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【時事抄】 あと半年で米大統領選挙

今年11月5日に控える米大統領選挙まで残り6ヶ月となりました。コロナ対応に失敗して世論の支持を失い退場を迫られたトランプ氏が、コロナ禍が終息した今再び、超大国を率いるリーダーに復権するのか。老齢のバイデン氏がさらに4年の任期を耐えるのか。2024年は時代の節目となるでしょう。

贔屓にする秋田浩之氏の手による、米大統領選に関する記事が日本経済新聞に掲載されてましたので見てみます。

<要約>
米大統領選挙は、米世論調査だけ見ればトランプ前大統領が明らかに優勢だ。だが、現職バイデン氏は選挙資金で大差をつけて有利であり、トランプ氏は数々の訴訟を抱えている。選挙の結果を予測するのは難しいが、ひとつだけ確実なことがある。それは、仮にトランプ氏が敗れても、彼を支持する多くの米有権者はいなくならないという現実だ。

◆ライアン元下院議長の予言
トランプ支持者は、今後も「トランプ的」な候補者を求め続けるだろう。その人気の源泉は何か。共和党の元首脳、ポール・ライアン氏(54)を訪ね、共和党内で底堅いトランプ人気をを問うた。トランプ現象は「知的運動でも政策でも、理念でも改革でもない。長続きしない」との即答だった。

米国社会の二極化は、格差や人種問題への人々の怒りを不必要に煽る、彼のカルト的な個性による一時的な現象にすぎず、表舞台から退けば、分断は和らいでいく、と述べた。

◆癒えがたい二極化の現実
カルトの「教祖」トランプ氏の退場と共に、米国内の亀裂も和らぐとの見立ては、ライアン氏に限らず、米共和党主流派の楽観的な意見と共通する。これと対極なのが、分断の元凶は格差や人種対立という二極化した社会構造にあるとの仮説で、トランプ氏が退場しても問題は解決しないと主張する。総じて言えば、後者がより現実に近いだろう。

上位1%の富裕層が全体資産の約35%を保有する驚くべき格差社会、22年米国内での約1万1600件に及ぶヘイトクライム、FBIによれば約6割が人種問題に端を発していた。こうした火種はトランプ後も続くだろう。

ただ、米国の対外政策に限れば悲観的になるのは早計だ。「偉大な米国の復活」というトランプ氏の目標は、同盟国の利益と必ずしも逆行しないからだ。米同盟国の外交当局者は、トランプ外国がもたらした「プラスの遺産」に着目する。たとえば厳しい対中政策と対中包囲網の強化。また同盟各国に防衛費の応分の負担を迫り、各国の防衛支出は増え続けている。

◆トランプ外交の得失見極めを
トランプ外交の復活でウクライナの一部領土の割譲をロシアに認め、ウクライナに停戦を迫る危険がある。またトランプ氏は周囲を忠臣で固めるだろうが、中国や北朝鮮の強権国を相手にトランプ氏が危うい外交取引への誘惑を止める側近がいない恐れがある。

米同盟国は、こうしたリスクへの対策を急ぎ、トランプ外交からプラスの効用を引き出すことだ。専門家はトランプ氏の威圧的な交渉術は国益第一とする他国指導者と変わらない。よって彼が「何を言うか」でなく、「何をするか」に着目して政策を分析せよ、と述べる。

日韓豪、欧州などの米同盟各国は今度も米国と共に歩む宿命にある。米国は深刻な亀裂を抱えているが、これが及ぼす米外交と国際政治への悪影響を最小限にとどめることは無理ではない。

(原文2131文字→1174文字)


外交政策に限って言えば、膨張する中国への牽制役として、米国は世界で対抗できうる唯一の超大国です。欧州や日米豪印QUADといった同盟関係は対抗勢力としての一翼を担い、緊張が続くウクライナや中東情勢にも大きな影響を及ぼします。

対中国に向けた姿勢という点だけは、大統領候補のどちらが当選しても大きく変わらないでしょう。これ以外は全く読めませんが、中国と歩調を合わせるロシアや北朝鮮といった独裁国家は、トランプ氏の方を好ましく思っているのではないでしょうか。

欠陥だらけの民主主義という最悪の政治制度ではあるが他の政治制度よりはマシだ、と先人は言っています。民主主義に基づく結果を信ずるよりないのでしょう。

ロンドン議会前広場に立つ W.チャーチル像
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00199.html

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