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《讀書記》更新のお知らせ 二〇二二年四月二二日《倉石武四郞中國留學記》

こんにちは~!記事を更新したよ~。

〇倉石臥雲先生について知りたい方へ

《倉石武四郞博士講義ノートアーカイブス》というものがあり、インターネット上で閲覽可能。著者自身の文章として、

・《倉石武四郞著作集第一卷 ことばと思惟と社會》くろしお出版 一九八一年三月
・《倉石武四郞著作集第二卷 漢字・日本語・中國語》くろしお出版 一九八一年六月

〇倉石先生の古典學

倉石先生の業績は大きく二つに分かれる。一九三〇年から一九四九年までの、京都帝國大學の敎授を務めた(一九四〇~八年は東京帝國大學と兼務した。)時期における中國古典學に關する業績と、一九四九年以後東京大學の專任となり、一九七五年に亡くなられるまで現代中國語敎育の普及に專心した時期の二つである。ここでは古典學關係のほうについて少し述べる。

・《尚書正義定本》會讀

一九三五年四月から一九四一年二月まで、六年閒倉石先生は吉川善之先生(一九〇四~一九八〇)をはじめとする東方文化硏究所の所員の中國古典學者とともに、《尚書正義》の會讀をなされた。その成果が、
・《尚書正義定本》
・《尚書正義校勘記》
・《尚書正義》譯注
の三つである。《尚書正義》譯注は、吉川善之先生の《全集》八・九・十に收錄されている。《尚書正義定本》と《校勘記》は、

《尚書正義定本》鳳凰出版社 二〇一六年一二月 に影印されている。

この《尚書正義定本》會讀の意義については、野閒文史先生(一九四八~)がたびたび述べておられ、「經學の金字塔」と絕贊される。野閒先生の五經正義硏究もこれに根ざすとのこと。

《五經正義の硏究—その成立と展開》一九九八年十月十日 硏文出版
《十三經注疏の硏究-その語法と傳承の形》二〇〇五年十月十一日 硏文出版
《五經正義硏究論攷-義疏學から五經正義へ》二〇一三年十月一日 硏文出版
《五經入門》(硏文選書)硏文出版 二〇一四年三月 
 野閒文史先生については、廣島大學中國哲學硏究室非公式《半知錄》さんに詳しい。
《野閒文史先生の學問とその人》壱
《野閒文史先生の學問とその人》貳
《野閒文史先生の學問とその人》參
《野閒文史先生の學問とその人》肆

また吉川善之先生について昔自分用のまとめとして作成したものであるけれどよかったら。

・《儀禮疏攷正》

 ほかに、《儀禮疏攷正》という著作がある。日本の古本屋でも入手しやすいけれど、ボクは
[日]倉石武四郞《儀禮疏考正》崇文書局 二〇一八年十一月
こちらをおすすめする。喬秀岩(橋本秀美)先生による《《儀禮疏考正》解題》は、倉石先生の經學に關する業績を考えるうえで必見。
 また、倉石先生の弟子や孫弟子が集まって作成した《儀禮》の譯注に

・《儀禮士冠疏》一九八四年 汲古書院
・《儀禮士昏疏》一九八六年 汲古書院
がある。非常に懇切丁寧かつこなれた譯注であり、ボクは日本人が作成した中國古典譯注のなかでも最高峰のものだと思っている。《儀禮》は三禮(《禮記》・《周禮》・《儀禮》)のなかで最も難解であるけれど、この譯注を讀めば、《儀禮》という古典の魅力が虹色の光彩を伴って見えてくるのではないだろうか?倉石先生からは離れるが、《儀禮》については川原壽市先生のものがある。未見であるのでた…silly=棋客先生の記事を參照されたい。

〇講義錄

・《本邦における支那學の發達》汲古書院 二〇〇七
紹介記事を昨年に書いた。

《目錄學》汲古書院 一九七九 

〇小學(中國古典言語學)についての業績

《段茂堂の音學》という著作があり、整理刊行を待たれているらしい。
そのかわり弟子筋の先生の著作を讀むことで、倉石先生の遺德を偲ぶことができる。おそらく倉石先生と吉川先生が日本ではじめて《說文解字》を本格的に讀むことを導入されたのではないだろうか?

 以下筆者あゆの知識にある倉石先生の弟子のうち、小學に關係の深い方々を二人舉げておく。(もし重要な方がほかにいらっしゃったら手批欄でご敎示願いたい。)

・賴惟勤(字子業 一九二二-一九九九 賴山陽の子孫)

說文會《說文入門》一九八三年一月
《賴惟勤著作集 一 中國音韻論集》一九八九年二月一日
《賴惟勤著作集 二 中國古典論集》一九八九年八月一日
賴惟勤(著)水谷誠(編集)《中國古典を讀むために 中國語學史講義》一九九六年三月
《賴惟勤著作集 三 日本漢學論集-嶺松廬叢錄》二〇〇三年七月十五日

・小川環樹(一九一〇-一九九三 小川如舟(琢治)の四男。貝塚茂樹・湯川秀樹の弟、中國文學者であるとともに語言學にも業績有り。)

小川先生は學部時代(一九二九年四月~一九三三年三月)に日本から歸ってきた直後(倉石氏は一九二八年~一九三〇年八月まで中國留學)の倉石先生に師事した。
 詳しくは、《小川環樹著作集》の第五卷特に《心の履歴-師友誘掖の恩》(一七四~一八一頁)參照のこと。

《小川環樹著作集》第一卷 一九九七年一月一日
《小川環樹著作集》第二卷 一九九七年二月一日
《小川環樹著作集》第三卷 一九九七年三月一日
《小川環樹著作集》第四卷 一九九七年四月一日
《小川環樹著作集》第五卷 一九九七年五月一日

この《著作集》には飜譯の業績は收められていないので注意。
また、

↑これはボクが獨學する際にお世話になった書物であり、思い入れが深い。漢文を學びたい方には常にこれを勸めている。(《著作集》未收)
ほかに、
《中國語學硏究》(ここに収錄された論文は《著作集》未收)
高田時雄 編集《小川環樹 中國語學講義(映日叢書)》二〇一五年十月三十日

がある。




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