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おれたちのたたかいはこれからも続く

「おれたたEND」というのがある。

連載途中で打ちきりになる漫画。
いろんな伏線も未回収のまま急なエンディングを迎える。
ラスボスまではたどり着けないものの、
「おれたちのたたかいはこれからも続く!」
といって、強引に終わってしまう。

または、連載中の漫画をアニメ化する場合。
アニメの展開が漫画に追い付くと、その先、第二期を制作するか微妙な人気だったら、とりあえず、おれたたENDだ。
これはラブコメものにも使われる。
「結局、おれたちのこの微妙な関係はこれからも続くことになる。やれやれ。」という具合だ。

そんなわけで、
入院生活も突如、おれたたENDを迎えました

金曜日の朝の回診で心臓血管外科部長さんが、
「もういつでも退院していいですよ。この土日でも。たいようさんさん次第です」と。
そう言われたら、奥ゆかしいわたくしなんぞは
「長居するのもあれですし、そろそろお暇します」
と答えてしまうというものだ。

それで翌日の土曜日に退院ということになった。
退院前に熱がちょっと上がったり、
激しく咳をしたならばあばらをば痛めてしまったり、
いろいろあったが、今こうして自宅でブログを書いているわけである。

入院生活の振り返りを駆け足ですると。

ドレンの残りの一本は一般病棟に来て二日目ぐらいに。
例の「きゅるっぽん」だ。一本なので穴埋めのホッチキスは四発ほど。
それでもやっぱり痛い。

ちなみに、ホッチキスとは、ヘッジホッグキッスがなまってホッチキスになったらしい。

ハリネズミの接吻だ。
そりゃ痛いよね。

いや、真っ赤な嘘である。

ちなみに、「真っ赤な嘘」には「摩訶(マハー・大きい)な嘘」が転じたものという俗説があるらしい。

はたしてホッチキスの真実とは、ホッチキスさんが作ったホッチキス社から発売されたステイプラーの商品名のこと。
だからホッチキスは日本(韓国も?)でしか通用せず、英語ではステイプラーと呼ぶのだ。

しかしそんなステイプラーを肉に刺された日には、患者はunstableになるのだから皮肉な話だ。

さてもさても。
今も続いているたたかいでもあるのだが、とにかく、背中が痛い。手術の傷はそこまで痛くないのだが、肋骨が全体的に傷んでいる感じだ。

開胸器という万力のようなもので、ぐぐぐいっと広げるのだ。
全身麻酔で意識はないものの、骨身には沁みているのだろう。
万力から解放された肩や背中は、閉胸してから内巻きに内巻きに戻ろうとするのではなかろうか。
骨も筋肉も強張って痛いし、意識していないと猫背になってしまうのだ。

また、骨形成不全症との関係で言うと、普通、胸骨を閉じるときにはワイヤーで留めるのだが、自分の場合はチタンプレートも併用してがっちり留めてくれた。

がっちりホールドであるがゆえか、咳をするたび、固定箇所と思われるところが激しく痛む
しかし、気管挿管の影響で、やたら咳したい衝動(痰を出したい)がくる。びくびくしながら控えめに咳をする。から咳に終わり、咳するリスクを払ったのにre:痰はないという徒労

一回おもいっきり咳をしたら、右あばらが激痛とともにバキッて言った。
その前にも姿勢を変えたくて左肘をついたまま這いずろうとしたら、バキバキバキッて言った。
どっちも夜中で

あ、折れたかな

と思ったけど、夜中の看護師さんは言っても取り合ってくれなかった。そんな簡単には折れませんよという感じ。ツレナイぜまったく。

そんなわけで解熱鎮痛薬のカロナールがお友だち
6時間おきに欠かさず飲んでいる。
切れると痛みもそうだが、熱も上がってしまう。多分、カロナールを飲んでいなかったらずっと38度台の熱があると思う。

なんだかこうして振り返ってみると、よくこれで退院OKにしたなと思われてきたぞ。(笑)

最初の肋骨骨折疑惑の折、痛くて辛くてうとうと寝ては覚めてというようなときに、を見たと言おうか聞いたと言おうか、そんな経験をした。

「あなたはわたしの手のなかにある」

そういう声を聞いたわけではないのだが、心にそんな言葉がこだました

こだまにあわせて反芻する。

「今も私は父なる神の御手の中にあるのだ」

痛みや辛みが消え去るわけではなかったけれど、神が嘆き呻く祈りを聞いてくださったと思うと涙が出た。

ちょっと盛り上がってしまって、ひっくひっくと泣けてきたが、それは痛いのでなんとか我慢をして夜明けを迎えた。


わたしがあなたの神、主であり、
あなたの右の手を固く握り、
『恐れるな。わたしがあなたを助ける』
と言う者だからである。
[イザヤ書 41:13]

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