味で、アンビバレンスと似ているようで違う言葉という。UTAUの歌唱によるループの箇所は「ことばはうたになって」 『Butterfly Mode』というシングルの2曲目として配信しました。 https://linkco.re/1dU6BsxB

新サイレンス

▶ Spotify ▶ Apple Music 「新サイレンス」は、2018年に配信した『ソラ・アオイデー』の3曲目に入っている曲です。 とても暑い夏の日に 白い雪が落ちてくる それは輝きを増し 記憶よりさらに白く積もり 映像のなかで 比喩のように沈む夕陽 言葉はなく 薄れてゆくあの空 やがてその光景は すべての線を消し去って まるで偶然のように 昔聴いたあの旋律が 音もなく不意に 砕け散って宙に散らばる それはつかの間の 新しい沈黙 もう思い出さなくなったあの日々

エンジェル・オンライン

▶ Spotify ▶ Apple Music 「エンジェル・オンライン」は、2018年に配信した『ソラ・アオイデー』に入っている「14/8拍子」の曲です。 私はL(エル)。フォークシンガー。それは嘘。あなたにとって天使、あるいはエージェントのような存在。でも、ここにはいない。どこにでもいる。別の星から来た。そこはとても遠いから、あなたの意識では届かない。プロキシマ・ケンタウリ。地球から近い。もう何も伝えない。 (ノイズ交じりの演奏が大きくなる) あなたは今「音楽の

さよならアイジェーン

▶ Spotify ▶ Apple Music 「さよならアイジェーン」は、2018年に配信したアルバム『ソラ・アオイデー』に入っているフォーク調の曲です。 そのとき彼は窓辺に立って誰かと笑っていた 随分前に流行った歌がどこかで流れていた 記憶の中で笑っている彼は光より影より淡く フレーズはまた同じでまるで響かないラジオのように あれからかなりいろいろあって、つまり月日は流れ 多くの些細な出来事を順に整理して話してみたい 伸ばした髪も短く切って澄ました顔でつぶやく さよ

UTAPIO - EP

『UTAPIO』は、いつか変わる世界の手前にいる感じで、いまその中間にあるような歌やメロディーなどを織り混ぜながら、いくつかの環世界を仮構してみたエレクトロニカ作品です。2017年に配信リリース。 「薔薇科三組」は、短めのボカロ曲で、アニソンのような曲。この曲は、AIチャットボットのように、言葉を発している主体がヒトなのかAIなのか、そのどちらでもあるかのような意識みたいなものをイメージしながら、ヒトだけを含んで閉じているわけではない「わたしたち」を想定してつくりました。言

VINT CLOUDY LIGHT - EP

『VINT CLOUDY LIGHT』は、機械が「機械的」でなくなっていく兆候と一緒に、ヒトの輪郭が曖昧に定まらなくなっていくような霞んだ境界線をイメージして、R&B、ポスト・ロック、ダブ、実験などを混濁させてみたエレクトロニカ作品です。2016年に配信リリース。前年に配信した『Singularity C-Model』に続き、そして翌年に配信した『UTAPIO』と共に、この時期に出した4曲入りのEP(ハーフサイズ・アルバム)のひとつです。 タイトル曲「Vint Clou

idAmsyn/Flowering Period

「idAmsyn」は、アルバム『RIKANOID RIKANOIA』(2014年)の4曲目に収録されている曲です。 タイトルの「idAmsyn」は「dynamis」という単語のアナグラムで、文字の配列を変えると「say mind」などにもなります。ほとんど無調の曲なのですが、コードが一箇所だけ出てきて、そこが無調の外部になるというか。そのコードは「Am」で、譜面上に1小節だけ「Am」のコード表記がある感じです。途中、短い歌の箇所は全音音階(ホールトーン)です。 さあ、今夜

RIKANOID RIKANOIA

「RIKANOID RIKANOIA」は「遥梨華乃(ハルカリカノ)」というキャラクターが、情報として音楽の中に組み込まれているというコンセプトの、メディア・ミックス的なエレクトロ・ポップです。全4章からなり、すべてを1つのトラックにまとめています。 1章 モールス・リズム「ねえ、わたしはリカノ」 2章 圧電効果(Piezoelectric Effect) 3章 翔べないアンドロイドの運動を助けるために 4章 リカノの二つの夢(謎の要塞&ワルツ・リカノ) 1章は、下のテキス

サテライト予告編

EP『Singularity C-Model』(2015年)は、音楽がこの先どう変わっていくのかを、既存の形式にとらわれずに実験した4曲入りEPで、新しい生命みたいなサウンドを意図したハーフサイズ・アルバムです。「サテライト予告編」はその中の一曲。タイトルに「予告編」とありますが、本編があるわけではないです。時間は7分。映画のモンタージュのような構成と、SF的な内容の曲です。 [ 歌うよ ラララ 聴こえるでしょ ねぇ あなたと ] 狭く閉ざされた場所で眼に欲望をみなぎらせ

メカプラント・アイカ

アルバム『アストロライフ@サイバーパーク』(2018年)4曲目に収録されている6分弱の曲。ピアノやディストーション・ギター、機械音や自然音による、やや長めのインストです。 タイトルの英表記は「Mechaplant Aica」。少々奇抜な「Mechaplant」という造語の「plant」には、「植物・工場」といった意味がありますが、キネティック・アートのように、金属でできた異世界の植物がうごめくような音像形象によって、歯車を回すことで花弁や葉、茎などが一斉に動くメカニズムを現