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『ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術』

今回の記事は前回のYouTubeの要約の記事(上記)の続きです。

対話

みんなで遠くにいくために

対話はみんなで遠くにいくために大事なものです。
共創するチームや多様性や創造性や厄介な問題を解決するために必要です。
現状とありたい姿のギャップを埋めるために不可欠な手段です。

対話とは

対話とは何かという定義をしましょう。
対話とは、他者に共感する聞き方や話し方です。
評価判断を保留にして、相手の考えを理解しようとします。
そのためには、自分の考えを振り返るリフレクションが必要です。
自分の考えを客観的に見ることができるから、評価判断を保留できるのです。
リフレクションがあるから、対話が充実するのです。

対話のポイント

対話をするときは4点セットを使ってください。
意見の違いに目を向けるのではなくて、
その背景に意識を向けてください。
特に、どんなものの見方や価値観を前提とした意見なのかというところに注目してください。
そうすると、意見の違いがなぜ生まれているのかが理解できますし、相手の考えに共感することも簡単にできます。

ただ、意見だけを述べるのはダメです。
意見の背景にある経験や感情や価値観も共有できるような対話が、豊かな学びにつながります。

対話の5つの基礎力



対話に特化したこの本では、対話の基礎力として5つの力を紹介しています。
まず「メタ認知」です。自分の考えを振り返るリフレクションのことです。
次に「評価判断の保留」です。自分と自分の意見を切り離して、中立の立場で対話に臨むことができます。

そして「傾聴」です。相手の考えだけではなくて、背景まで聞き取ります。
傾聴したら終わりではありません。傾聴して得た新しいものの見方を自分のものにすることが「学習と変容」です。
この4つの力を実践してください。そして、自分が評価判断できて保留できていないかもしれないという時に、自分の様子をリアルタイムで振り返ることが「リアルタイム・リフレクション」です。
対話は一人でも破壊者がいると対話の場が壊れてしまいます。
誰もが破壊者にならないように注意しなくてはいけません。
誰もが破壊者になる危険性があるから、リアルタイムで自分を振り返ることは大事なことです。

1メタ認知

メタ認知とは、自分が認知していることを俯瞰して認知することです。自分の考えがどこからやってきたのか、リフレクションを通して、意見の背景にあるメンタルモ デルを理解し、自己の内面をメタ認知します。 自己の内面をメタ認知することは、対話の基礎力の要です。他の4つの実践が難し いと感じる人は、まずはメタ認知だけに焦点を当ててもよいです。メタ認知の実践に慣れることで、残りの4つの対話の基礎力も身についていきます。逆に、メンタルモデルを俯瞰することができないと、残りの基礎力を実践することが難しくなります。 自分の考えを当たり前だと思わずに、「なぜ私はそう思うのか」を自分に尋ねる習慣を持ちましょう。



2評価判断の保留

価値のある対話をするためには、自分の意見を持っていたとしても、その意見を横に置き、他者の意見に耳を傾ける、つまり評価判断を保留にする必要があります。 自分の意見に固執した状態で対話をしても、ただ忍耐力が磨かれるだけで、創造性は高まりません。評価判断を保留にしてこそ、多様な意見に学ぶことができます。 評価判断を保留にするためには、自分の内面を俯瞰し、自分と自分の考えを切り離すことが必要になるので、ここでも先ほど挙げた「メタ認知」ができていることが重要になります。 もし「そんな考えは間違っている」と決めつけながら他者の話を聴いている自分に気づいたら、すぐに「評価判断の保留」を意識し、自分を制御してください。



3傾聴

メタ認知と評価判断の保留では、自らのメンタルモデルに意識を向けていました が、傾聴では、他者のメンタルモデルに意識を向けます。 他者の考えがどこからやってきたのか、相手はどのような価値観やものの見方を判断の尺度に用いているのか、他者の意見の背景にあるメンタルモデルを理解します。 自分の内面をメタ認知するように、相手の内面を理解することができると、相手に共感することも可能になります。 ただし、傾聴し、相手の内面を理解しても、賛成する必要はありません。相手の世界を、相手の感情も含めて正しく知ればよいのです。



4学習と変容

対話を通して何を学んだのか、自分の考えにどのような変化が起きたのかを明らかにするのも、大切な対話の基礎力です。 対話は、「他者の見ている世界を知る」という学びの場であると同時に、「自分を知る」機会でもあります。対話における学習と変容は、「想像」「共感」「変容」の3ステップで行います。その結果、対話を通して新しいものの見方を手に入れることがで きます。 学習と変容は、対話の大切な成果物です。しかし、学習と変容は、自己の内面に起きることなので、意識を向けないと自覚できません。ぜひ、リフレクションを通して、学習と変容をメタ認知することも、忘れないでください。



