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絵が苦手だと、ずっと思ってきたあなたへ 19

中学校ではどんな絵の具を使うの?

水彩色鉛筆を使うことで、少しずつ色に対する苦手意識が取れてきたでしょうか?

少なくとも、絵の具のように、混ぜれば混ぜるほど変な色になってしまい、嫌になったということはないと思います。

中学生も、絵の具を混ぜて思うような色ができない、混ぜれば混ぜるほど変な色になるという経験から、苦手意識をもっていく生徒もいます。

そんな苦手意識を出来るだけ感じないでほしいという思いから、ある絵の具を使うようにしています。

そこで今回は、中学校で使う絵の具について、少しお話ししたいと思います。

私は生徒にはアクリルガッシュという絵の具のセットを購入してもらい、3年間使うようにしていました。

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写真は、プライムセット(ターナー色彩株式会社)です。

アクリルガッシュという絵の具は聞きなれないかと思います。

この絵の具は、生徒の彩色に対する苦手意識を取り除くことに大いに役立ちます。

小学校では扱いやすい不透明水彩絵の具を使うことが一般的です。グイグイと絵の具を塗っていくことができるので、小学生には向いています

ただこの絵の具の扱い方によって、彩色に対する苦手意識が生まれてしまうことがあるのです。

こんな経験はありませんか?


色を塗ったら思ったような色ではないので、上から違う色を塗った・・・

濃い色の上に明るい色を重ねようとした・・・

塗りなおそうと思って、塗った色の上から白を塗った・・・

結果は、色が変に混ざって濁った色(不調和な色)になってしまい、直せば直すほど深みにはまり・・・


もうその絵は描きたくなくなってあきらめてしまう・・・

そしてやっぱり自分には絵心がないと思う・・・


私が若い頃、中学校でも同じような光景が見られました。

その頃の中学校では、ポスターカラーを使うことが多かったのです。

ポスターカラーは不透明なので、小学校で不透明水彩絵の具を使ってきた生徒には扱いやすい絵の具です。

もともとはデザイナーのための絵の具で、むらなくペタッと、平塗りをすることに向いています。

ポスターを描くときなどには、とても便利なのです。

でも、このポスターカラーも不透明水彩絵の具と同様に塗りなおしをすると先に塗った色と混ざってしまうという欠点があります。

もちろん下の絵の具を完全に乾かしてから、ペタッとおおいかくすように塗れば、下の色をかくすことはできます。

でも、その上からさらに描き進めたい場合には不向きです。

中学校の美術では、ポスターだけ描いているわけではありません。

絵画や彫刻、デザイン・工芸と幅広い分野の制作を行っています。

ましてや専門家を育てるわけではありません

ですので、それぞれの分野でどうしたら生徒が興味をもてるかを考え、1つでできるだけ応用の効く絵の具を探していました。


その時思いついたのが、学生時代に使っていたアクリル絵の具です。

これは今から60年くらい前に開発された新しい絵の具です。

水彩絵の具やポスターカラーと同じように水で溶くので、生徒にも無理なく使えます。

片付けに手間をとることも少ないので、教材のカタログで見つけたときはすぐに授業に取り入れました。

でも、授業で使うには少し不便さを感じていました。

それは、アクリル絵の具は透明絵の具なので、ポスターカラーのようにペタッとむらなく塗ることには向いてないということです。

ですので、ポスターなどに取り組むには、別の絵の具が必要になります。

1つの絵の具でたくさんの表現ができないだろうか?

ペタッと塗れるアクリル絵の具はないものかと考えていました。

しばらくして、アクリルガッシュという条件に合った絵の具を見つけたのですが、教材としてはまだ出ていませんでした。

数年後、ついに教材としても商品化されたのです。

もう待ってましたとばかりに飛びつきました。


それでは、アクリルガッシュの特徴をお話ししましょう。

最大の特徴は、乾くと耐水性になることと、紙だけでなく、布、木、石、ガラス、プラスチック、金属など、いろいろな素材にも塗れることです。

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この2つの特徴は水彩絵の具とポスターカラーにはないもので、彩色に対する苦手意識を解消するとともに、表現の幅を大きく広げるものでした。

乾くと耐水性になるということは、塗りなおしや重ね塗りをしても、下の色と混ざらずに描き進められるということです。

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画期的ではありませんか?

それから30年以上、今日に至るまで授業にはアクリルガッシュを使っています。

もちろんアクリルガッシュもパーフェクトではありません。

すぐ乾いて耐水性になるので、「にじみ」や「ぼかし」という技法には不向きです。

でも中学校の美術という観点から見れば、ほとんど問題ありません

これから、アクリルガッシュを使っていきます。もし興味をもって取り組もうと思われる方は、ご用意くださいね。

画材店に行けば売っていますし、ネットでも買えます。

「大人の美術教室」今日はここまでです。

「大人の美術教室」からお知らせ

ご近所で長年「川崎市多摩区にある木村ピアノ教室」を営まれていらっしゃる木村先生のご厚意で「KATO美術レッスン」として始めました。

「絵を描いてみたいけど、苦手だし・・・」「美術には興味があるけど難しそう・・・」

これまでお読みいただいた方でも、まだそう感じてる方は多いと思います。

「KATO美術レッスン」は、そういう方にこそ体験していただき、興味の扉を開いてほしいと思っています。

絵を描くって、表現するって、もっと自由でいいんだと気づいたら、そして自分にもそれができるんだと分かったら、もっと幸せが広がっていくと思いませんか。

「久しぶりに絵を描いてみたいな」「時間ができたので、絵を習ってみたいな」という方もぜひご参加ください。

「KATO美術レッスン」のホームページでは、参加されている方の作品や感想も載せています。ぜひお立ち寄りくださいね。

「木村ピアノ教室」は地域に愛され、20年も続けて通う方や、親子で通う方もいらっしゃる、とても雰囲気の良いピアノ教室です。

近所に菅ルームもあります。こちらで「KATO美術レッスン」を開設しています。

音楽と美術のコラボという新しい試みです。

「レッスンのピアノのメロディが心地よいです」という、参加者のお声もいただいています。

また、クリスマスイベントには、ピアノ講師の方も参加してくださいました。皆さん楽しくクリスマスリースを作られました。

少しずつ化学反応が起き始めています。軌道に乗ったら、そちらもお伝えしていきたいと思います。



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