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続。 台湾の古いものたち 「台湾の古い食器のたのしみ」

以前このnoteに 「台湾の古いものたち オールド大同のたのしみ」と題して、台湾を代表する食器メーカー大同磁器の廃盤デザイン「オールド大同」についての記事を書いた。こちらは続編。

台湾の古い食器が好きで、あちらこちらと食器探しをしていると、台湾には大同磁器の他にも様々な食器メーカーがあったことに気づく。金義合、大中、正徳、億安、国際、奇龍、などなどがよく見かける名前。(今も現存するのか筆者の勉強不足で不明)
台北近郊の陶器の街として有名な鶯歌の他、温泉街北投にも様々な窯元があったよう。このような台湾の製陶の歴史については「鶯歌陶瓷博物館」へ行くと詳しく知ることができる。

色々なメーカーの器を見ているうちに気づくのが、なぜだか台湾の古い食器にはメーカーは違うのにデザインが同じものがある、ということ。

様々なメーカーのカラーの花のオーバル皿

例えば上の写真。こちらはどれもカラーの花のデザインのオーバル皿。(ちなみにカラーは中国語で「海芋」春になると陽明山のカラー畑が見頃になる)ぱっと見れば同じ柄、同じ形なので、あるひとつのメーカーのシリーズかと思うかもしれない。ところが…..

裏返してみれば、全て違うロゴ

実は裏の印を見ると全て違うメーカーのもの。大同磁器もあれば、慶同磁器、OKD、Taitionなどのこれまた食器探しの中でたまに見かけるメーカー名が。こういった食器の裏印を見るのも古い食器のたのしみのひとつ。筆者はそのロゴのデザイン自体にも興味があり、ロゴだけの写真を撮り集めていたりする。

ほぼ同じデザインだけどメーカーは違う

よく見ると微妙な違いがあるものの、図案がほぼ同じなのが不思議だったのだけど、羅東(宜蘭)にある台湾の古い器や陶製品を集めた博物館「台灣碗盤博物館」で館長に色々と聞いて分かったのは、昔は台湾では食器の窯元と図案の転写紙を作る業者が別だったということ。つまり、それぞれの窯元が気に入った図案を転写紙業者から買うので当然同じものを使うことが起こり得るし、さらに当時は版権のような概念もなかったよう。カラーの花などはきっと人気があってあちこちの窯元が同じ転写紙を買っていたのだと思われる。

さて、メーカー違いを見比べる楽しみの他に、今度は同じメーカーで時代の違いを比べる楽しみも。例えば大同磁器の薔薇のデザイン。

全て大同磁器の薔薇のデザイン

上の写真の中には3種類の薔薇のデザインがあるけれど全て大同磁器のもの。どれもすでに廃盤となった「オールド大同」のデザインだけど、下段の小さめの薔薇が連なる柄は今も台湾の食堂などで使われているのをよく見かける大同の定番といえるデザイン。その定番薔薇柄の中でも左端のように金や銀で縁取りされたものは古く、右ふたつのような縁のないものはレンジ対応可能な現代のものという違いもある。(長くなるので割愛するけれど全く同じ薔薇のデザインでも時代により色も違う)

それぞれ時代が違う

真ん中が一番近年のデザインであること以外、左右の薔薇はどちらが古いものであるのか筆者にも分からない。こういったデザインについて大同磁器でも把握していないらしく資料がないので分からないけれど、右の大きな薔薇は特に珍しくて出会える頻度がとても低いことから考えると、もしかすると右が一番昔のものかもしれない。(たしかに裏印も古い)

歴史がそれほど長くない台湾において古い食器といってもこれらは50〜60年前程度のもので、台湾の人々にとってはまだ生活雑器の域を出ておらず、ましてやアンティークというには程遠いためか西洋の古いブランド食器のように図案や裏印について研究したり、系統立ててまとめたりしている資料というものが見つからないけれど、これから先徐々に少なくなっていくこんな器を愛でる人が増えるといいなと思っている。

“台湾の古いものたち”をテーマに、食器をメインに集めてきたものをインスタグラムでカタログ的に並べたアカウントを作っているので、ご興味ありましたらご覧ください。→→→ @taiwan5gold

文中に出てきた 食器の博物館や蚤の市についてもblog 「そこはかノート」に記しています。



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