5リアルタイム・リフレクション

自分の内面に起きていることをリアルタイムにリフレクション(内省、振り返り)す ることで、対話からより多くのことを学ぶことが可能になります。 対話の5つの基礎力は、一つずつ順番に行うものではなく、複数の実践を同時に走らせることになります。このため、リアルタイム・リフレクションを通して、自分の内面に起きていることをメタ認知することが欠かせません。 対話の持つ潜在的な可能性が開花するのは、多くの場合、驚きや違和感といった多様なものの見方に遭遇したときです。 ところが、油断をしていると、驚きや違和感につながる意見や発言者に対してネガティブな感情が生じ、評価判断をしてしまう可能性が高いです。感情が動くのは人間として自然なことですが、対話を続けたいのなら、評価判断をしている自分にすぐに気づき、評価判断を保留にする習慣を持つことが大切になります。

ディベートと対話の違い

対話とディベートはどう違うかというと、
ディベートは主張は変えないことが前提です。
主張の正当性を説明したり証明したりすることが大事です。
対話は主張が変わることを前提にしています。
主張を傾聴し、相互に学習することが大事です。

ディベートと対話は全然違うものですが、対話の場でディベートになってしまうこともあります。
みんなで対話の基礎力を実践してほしいです。

対話から共創へ

実は対話は共創に向かうためにとても大切なことです。
横軸は「一体」と「個々」、
縦軸は上が「想像や変化」、下が「現状維持」
という図を考えてみましょう。

今私が一方的に話しているので、「ダウンロード」は「現状維持」です。
私の意見しか存在しないからです。
もし誰かが私に反論しても、どちらかの意見になるだけなら「現状維持」です。
でも対話をすると、お互いの考えから学び合って新しいものも生まれるかもしれません。
それは「想像や変化」に向かいます。
そして「共創」になると、もうそれが私の意見なのかあなたの意見なのかもはやわからない状態になります。
対話ができることで、共感に向かう、共創に向かうコミュニケーションにも発展していくと思います。

共創力を高めるために対話が欠かせないということです。

傾聴

よくある間違いについてもお伝えします。
「分かり合えているつもり」という話です。
普通私たちは人の意見を聞いて「あ、分かった」と思います。
でもその時は相手の意見を自分の経験に当てはめて解釈しています。
相手の世界を本当に理解しているとは限りません。
また、私たちはよくわからない意見に遭遇した時には、自分には理解できないからおかしい意見だと思います。
しかし、その時に何が起きているかというと、その人の意見を解釈するために必要な経験を自分が持っていないということです。
そういう時こそ相手の背景を聞いてみるべきだというのが対話のアプローチです。

事例 意見だけを聴く

対話の大切さについて、事例を紹介します。
カレーが好きだという話で盛り上がっても、
お互いのイメージするカレーは違うことがあります。
これは、言葉の解釈が人それぞれだからです。
相手の背景を聞くことは、コミュニケーションにとても大事です。

同質性を活かす文化

しかし、多様性を認めるだけでは足りません。
私たちは、同じような人と仲良くなりたいという傾向があります。
日本は特にそうですが、海外でも同じです。
この図は海外で学んだものですが、日本ではもっと顕著かもしれません。

多様性があっても、共通点を探してしまうと、
左の図のようになります。
「私もそう思います」とか「同じ意見ですね」という風に共感する部分だけを強調しています。
多様性が消えてしまっています。

多様性を包摂する文化

多様性を活かすには、意見の違いを賞賛することが大事です。
「その発想は素晴らしいです。もっと教えてください」
「その意見は私と真逆です」という風にして
違いをハイライトしていくことで、
対話ができますし、多様性を価値に変えることができます。
今は、多様性を無視して対話していることが多いのではないでしょうか。

3つの聴き方

さらに、対話は知識のインプットだけでは終わらせないことが重要です。
①「知識を得る」で終わる、あるいは
②「自分の解釈で理解」して終わるというのは
対話としては残念な結果です。
対話には③「学習と変容」のチャンスがあります。

学習では、「どんな世界なんだろう」「どんな気持ちなんだろう」と想像してみます。
共感では、その人の立場になってみることで、その世界を感じ取ります。
そうやって相手の話を深く理解した後に自分を振り返ると、
自分の考えや見方が変わっていることに気づきます。
その変化を自分でも認めていくことで、対話は学びの機会になります。

「人間は対話からしか学べない」

オランダで教わった言葉ですが、「人間は対話からしか学べない」と言われました。
小学校の校長先生に言われて、最初は理解できませんでした。
でも今はこんな風に説明できます。

事実と解釈

私たちは同じ事実を共有してもらっても、同じ事実を拾わないんです。
人それぞれ拾うものが違っています。そして解釈も違っています。
私たちの学びは本当に多様で、認知の4点セットが影響しています。

だから、他の人たちの学びを通して、自分が学べないことを学ぶことができます。

認知の限界

実際に私たちは1100万ビットの情報を受信していますが、
40ビットしか認知できません。
私たちの認知は限られていて、自分の意識の世界の範囲でしか認知できないのです。

本を読んで線を引いているところには学びはないと言われました。
線を引いているところは、すでに大事だと知っているところです。
「学びがない」という意味です。
では、線を引いてないところの学びを探すにはどうすればいいでしょうか。
やはり対話が一番です。
他の人がどこに線を引いているか見てみたり聞いてみたりすることで、
新しい学びが見つかります。

以上のようなことを本に書きました。
問題解決やクリエイティビティを高める対話も紹介しています。
ぜひ読んでみてください。

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