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CINEMORE magazine|『トランスフォーマー/ビースト覚醒』 スティーブン・ケイプル・Jr監督 【Director’s Interview】

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記念すべき第1弾は、『トランスフォーマー』シリーズ作品の最新作『トランスフォーマー/ビースト覚醒』で監督を務めたスティーブン・ケイプル・Jrのインタビュー記事です。


スティーブン・スピルバーグ製作、マイケル・ベイ監督という豪華なタッグによって2007年に映画化された『トランスフォーマー』。その後、スピンオフともいえる『バンブルビー』(18)まで6本の映画が作られた。そんな人気シリーズの再始動作となったのが、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』。オプティマスプライム、バンブルビーといったおなじみのキャラクターは登場するが、今回はゴリラ、チーター、サイなどの動物がトランスフォームする“ビースト”の一派(マクシマル)が登場。惑星を飲み込むほどの巨大な敵、ユニクロンに対し、空前のバトルが繰り広がられる。

その再始動を託された監督が、スティーブン・ケイプル・Jr。これが長編3作目で、映画ファンでもその名前に馴染みのない人も多いはず。しかし前作は『クリード 炎の宿敵』(18)。そこから本作という流れは、ハリウッドでその才能が認められた証(あかし)だ。もともと「トランスフォーマー」の世界への思い入れは深かったのか。そして人気シリーズをどのようにアップデートしたのか。気鋭の監督に質問をぶつけてみた。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』あらすじ
ニューヨークに暮らす青年ノアは、ある日謎めいた車に閉じ込められる。車は警察とカーチェイスを繰り広げたあげく、ロボット生命体”トランスフォーマー”へと変形、 ノアは戦いへと巻き込まれてしまう。あらゆる星を丸呑みにして食べ尽くす、 神話だと思われた宇宙最悪の災い“ユニクロン”が、地球を次の標的に動き出していた。 ユニクロンの残忍な先遣隊スカージの攻撃に遭い、 絶体絶命のオプティマスプライムとオートボットの前に、動物に変形するビーストたちが現れるのだった。果たして、 オートボットとビースト、そして人類は、ユニクロンによる地球消滅の運命を変える事が出来るのかーー!?

2本続けての「続編」にためらいも


Q:まず『トランスフォーマー/ビースト覚醒』を監督することになった経緯から聞かせてください。

ケイプル・Jr:こちらから積極的に売り込んだわけではありませんが、正式なオファーがある前に自分からプレゼンする機会をもらえました。ただ、その時点では「トランスフォーマー」の新章ではなく、『バンブルビー』の続編のプロジェクトだったのです。じつは個人的には続編には気が進まなかったので、断る選択も視野に入れていました。そうこうするうちにコロナによるパンデミックが始まって、プロジェクトが一旦ストップしました。再び動き始めた時に仕上がった脚本は、続編ではなく新たな「トランスフォーマー」の物語に変わっていたのです。

Q:「クリード」では続編を監督したので、さすがに2本続けての続編に躊躇する気持ちはよくわかります。新たな脚本には、1990年代に人気だったアニメシリーズ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」の要素が入っていたのですね。

ケイプル・Jr:僕は「トランスフォーマー」の実写映画やアニメシリーズをすべて観ており、中でも「ビーストウォーズ」の大ファンでした。「ビーストウォーズ」に関しては、自分なりに造詣が深いと思っており、知り尽くしている自負もあったのです。新しい脚本を読んで、「これならぜひ自分で撮ってみたい」と奮い立ち、スタジオ側に自分なりのアイデアや意見をプレゼンして、正式に監督のオファーをもらいました。


『トランスフォーマー/ビースト覚醒』©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO


Q:実写シリーズの1作目『トランスフォーマー』は、その後の作品の原点にもなっています。本作を監督するにあたって意識しましたか?

ケイプル・Jr:『トランスフォーマー』が公開されたのは僕が大学生の頃で、フィルムメーカーを目指す立場から大きな衝撃を受けました。具体的には、ロボットのアクションシーンでキックやパンチをスローで見せる演出が斬新でカッコいいと感じたのです。今回はそのアプローチを踏襲しました。

Q:シリーズの過去6作に比べても、今回のトランスフォームの映像は「観やすい」と感じました。

ケイプル・Jr:いくつかのキャラクターのトランスフォームの瞬間は、若干ハイスピードで撮り、それをスローモーションで見せる手法を使っています。その結果、観客にも動きが伝わりやすいのでしょう。今回はオートボット、マクシマルなど数多くのキャラクターが同時に画面に登場すると、「これは誰だっけ?」と区別がつかなくなるリスクも伴います。何がなんだかわからない状態ですね(笑)。彼らのバトルシーンでは、過去のシリーズ以上に、一人一人のキャラクターに寄り添う必要がありました。たとえばボコボコに殴られるシーンでも一発一発のパンチを疎かにせず、観客を「うわっ!」と言わせる臨場感を出したつもりです。そのためのカメラワークやアングルに異常なほど気を遣いましたよ。

Q:多くの複雑なパーツがどう変化(トランスフォーム)するのかも、細かく計算したのですよね?

ケイプル・Jr:もちろん! トランスフォーム後のロボットの原型を設計し、そのデザインからディテールがどう変形して自動車やバイクになるかを綿密に考えました。


この記事の続きは、CINEMOREサイトにてご覧いただけます。
▶︎「車種とロボットの関係、細部に込めた歴史」
▶︎「 高山病と天候に苦しんだマチュピチュの撮影」


監督・脚本:スティーブン・ケイプル・Jr

オハイオ州クリーブランド出身のスティーブン・ケイプル・Jrは、今やハリウッドで最も注目される映画監督の一人となった。映画とテレビの両方で監督を務め、その特徴的なタッチと芸術的撮影方法で、複数の監督賞を受賞したほか、2018年のフォーブス「30 アンダー30」のリストにも名を連ねている。最近では、マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン主演の『クリード 炎の宿敵』(18)を監督した。「クリード」シリーズの第2弾として、ヘビー級コンテンダーのアドニス・クリードが、イワン・ドラゴの息子ヴィクトル・ドラゴと対戦している。MGMは2018年11月に本作を公開し、現在までに全世界で2億ドルを超える興行収入を記録している。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

8月4日(金)全国公開
配給:東和ピクチャーズ
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

取材・文:斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。


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