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【時事抄】 トランプ裁判の行方、米大統領選

今年後半の最大イベントといっていい米大統領選挙。その行方に影響必至のトランプ氏の刑事訴訟に対して、有罪の評決が出ました。起訴罪状34件、その全てが陪審員全員一致で有罪評決という驚きの結果でした。

ニューヨークという反トランプが多いと見られる都市部で行われた裁判とはいえ、全員一致の有罪評決を下した判断の早さも話題にもなりました。裁判で提示された証拠や証言が誰の目にも明らかだったからでしょう。

一週間ほど前の出来事ですが、日本経済新聞の記事を見てみます。

<要約>
トランプ前大統領の不倫口止め料の不正処理問題に絡む裁判で、陪審団は30日、有罪の評決を下した。起訴罪状は合計34件、陪審はその全てを有罪と認定した。トランプ氏は31日、控訴する意思を明らかにした。

主な刑事起訴内容は、トランプ氏が16年の大統領選前後に自身の不倫相手に手渡した口止め料を「弁護士費用」と事業記録に計上していたとされる。選挙戦に不利な情報を隠蔽したと23年3月ニューヨーク州地検に起訴された。

公判でトランプ氏の弁護団は無罪を主張して争議したが、元顧問弁護士が「トランプ氏の指示で」口止め料を支払ったと証言したことに加え、小切手などの文書証拠が提示され、これが決め手になったようだ。

陪審員制度では量刑を判事が決める。7月11日に量刑が言い渡される予定で、最長で禁錮4年が科される重罪に分類される。ただし初犯かつ高齢であることを配慮し、実刑判決ではなく、罰金や保護観察等に留まる可能性が高い。

量刑言い渡しの4日後、7月15日から共和党の党大会が開かれる。ここで大統領選の公認候補者を指名するのだが、有罪評決が下されたまま共和党の指名のもと、主要候補として大統領選に出馬するという異例の事態を迎える。

トランプ氏は裁判そのものを「魔女狩り」と非難し、多くのトランプ氏支持者も同様に考えている。ただ共和党支持層の中には、仮にトランプ氏が有罪なら支持を再考する、と世論調査で語る人もいる。バイデン米大統領は、X(旧ツイッター)に「ドナルド・トランプは民主主義を脅かしている。選挙制度、司法制度に疑問を投げかけた」と投稿した。

トランプ氏は、20年の大統領選への選挙介入、21年の議会占拠事件の扇動容疑など、3件の刑事裁判で起訴されている。今回の有罪評決が、別の審理で不利に働くとの指摘もある。

(原文1442文字→757文字)


米国司法制度の詳しいことは専門家でもないので批評のしようがありませんが、トランプ氏は厳しい立ち位置となりました。7月の量刑言い渡しの直前、6月27日に両候補が1回目のTV討論を行い(CNNが主催)、量刑判明後の9月11日に2回目のTV討論会(こちらはABCが主催)があります。

現職バイデン氏は裁判結果を大いに利用し、トランプ氏は裁判自体を「現政権が操作した裁判」と批判し、来たる討論会では泥試合が予想されます。本来ならば語るべき世界情勢、米財政や経済運営などそっちのけの批判合戦が続きそうで、米国を盟主と仰ぐ同盟国に暮らす一人としては「しっかりしてくれよ」としか言いようがない。


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