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【時事抄】 8月の円高、今年も線香花火

7月末の日米両金融当局による金融政策会合の結果を受けて、相場が激しく逆回転しています。円相場が激しく乱高下し株価も低迷。恐怖を感じる方も多いかもしれませんが、8月の為替相場は例年動きやすいのです。そして今年のこれは絶好の外国株・外国債券の買い場となりそうです。

8月円高のアノマリー(経験則)を簡潔に解説していて気に入った記事です。7月後半に出たものですが、タイムリーだなと思って取り上げてみました。

<要約>
8月は円高ドル安に振れやすい、と外国為替市場で囁かれ続ける通説「8月の円高」に市場は身構えている。7月末に日米の金融政策決定会合を控え、円相場の波乱の芽が待ち受ける。

8月は米国債が大量償還される時期だ。利払いで受け取ったドルを円に変えることが多い。またお盆休みを前に国内の輸出企業が円買い・ドル売りの為替予約を済ませることが円高を招く、との指摘も多い。

直物(スポット)取引の為替レートの巻き戻しが進む中、通貨オプション市場でも変化が兆しが生じてる。円を対ドルで「売る権利(プット)」の需要から「買う権利(コール)」のそれを差し引いたリスクリバーサル。この動きがマイナス方向に拡大し、約3ヶ月ぶりの低水準になっている。円高・ドル安進行への警戒感を示している。

ドル円相場は現在、日米双方の金融当局の政策転換を見越し、年初から進んだ「円キャリー取引」の巻き戻しの動きが生じている。また日本では政府・与党幹部が相次ぎ日銀への金融正常化を求めている。米国ではFRB高官が利下げ時期が近いとの発言が続き、市場は9月の利下げ確率を100%とする。

1ヶ月後の8月下旬に「ジャクソンホール会議」があり、FRBハプエル議長が9月の利下げを宣言するとの見方がある。円高警戒感を強めているのは、FRBが1回で終わらない利下げ局面入りを市場が見ていることを示す。しかし、7月に激しい円高への巻き戻しが進み、更なる円高・ドル安が進みにくいと見る市場関係者もいる。

米大統領選など不透明要因が重なり、明確な方向感がなくなった。亡き休暇で市場参加者が減り、流動性が落ちやすい8月の円相場は、波乱含みの展開になるかもしれない。

(原文1667文字→711文字)


記事にある通り、8月は「米国債の大量償還」があって、受け取る外貨を日本円に替える動き(円買い需要)が増えます。さらに、夏季休暇に入る日本の輸出企業各社は、休暇期間中の大きな為替変動による収益計画のブレを避けるため、事前に円買いレートを固定しておく「為替予約」を入れるケースが多い。今年は特にその需要が強いでしょう。

これら「実需」と呼ばれる円買い需要が火種となり、為替取引の大部分を占めるとされる「投機」資金に火の手が移り、燃え広がっていきます。しかし背景説明のとおり、この「実需」は一過性のものでしかありません

構造的な円の弱さ、日銀の利上げ幅には限度があること、新NISA投資が外国株投信に向かいやすいこと、を考えれば160円台に直ぐ戻る可能性が高い。本当に円安基調が変わるとき、それは米国経済が瀕死の事態に陥ってFRBが大幅利下げ、米政府が財政出動を迫られたときです。まずないでしょう。

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