中国語の入力方法の違い① ~一般的方法(拼音/注音)編~

みなさんこんにちは、WEBサイト『台湾音楽ノート』を執筆している『台湾音楽ノートの中の人』です。今回は中国語を学習する上で避けては通れない「中国語の漢字を入力・発音する方法」について説明したいと思います。

このページを訪問しているということは、中国語(台湾では台湾華語、國語などとも言いますが、日本では”中国語”として学習する方が大半であることから、便宜上”中国語”としています)の勉強をしている、或いは中国語に興味があるといった方々ではないかと思います。拼音(ピンイン)や注音(ジューイン)といった日本人に馴染みのあるものから倉頡(ツァンジエ)や五筆(ウービー)と言ったマニアックなものまで、複数回に分けてカバーしていきたいと思います。

※スマホでの入力例を取り上げます。

はじめに

日本語の文字を入力するとき、漢字を入力する場合は普通平仮名を用い、変換することで漢字を表現していると思います。

例えば漢字の「日本人」と入力する時は、「にほんじん」と平仮名で入力することで変換が可能ですよね。

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このような入力方法には「読み方」を理解する役割もあります。日本語が理解できる人であれば、漢字の「日本人」は「にほんじん」と読む、とも解釈することができますよね。

では平仮名を使わない日本以外ではどのように漢字「日本人」を入力・発音しているのでしょうか。

①中国大陸の場合 「拼音(ピンイン)」

中国大陸では主に拼音(ピンイン)と呼ばれる入力方法が使用されます。日本でいわゆる中国語を学習する方のほとんどが、この拼音という表記方法を使って文字を入力したり、発音を学習したりしています。

漢字に対して割り当てられた拼音表記を覚えないことには、その漢字は入力できないですし、発音もできません。

例えば、拼音で漢字の「日本人」と入力する時は、拼音キーボードのラテン文字で「ri ben ren」と入力することで変換が可能です。

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上記は中国大陸で一般的に使われる漢字の種類「簡体字(かんたいじ)」を入力するための拼音キーボードです。基本的には簡体字を主とする中国大陸の人々はこの拼音キーボードを使用します。

これは「日」=「ri」、「本」=「ben」、「人」=「ren」であるという、入力したい漢字の拼音表記をきちんと把握していないと成り立ちません。

また、拼音は普通発音の音程を示す声調記号というものが付いており、本来はその形が正しいのですが、この声調記号を含めると漢字に変換できないという仕様になっています。実際声調記号を打っていたら時間ロスに繋がるので要らないのですが。

例えば「日本人」は正確な拼音では「rì běn rén」と書き、その発音の音の発し方がラテン文字の上部に記載されます。しかし、これを入力すると変換はされない仕様になっています。

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②台湾の場合 「注音(ジューイン)」

一方で台湾は全く異なる入力方法が使われています。台湾で主に使用されているのは「注音(ジューイン)」と呼ばれるもので、台湾版平仮名とも言われることがあります。

実際に注音のキーボードを見てみましょう↓

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見たことのない文字の集まりにビックリしている方もいるかもしれません。台湾では前述の拼音、つまりラテン文字を使った漢字入力の習慣はなく、多くの方はこの注音を使って文字を入力したり、漢字の発音を表記します。

日本でもスマホで中国語を入力している人を電車でよく見かけますが、注音キーボードを使用している場合は高い確率で台湾の方でしょう。なお、私の周りにいる中国大陸出身の方々で注音を理解できる人は1人もいません。

この注音は通称「ボポモフォ」とも呼ばれています。これは上記キーボードの一番左端の4つの文字「ㄅㄆㄇㄈ」の発音を取ったもので、カタカナで書くと「ボポモフォ」になるのです。

実際の入力を見てみましょう。漢字「日本人」を注音で入力すると「ㄖˋㄅㄣˇㄖㄣˊ」となります。

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拼音とは異なり特殊な文字を覚えるところからはじめないといけない分、注音は少々ハードルが高い入力方法ではありますが、拼音よりもより正確な発音に近い入力方法であること、一般的に声調記号を交えて入力する習慣があることが、中国語学習者にとっては有益になるとも言われています。また、台湾ファンの多い日本では、台湾人が使用する入力方法というところに惹かれ、進んで勉強している方、台湾留学を通して注音も習得している人もいます。

ところで、上記「ㄖˋㄅㄣˇㄖㄣˊ」を見て気付いた方がいるかもしれません。注音では声調記号をあわせて入力する習慣があります。また、入力システムはこの声調記号があっても無くても対応していますので便利です。すなわち、「ㄖˋㄅㄣˇㄖㄣˊ」でも「ㄖㄅㄣㄖㄣ」でも正しく「日本人」という変換結果を導き出せます。実際にはこの声調記号を入力する癖をつけている方が、発音が正確に覚えられ、また、漢字の変換時に声調記号を使うことで変換候補が絞られるため、効率的に漢字を探すことができるというメリットがあります。

なお、日本における中国語学習が拼音メインで行われていることから、参考書はほとんど全てが拼音で書かれており、注音学習者には不利であることは言うまでもありません。

今回は「中国語の入力方法の違い① ~一般的方法(拼音/注音)編~」として、日本人の中国語学習者が使っている主な入力方法の拼音と注音を紹介しました。次回は台湾の一部及び香港で使用される倉頡五筆、その他便利な機能を紹介します。

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