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つくってあそぼ-FabLifeのすすめ-

2019年5月15日(水)田中浩也さん(慶應義塾大学環境情報学部教授・同大学SFC研究所所長)による講義を伺った。講演では、田中さんご自身がパーソナル・ファブリケーションという新しい可能性に出会ってから現在に至るまでの経験を中心にお話いただいた。パーソナル・ファブリケーションとは、作りたい人が誰でも作ることのできる社会のことであり、この文化は、「工作機械の普及」と、「つくるための知識の交換と共有」が両輪となり、プロジェクトをもった個人の自発性と創造性をエンジンとして進んでいくという。

田中浩也(たなか・ひろや)1975年生まれ、北海道札幌市出身。京都大学総合人間学部卒業、東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了。博士(工学)。東京大学生産技術研究所助手などを経て、2005年慶應義塾大学環境情報学部専任講師、2008年同准教授。2010年米マサチューセッツ工科大学(MIT)建築学科客員研究員。経済産業省未踏ソフトウェア開発支援事業・天才プログラマースーパークリエイター賞(2002年度)、グッドデザイン賞新領域部門など受賞多数。新しいものづくりの世界的ネットワークであるファブラボの日本における発起人であり、2011年には鎌倉市に拠点「ファブラボ鎌倉」を開設した。

講演の中で、「いま現在は多くの人が同意しないが、30年後に明らかになる大切な真実とは何か?」という慶應義塾大学の江渡教授が新入生にTwitterで与えた課題の紹介があった。田中さんはこの問いに対して、「ほとんどのモノを3Dプリンターによって、自分で作れる社会になっている」と回答されていた。

私の回答はざっと以下の通りである。

「年功序列は完全に崩壊し、世界市場での実力主義で評価される社会になる」、「個人の信用度が可視化されて評価される時代になる」、「都市部では親子や兄弟間で家族間のエコシステムを形成し、近隣に住むことで子育てや介護を共有する生活が一般化する」、「共働き夫婦と肩働き夫婦のもとで育てられた子どもの能力格差が社会問題となる」

今後、テクノロジーが発展し、より一層豊かになり、ますます自由になる社会では、自らの人生に問いを立て、その問いの解決に邁進する者と、何もしない者とで、幸福の格差はより一層拡大するであろうと考える。そして、自由の表裏には残酷なほどの不自由が待ち受けるであろう。自由を謳歌するのか、自由に飲まれるのか、自らのLifeをファブリケーションするのは容易でない。人生には3Dプリンターも無ければ、ワクワクさんもいない。

親として思うのは、我が子には、つくってあそぶ力を培いたい。つくるのハードルは今後も下がり続ける。だからこそ、自分の可能性を信じてつくり続ける限り、希望の炎は消えないであろう。


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