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【エッセイ】安野光雅の原画展を訪れて
あべのハルカス美術館で2023年9月16日から11月12日まで開催されていた安野光雅展に行ってきました。私が行った日は休日だったので、家族連れや一人で美術鑑賞を楽しむ人などたくさんの人が来場していました。
安野光雅さんは画家、絵本作家、装丁家として多彩な活躍をされた方で、優しく美しいユーモアと不思議にあふれた作品を数多く残されました。
この原画展は、ふしぎの世界、科学のおはなし、空想と旅の風景、物語の世界、懐かしの風景、本と芝居のポスターの全6章から構成されていました。
恥ずかしながら私は安野光雅という作家を今回の原画展で初めて知りました。今回の原画展にはポスターに使われていた原画を見て、この人の原画展に行ってみたいなと思い、ハルカス美術館へと足を運びました。
「細かい!」
安野光雅の絵を初めて見た私の感想を一言で表すと、この一言に尽きました。
安野光雅の絵は小さなキャンパスに細かくて見えない線もあるほどの細かさで描かれているのです。よく見ると、遠近感を出すために小さく描かれた家の屋根の模様まで手書きで描かれています。
ボールペンよりも細い線を使って、とても細かい所まで描写されている原画が何枚も並んでいました。安野光雅さんはこんなに細かい線を使って、何冊もの絵本を作るために、何枚もの絵を描き、文章を考えるのは彼の素晴らしい才能と努力の賜物だと思いました。
1章の「ふしぎの世界」が私の最もお気に入りの展示でした。
さまざまな技法を使っただまし絵は繊細なタッチで終わりのない階段や現実ではありえない「ふしぎな世界」が描かれており、この絵たちに私はとても癒されました。
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これらは『もりのえほん』の一部の絵をタペストリーにしたものです。
今回は原画展だったこともあり、撮影可能な作品は写真に収めてきました。
この絵本は森の中にたくさんの動物が描かれているのですが、私はすべて見つけられませんでした。また、この写真や絵本をみて動物たちを探してみたいと思います。皆さんはこの絵からいくつの動物を見つけることができましたか?
私のお気に入りの作品は、『空想工房の絵本』の展示でした。この展示は科学や文学などさまざまなことに興味がある安野光雅さんが雑誌『数理科学』において、定められたテーマの絵とエッセイをまとめて出版された本です。
この作品が私が特に感動したのは、「紗綾形」という平面に無限の卍を描いていく模様がテーマであった時の原画でした。この原画は「この模様を立体的に描いたら?」という安野光雅さんの疑問から着想を得て、描かれた絵です。私はこの「紗綾形」というテーマから連想されたこの作品は、僭越ながら同じ創作をしている身としてうらやましいぐらいの完璧な創作だなと思いました。
『人魚姫』 や『みにくいアヒルの子』で有名な童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの作品がお好きだったという安野光雅さんはアンデルセンの生まれた国、デンマークに訪れた際の旅の景色などを描いたものもありました。実際の景色を描写しながら、ところどころにアンデルセンの作品である『人魚姫』のワンシーンが描写されていたりと実際の景色とは一味違った作品をつくられていて、安野光雅さんらしい作品だなと思いました。
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こちらは入場してすぐに展示されていた安野光雅の言葉は安野さんの絵本を読む方の中で最も多い読者層である子供たちへと向けたメッセージであるように思いました。私はこの文章を見て、もう少し早くこの言葉に出会いたかったし、もっと早く安野光雅さんの絵本と出会いたかったなと思いました。
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