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TRPG制作日記(506) 舞台設定の四つの起点

現代稲生物怪録TRPGは洋館からの脱出を目指す対話型ゲームです。プレイヤーは推理したり対戦したりしながら、脱出に必要な銀の鍵を探します。

ある朝、四人の高校生が目を覚ますと洋館の正面広間にいた。広間にはスリコギ手と名乗る着物姿の娘がいて、明日の二十四時までに銀の鍵を手に入れることができなかった場合は全員を妖怪館に永遠に閉じ込められると伝えた。銀の鍵は洋館にいる妖怪が盗んだ可能性が高いようだ。また、銀の鍵を手に入れるために、補佐として妖怪が封じられたカードをそれぞれの高校生に渡していると教えてくれた。確認すると、確かに六枚ずつカードが配られている。さあ、高校生達は無事に銀の鍵を手に入れて妖怪たちの暮らす洋館から脱出することができるのだろうか?

現代稲生物怪録TRPG

ゲームはアイデアの集まりであり、できるだけ多くの面白いアイデアを発想する必要があります。

ゲーム制作において、私達が舞台アイデアを発想する場合に、起点となるのは直感的には以下の四つになります。

(1)舞台起点

(2)物語起点

(3)人物起点

(4)企画起点

舞台起点というのは、舞台のイメージから舞台設定を考えることです。月を舞台にしたゲームにする、学園を舞台にしたゲームにするなど、物語が展開される場所を最初にイメージして、それから舞台設定を考えます。

現代稲生物怪録TRPGでは、妖怪が棲んでいる洋館のイメージから舞台設定を考えて行くことが該当します。

洋館には妖怪がいて、脱出には銀の鍵が必要で、妖怪が銀の鍵を隠していて、妖怪を説得するためには対戦が必要で、対戦はTCG形式で行い、TCGは妖怪を召喚する形式にする。

このような流れで設定を考えて行くのが、舞台起点による設定の生成です。


物語起点とは、特定のシーンや結末からアイデアを膨れませていく方法です。

たとえば、主人公がある日自分と同じ顔を持つ他者を見つけて、実は世界は四つあり四つの世界に自分のそっくりがいて、主人公の正体は魔王でもともと世界は一つで、魔王を封じるために魔王と世界を勇者が四つにわけて最後は魔王が倒されるという発想法が、物語起点となります。

現代稲生物怪録TRPGにおいては、銀の鍵の正体とは何か、銀の鍵を盗んだ妖怪の目的は何かからアイデアを生み出していく方法が該当します。主人公達が召喚された目的を決めておいて、どのような舞台にすればそれが効果的に明らかにされていくのかを考えます。

物語が決まれば、必要となる舞台の設定が決まります。


人物起点とは、登場人物の個性を決めて、個性を際立たせるように舞台の設定を考えて行く方法です。

稲生物怪録の平太郎は、武士道、儒教を信念とする武士です。つまり、妖怪というエンタメなんて幼稚だと思っています。

また、怪異を怖がる庶民を軽蔑しています。

このような人物の個性を際立たせるためには、当然、妖怪が登場する舞台が適切でしょう。彼はどこまで妖怪を無視できるのか、彼の武士道と儒教は妖怪に屈服するのか。

結論としては、平太郎は妖怪を最後まで無視して、日本男児の武士道、スピリッチャルに夢中になる人間は愚かという信念に妖怪が屈服します。なお、黒幕の正体は外国妖怪の魔王でした。魔王は日本の支配権を巡って、日本妖怪と日本人がどれほど無神論なのかで賭けをしていたのです(この世界には妖怪が存在していて、実際に存在する妖怪を信じないという点では、平太郎はドン・キホーテのようなイデオロジストです)。

現代稲生物怪録TRPGには、平太郎の子孫が登場します。そして、平太郎と同じように科学至上主義、妖怪を馬鹿にしていて、彼の個性を際立たせるために妖怪世界を舞台にします。


企画起点とは、企画から舞台アイデアを考える方法です。

現代稲生物怪録TRPGは、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGと同様に初心者を想定しています。

よって、世界観はシンプルに、そしてTRPGの対話という面白さが楽しめるような舞台が要求されます。

ゲームマスターが運営しやすいように、舞台を限定して、それから部屋を移動するように、部屋には一体ずつ妖怪が居るようにします。また、銀の鍵を導入することでシナリオ攻略の目的を明確にします。



今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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