ケンカする隣人(台湾人)
私は台湾で働く日本人だ。台北では6回引っ越しており、今までに7部屋ほど住んだことがある。
さて、今の部屋は「分租套房 」 という、大家が一つの大きな部屋を改造して何人かが住めるようにした借家システムだ。
ここの部屋は壁が薄い。
鍵はトイレみたいなドアノブの真ん中のボタンを押してドアを閉めると鍵がかかるタイプで、セキュリティすかすかだ。
私は4つの部屋の中の1部屋に住んでいて隣人は3人だ。
そのうちの2人は大学院生のカップルが一部屋ずつ借りている。
突然だが、そのカップルは以前、夜中の2時に大声でケンカしたことがある。
一時、心を病んでいて慢性的に眠れなかった時期、夜中に突然何かをたたく大きな音がした。
なんだ?生活音にしては大きいぞと思っていたら、その音はどんどん大きくなり、ドン!ドン!と一定のリズムで鳴り始めた。
すると、「開門啦!(開けろ!)」 という男の低い大きな声が響いた。
女の「你要幹嘛!!!(何するの!)不要過來!!!(来ないで!)」という大声も、薄い木製のドア越しに聞こえた。
その夜は怖すぎて朝まで眠れなかった。
台湾には「恐怖情人」という言葉がある。
恋愛のいざこざで殺人事件が起きた場合、殺人した側をそう呼ぶのだ。
脳裏をよぎるのは、その言葉だった。
私の住んでいるところで殺人事件が起きたらどうなるのだろう…。
私も口封じのために、まとめて殺されてしまわないだろうか…。
あらゆる可能性が頭を駆け巡った。
さて、その後はどうやら彼女の方が警察を呼んだらしく、殺人事件は起こらなかったのだが、さっきまた喧嘩の大声が聞こえてきた。
女が叫んでいた。
怖すぎるけど、もう勝手にしてくれという気持ちだ。
めんどうに関わりたくない。
どうせそのうち、また勝手に仲直りするだろう。
そうだ。こうして、私は台湾抗体を強めてきた。
今の私は少々のことでは驚きやしないよ。
毎日投稿、3日目。
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