見出し画像

②絵本ライバルの原画どんなものなのか

noteタイトル

ボクが2021年11月6.7日に開催した
絵本「ライバル」原画展

2日間という短い間でしたが165名ものお客様に来場いただきました。

実際に原画展に来られなかった方も、写真にはなりますが、絵と解説を交互に見て展覧会の世界をお楽しみください。


P1 負けたくないや

画像3

勝負の世界には、2種類の結果がつきものです。ですが、この絵本ライバルでは結果ではなく勝負をするまでの過程に目を向けています。
 勝ち負けという2つの道の中には、様々な過程があり「勝とうとして勝つ」「勝とうとしてないのに勝ってしまう」「負けたくないけど負ける」「負けようとしたのに勝ってしまう」など勝ち負けの背景は様々です。結果だけを見て「頑張ったね」と評価していては「勝とうとしてないのに勝ってしまう」の人には良い効果を与える言葉とは思えません。ただ、そのような気持ちで得た結果だとしても自分に負けた事を悔やみ自分に「負けたくないや」と思っていればどうでしょうか?
 この絵本ライバルサブタイトル「負けたくないや」という言葉には、強がっていても本心では悔しくて再度チャレンジする気力や、何度でも失敗してもいいというメッセージを込めました。


P2 どんなに負けてもいい

画像4

「頑張っているのに負け続けてしまう」「何度やってもうまくいかない」こんな状況は大人でも、心が折れてしまいます。でも子ども達は、それに加え「どうやったらうまくいくのか」などの原因がわからない状況がほとんどでしょう。その原因や解決策やヒントを教えてあげられる周りの人の支えは必要不可欠です。ですが勝ち方を教えてしまうと「どんな方法でもいいから勝つ」のように、その勝負意外には使用できないスキルや経験が身についてしまいそうです。勝負のいいところは、例えその勝負に関係のない事柄に出会った時にも「あの時の経験があったから頑張れた」のように勝敗の結果以上に人生の生きる上で役に立つ事も得られることが勝負の良いところなのかもしれません。だから、どんなに負けてもいいんです。全敗してもいいんです。結果よりも大事な事が身につくのなら


P3 いつも負けてもいい

画像5

いつも負けていると、もう勝負する気すら起きてこない様子が想像できます。でも勝負に挑戦するときは、少しでも可能性があるときです。「もし次やったら勝てるかもしれない」「運が良ければ勝てるかも」など、少しでも希望があることが必要です。
 いつも負けていいです。ただチャンスや希望を見つけてあげることで挑戦する意欲が少し湧いてきます。それを見つけられるかどうかで何度でも挑戦できます。チャレンジなんて誰にでもできるわけではありません。その経験はチャンピオンにはできない経験なので、いつも負けてもいいですね。

P4 だれに負けてもいい

画像6

この絵本のタイトルはライバルなので、自分を含め誰か競争相手がいる様子が想像できます。ボクも小さい頃ライバルがいて、そのライバルだけには負けたくありませんでした。でも、そのライバルだけに気を取られていると、そのライバルがいなくなった時に、そのライバルだけに勝つ方法や手段だけを考えていたことに気がつきました。誰かに勝つためではなく自分を高めることがライバルに勝つためにも、自分に勝つためにも勝負の良いところを引き出す為にも大事なんですね。だから誰に勝ったか負けたかじゃないんですね。
 ちなみに、この絵は一番最後に描いた絵です。クラゲがたくさんいる絵です。クジラの相手だけに気を取られて勝負の仕方がわからない、自分より小さなクラゲ達に囲まれて困っているようにも見えますね。

P5 勝たなくてもいい

画像7

勝つこというは、それはそれで目標が相手ではなく、自分との勝負になっていきます。なんとなく勝ってしまった時なんかは、この言葉が身に滲みそうです。
 勝負に挑戦していると次から次へ問題や試練や課題が出てきて、それをクリアしていくとこになります。練習や訓練や勉強など辛い時もありますね。「勝たなくてもいい」という言葉は慰めの言葉ではなく、その浮き上がってくる問題や試練や課題を、練習や訓練や勉強によって乗り越えて奥深さを追求していく言葉なのかもしれません。

P6 勝てなくてもいい

画像8

「勝たなくていい」と似ている言葉ですが、違う意味の言葉です。「勝たなくてもいい」は少しブレーキをかけた言葉です。無理をしたり自分を追い込んでしまう時のイメージがされます。一方「勝てなくていい」は少し諦めてしまう姿がイメージされますよね。勝負にとって大事な事を見つけたり、学んだり、教えたりする上では、この”たった一文字”の違いを見逃さないことも大事なのかもしれません。
 ちなみにこの絵はライバルの絵本を描くと決めて一番最初に描いた絵です。絵のベースはこの一枚から始まり、絵本ライバルはこの一枚から始まりました。


P7 「勝ちたい」と思ってもいい

画像9

「勝ち負けが全てじゃない」この言葉は近頃よく聞くようになりしまた。これは自信を無くさない為に使われたりする良い言葉でもあります。一方よく聞くようになったことで勝とうとしていることや高い目標が恥ずかしい事のような環境になっている気もします。そう思う人が多いか少ないかではなく勝負の世界には特に自分の気持ちに正直になるかどうかで、努力の仕方や意欲によっては結果が変わってきます。
 どんな環境下でも勝負に挑戦するのは自分自身。周囲に流されず自分の気持ちに正直になって挑戦する事ができる環境で子ども達が勝負に挑む事ができるようにと、この言葉を選びました。


