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【時事抄】 仮想通貨の闇取引、投機というたしなみ

ビットコインが息を吹き返しており、底を売ったとみられる2022年末から、今年になって約5倍に急上昇しました。新NISA導入を機に、特に若者の間に投資熱が広がっていますが、再び盛り上がる仮想通貨の闇売買に手を出し、知らぬ間に犯罪に巻き込まれているといったケースもあるようです。

日本経済新聞に掲載された記事を見てみます。

<要約>
暗号資産(仮想通貨)の違法売買が横行している。個人がSNS上で電子マネーとの交換を持ちかけるケースが多く、警視庁が3月に摘発した男子高校生は手数料で約300万円の利益を不正に上げていた。

X(旧ツイッター)には仮想通貨売買を勧誘する投稿が並ぶ。「暗号資産交換業者」は国への登録が義務となっているが、SNSで交換を呼びかけているのは無登録の個人とみられ、3年以下の懲役を伴う違法行為となる。

犯罪収益移転防止法に基づき、正規の暗号資産取引の交換業者は仮想通貨を管理するウォレット(電子財布)の開設時、また10万円超の売買時に、利用者の身分情報や目的を確認する。別の交換業者のウォレットに仮想通貨を移転する際には、事業者間で利用者情報を共有するルールも課されている。マネロンを防ぎ、資金移動の透明化を図るためだ。

違法売買は取引の匿名性の高さから一定の需要がある。規制を逃れ、素性や原資を隠したまま仮想通貨を入手し、現金化も可能だからだ。捜査当局は犯罪組織がマネロンに悪用し、金の流れを掴みにくくなる、と警戒する。

国際組織「金融活動作業部会」(FATF)は不正資金が仮想通貨へ流入を阻止したいが、対策は国ごとに差がある。23年に222億ドル(約3兆4千億円)のマネロンが疑われる取引があった。仮想通貨に詳しい専門家は、問題のある海外交換事業者へのアクセスを規制し、犯罪に巻き込まれるリスクの高い未成年へ啓蒙する金融教育も必要と訴える。

(原文1370文字→614文字)


値動きの激しい仮想通貨は、資産形成を目的とする長期投資には向きませんが、少額の資金が何倍にもなるほどボラティリティーが高く、ギャンブルに似た中毒性があります。しかし、ある程度トレーディングに対する知識と経験を積んだ人であれば、上昇相場、下落相場、それぞれで資金を投じることができ、運まかせのギャンブルよりも確率の良い勝負ができると思います。

金利の魔力と怖さを知り、時間を味方につけた長期・分散・積立を最良とする「投資教育」は経済的安定の土台づくりに最適です。そのとおり。だがこれだけでは片手落ちとも思っていて、短期取引のトレーディング(投機)に向けた知識や考え方も教えてあげてほしい。

短期トレーディングは資産運用とは全く異なる世界です。「投機教育」は、麻雀やポーカーのような対人ゲームで強い人が意識するゲーム理論、つまり確率、期待値、破産理論、損失管理、人間心理、こんな論点で構成されるでしょう。新聞・雑誌で目にする「金融教育」の記事の中には滅多にお目にかかれませんが、詐欺被害を減らし、実生活の中でも広く役立つ有用な知識は、むしろこちらだと思っています。

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