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【時事抄】 生活インフラを牛耳るゴジラ、日本再上陸か

通信インフラはネットにつながることを前提とする現代において、水や電気と並んで死活にかかわる超重要インフラです。例えば災害時、復旧対象の最優先となっています。国民一人一人の財産といってもよいでしょう。

そんな観点から、さまざまな通信インフラを管理するNTTには、厳しい規制の網がかけられています。今、防衛財源の確保から端を発してNTT法改正・廃止まで話が進もうとしており、懸念の声が広がっています。

NTT法の改正について、最新動向を日経新聞の記事から見てみましょう。

<要約>
改正NTT法が17日の参院本会議で可決・成立した。研究成果の開示義務を撤廃し、禁じてきた外国人役員も取締役全体の3分の1未満まで認め、社名の変更も認める。

日本電信電話公社の民営化により1984年に制定されたNTT法は、制定から40年が経過し、現代の通信環境の実情との乖離が大きかった。NTT法に類する法規制は欧米主要国では既に廃止され、NTTは法律改正を求めていた。

今後はNTT法の廃止を含めた規制のあり方が焦点だ。改正法には付則に「廃止を含めて検討」と盛り込まれ、「25年の通常国会をめどに」「電気通信事業法の改正など必要な法案を提出する」と明記された。

NTT法の廃止にはKDDI, ソフトバンク、楽天モバイルは反対し、自民党内でも廃止には慎重な意見が多い。旧公社時代より築き上げた通信インフラ資産の多くを引き継ぐ点からも、NTTへの規制の必要性を強調する。通信のユニバーサルサービスや外資規制について、総務省は今夏にも答申を出す。


NTTは民営化後も大きな存在であり続け、通信インフラの整備には巨額の税金が投じられました。NTT法の廃止によって、規制から解放された民間企業になり、NTT独占が加速するのではとの懸念があります。

NTT法廃止の問題点が端的に整理されています

時代に即して法改正するのは良い。しかし巨大インフラを持つNTTを自由にさせては、業界の競争を失わせて、寡占化による料金高止まりやイノベーションの停滞を招き、私たち消費者の利益を損なうものだと考えます。

振り返れば、巨人NTTに戦いを挑み続けたのが孫正義さん率いるソフトバンクでした。「ブロードバンド革命」を旗印に、2001年にADSLサービスを格安料金で展開を始め、NTTが支配していた通信料の常識に大きな風穴を開けました。

あのころのソフトバンクの一連の無茶振りなかりせば、日本のネット環境は10年遅れていたでしょう。戦国時代の「鉄砲」、幕末の「黒船」というべき時代を画した画期的な出来事だったと今でも思っています。

ソフトバンクのADSLサービス「Yahoo BB」。モデム無料、料金格安、そして当時驚きの高速通信。革命的だった…。いま30歳前後の若手社会人すら、その頃はまだ10代前半でしかなかったのだから知らないよね。

主題から離れて恐縮ですが、先月末YahooBB ADSLが時代の役目を終えてサービスを終了しました。
改めて、孫さん、ありがとう!


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