P8 「負けたくない」と思ってもいい

画像10

「負けたくない」という言葉は、最下位との恐怖と戦っている場面がイメージできる言葉でもあります。勝負をする人数が2人でも大人数でも最下位という結果がある場面で挑戦しようとしている様子がイメージできます。
 勝敗がついて、負けという結果になった時によく「残念だったね」と声をかけてしまう事がよくあります。この「負けたくない」は、少しだけ負ける自分が想像できている時に使う言葉ですが挑戦する炎はまだまだ消えていません。結果が最下位になってしまったとしても残念ではなくてまた挑戦できる声かけをしてあげたいですね。
 この「負けたくないと思ってもいい」は誰かに挑戦を諦めさせたくない意味合いもあり、どんなに不利な状況下でも挑戦しようとする人を応援する言葉でもあります。諦めるかどうかの最終分岐点は本人しかあり得ません。だからどんなハンデがあろうと誰もが無理だと言おうと「負けたくないと思ってもいい」


P9 「勝てる」と思ってもいい

画像11

もちろん勝負をするからには、勝とうとして挑戦することがほとんどでしょう。でも油断は禁物です。勝負の世界は最後の最後まで何が起こるかわかりません。ゴールテープ直前で抜かされてしまう。そういった苦い経験ができ学ぶことも勝負の世界の魅力お一つかもしれません。「勝つ」ではなく「勝てる」という事なので、自分への慢心や過信がある状態を表現しています。そして「勝てると思ってもいい」は自分では気づかない心を確認する事のできる言葉です。


P10 「勝たなくていいや」と思ってもいい

画像12

「勝たなくていい」と「負けてもいい」は似ている言葉のようで恐ろしく違うことに、この絵本を作っていて学びました。「勝たなくていい」と言うことは引き分けでもいいと言うことです。つまり再会にならなければいいやと言う、自分よりも下の存在が意識できていて、真剣勝負をしている人には失礼な気持ちや思いなのかもしれません。「負けてもいい」と「勝たなくてもいい」同じような言葉だと思って聞き流していると、その奥に隠された気持ちに気づくことができないのかもしれません。


P11 負けてもいいやと思ってもいい

画像13

「負けてもいいや」は諦めの場面がイメージできる一方で「負けてもいいから最後まで頑張ろう」と言う挑戦的なイメージもできる言葉のように感じています。どちらかというと相手よりも自分の心の中で生まれる言葉で、この言葉を言う前にきっと何かあったようにも思えます。例えば「勝つ希望が全て無くなってしまった時」「練習や努力ができない状況の時」「相手の実力を知ってしまった時」など、負ける事が現時点で、ほぼ確定し負けを悟ってしまった時の様子がイメージできます。
 ただ、この言葉で重要なのは「負けてもいいや」の「も」の存在です。この「も」があることで「負けてもいいや…でも最後までやり遂げる」のように勝負に負けけるけれども、何か解決策や代用作がある時のようにも思えます。ネガティブな言葉のように思えて、まだ挑戦する小さな炎が消えていない様子も想像できて、まさに「試合に負けて勝負に勝つ」が似合う人は、負けが確定したとしてもこの言葉を使うかもしれません。


P12 悔しいならそれでいい

画像14

勝負に関わる感情は、ここでまとまりました。そしてボクが絵本を通して伝えたかった事がこの一言には詰まっています。強がったり、嘘をついたり、泣いたり、笑ったり、傷ついたり、弱いふりをしたり、勝負の世界には必ず自分を含めた相手がいて様々な感情がつきものです。勝負の先にどんな結果や思いが生まれたとしても「悔しい」ならそれでいいんです。
その自分の中にしかない気持ちと正直に向き合う事が勝負にとって、これからの未来にとって必要なエネルギーとなります。ボクはこの絵本をかいて、それを学び、そしてみなさんに伝えます。



いかがでしたか?

お気に入りの絵はありましたか?



この絵には「水しぶき」や「雫」が多く表現されています。それが見る人によって、「汗」に見えたり「涙」に見えたり。この2つは勝負にはつきものかもしれません。

勝負に勝つために練習で汗を流す、勝負の最中に冷や汗、勝って嬉し涙、負けて悔し涙なんてこともあります。みなさんはどのように見えましたか?
 絵本は、皆さんの今の感情や経験によって味方が変わります。そして同じ絵本の内容なのに新たな発見が大人になってからある事もあり、それが絵本の魅力であり、絵本が世代を越えて長く愛され続ける理由なのかもしれません。



画像2

この絵本は現在クラウドファンディングにて製本化に挑戦しています。
そしてクラウドファンディングのリターンにて製本に成功できた場合のみ
絵本を購入できますのでご協力と応援お願いします。

クラウドファンディングで絵本の製本化に応援はこちら



◆絵本ライバル原画展◆
2011年11月6.7日 札幌市教育文化会館
太陽と牛の絵本「ライバル〜負けたくないや〜」の原画12枚を展示する原画展。 会場では、展覧会独特のシンプルな部屋に絵だけが飾ってある静かな空間ではなく原画展示のほかに、子ども達が絵をかくスペースや、作品に関連した遊び空間、原画展示のほかに子ども達が絵をかくスペースや、弾き語りライブなども行われ、子ども達が飽きない工夫を施した原画展となった。 また、この個展は絵本ライバルのテーマでもある「自信になる機会」を作る為に、児童発達支援デイサービスなどの協力をいただき、子ども達の塗り絵も展示。来場した大人には「褒めカード」が配られ、気に入った子ども達の塗り絵にメッセージを残し親や先生以外の大人から「褒められる機会」を提供し、子ども達の自信となる機会を作り出した。




















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?