「孤独感とは?」対話カフェそもそも レポート#22
【開催日時】
2023年9月23日(土)
12:45~14:45
@池袋会場
第22回のテーマは「孤独感とは?」です。
今回の問いは「孤独」ではなく「孤独感」。
客観的事実ではなく、私たちの感覚を考えます。
私たちはどのようなときに孤独感があると判断しているのでしょうか?
どんなときに、何をしたら、孤独感が生まれるのか?
「孤独だ……」と思うのは、何が原因なのでしょうか?
孤独感について20代で対話したレポートです。
はじめの問い
まずはテーマについて、抱いている問いを挙げていただきました。
「どんなときに孤独感を感じるのか?」
「何と比較して感じるのか?」
「孤独と孤立の違いは?」
「孤独は悪いことか?」
「孤独感とつきあっていくには?」
「一人きりで孤独を感じられるか?」
これらの問いが挙がりました。
孤独と孤立の違いをはっきりさせてから進めたほうが良さそうなので、まずはこちらの問いから。
孤独と孤立の違いは?
辞書に書いてある定義の違いではなく、皆さんが抱く印象の違いを洗っておきます。
孤独と孤立、それぞれから連想するワードを列挙しました。
孤独
相対的、主観的、自己対話できる、必要なもの
ワクワクできる、ポジティブ
比較して感じる、繋がっていても感じる
孤立
絶対的、客観的、ぼっち感がある、不要なもの
社会的に孤立はしんどい、ネガティブ
事実や現実
かなり対比的な内容となりました。
一人きりで孤独を感じられるか?
「感じられる。私にとって孤独は自己対話ができる大切な時間」
「社会で生きている限り、完全な一人きりというのはないと思う。孤独は、社会の出来事や、人とのつながりを一旦遮断して、整理できる時間」
「一人でいる時間が長すぎる場合は、逆に孤独を感じなくなる。孤独でいることを自分で選択していたなら、孤独は感じづらい」
孤独を感じるケース、感じないケース、具体的な例が上がりました。
どんなときに孤独を感じるのか?
「映画を観た後などに、一人で作品について考える時間がある。自分一人だけで、そういった思索にふける時間に、良い意味での孤独を感じる。ただ、孤立も感じる」
「みんなで遊んだあと、一人きりになったとき」
「自分の感想を他者と共有できないとき」
「心がネガティブな状態になっていて、誰かにSOSを出したいとか、誰かと話したいという思いを抱いているけど、それが叶わないとき。常に孤独を感じるというより、満たされない瞬間に感じる」
「誰かと話したいというのは、どうでもいい雑談ではなく、もうちょっと深かったり重かったりすることを話したいってことですよね?」
「そうですね。それを誰かに聞いてほしい、その内容を誰かに理解されたい、というときです」
「他者に理解を期待して、理解されなかったとき。例えば、この人ならわかってくれると思って悩みを打ち明けたけど、「そんなの普通のことだよ」とか言われて、理解してもらえなかったとき」
「これまでの要約に近いですが、社会や人とのつながりはあっても、瞬間的に感じるものだと思います。孤立はなくても、孤独は感じる」
「他者にこうあってほしい、という期待があって、それが裏切られたときに感じる」
『理解』というワードが頻出しました。
何と比較して感じるのか?
「自分が抱く理想。理想があって、それと比べて「なんで私はこうなんだろう」となる」
「自分よりコミュ力高い人を見て、そう思う人は多い印象」
理想との比較、コミュ強との比較。
孤独は悪いことか?
「私にとっては自己対話のための大切な時間なので、みんなもっと孤独な時間を取ってもいいくらいに思っています」
「悪いこととは思いたくない。自分以外はそもそも他者。他者から理解されないことからは、逃れられない」
「悪くない。さきほども出ましたが、孤独はワクワクできる時間。自分にとっては、人との違いを集められる良い機会だと思っている」
「同じく、悪くないと思う。他者に理解されなかったで終わらず、自分を深めるために孤独を使えたら良い」
「全員が悪くないになりましたが、哲学対話みたいなイベントに来ている人たちだから「悪くない」が多くなっているような気がします」
(一同笑)
「そもそものコミュ力が足りなくて、孤独が深まる人は多そうです」
「その場合のコミュ力って、具体的にはどんな内容ですか?」
「人との違いを受容できないとか、そもそも違いを感じられない、とか。違いを感じるにもコミュ力がいる」
「人との違いを受け入れられない人は『孤独は悪いこと』と思いがち」
コミュ力と孤独も関係性がありそう?
孤独とつきあっていくには?
「さきほどのお話とつながりますが、『他人との違い』と『他人と違う自分』を受容できればつきあっていける」
「『他人は、自分と違う意見を持っている』ということを当然だと思えること」
「ベン図で例えると、AさんとBさんには重なる部分もあるし、重ならない部分もある。重ならない部分を認める」
「他者と共有したい事象を明文化する力、だと思う。相手と共有できること、共有できないことを自分の中でハッキリさせていけば、お互いに理解できないことを減らせる」
「明文化していけば、『あの人には何を言ったってわからないよ』というケースを避けやすい」
「これはやっぱりAB両者ができてきないといけないですよね?」
「そうですね、片方が受容できなかったりするとうまくいかないと思うので、両者ができていないとですね」
「出会ったころはお互いに見えている範囲が狭いので、ベン図の重なりがとても大きく感じることがある。つきあっていくうちに、相手のことがよく見えてきて、実は重なりが少なかった、ということも起きる」
「その代わり、一緒に過ごす時間が長くなれば、共通体験も増えて、その部分の共有が増えることもありますね」
「今はベン図の例えで話していますが、自分はベン図ではなく、インクの滲みが混ざっていくようなイメージ。自分の滲みの周りに、他者の滲みがあって、重なり合ったところの色が変わる」
「なるほど、面白いですね」
残り時間も減ってきたので、新たな問いを募りました。
今、孤独とつきあっていけていますか?
「つきあっていけています」
「つきあっていけていると思っていたんですが……期待を裏切られて生まれる孤独を感じていたんだな、と対話で気づきました」
「自分もできていると思っていたけれど……理解されなくて孤独を感じた経験から、その先を考えたことはなかった。さっきのベン図で言えば、出会った頃の小さいままでも良いと思っていた。他者を知って、自分の中で違いを明文化することで、孤独の質をもっと良くできるのかもしれない」
『孤独の質』、良いワードですね。
今後、孤独とつきあっていける自信はある?
「わからない。今は周りにいろいろな人がいて、その人たちと共有できている合計値が大きい。今後もし深く付き合うパートナーができた場合、これまで持っていた色の数が減っていくのが怖い。パートナーとの良好な関係と、色の数を両立できる未来が見えない」
「つきあっていける自信はある。他者に理解されないことや孤独になることの覚悟をそもそも持つべき。でも、色の例えで言うと、モノクロに近いと寂しいかも……どうなんですかね?」
「わからない。自分は変化していくし、相手も変化していく。人間関係の色合いは変化していくもの。これから孤独が強まるかもしれない」
このあたりで時間いっぱいとなりました。
ファシリテーターの思うこと
全員が孤独をポジティブに受け止めている、というメンバーでの対話となりました。
孤独感を深堀りしたとき、『理解』というキーワードが頻出したことは、孤独を考えていくヒントになりそうです。
後半で出た、人間関係を『インクの滲み』として捉える考え方は興味深く、参加者の皆さんも取り入れやすいイメージだったと思います。
こういった新たな視点や考え方が得られるのはとてもありがたい経験ですね。
参加してくださった皆様、ありがとうございました。
次回の開催案内
次回は2023年10月14日(土)開催。
テーマは「劣等感とは?」です!
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