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SmartHRからのMBOと約2億円の資金調達を実施。初体験が大盛りな話。

はじめまして、kickflowの重松(@taitodada4)と申します。初noteです。

先程こちらのプレスリリースを出したのですが、36歳にして初体験が大盛りでした! 

📝  MBO後もkickflowの運営メンバーや提供サービスに変更はございません。投資家であるHeadline Asia、mint、GREE Venturesの3社とともに、
これまで以上にプロダクトとサービスを成長させていきます!

いろんな有益情報がシェアされる昨今ですが、「スタートアップのMBO&資金調達」がセットになっている体験談やノウハウがあまり見当たらなかったので近況報告も兼ねて残しておきます。
※とはいえこのnoteもノウハウの形ではなくて備忘録にとどまっています。やってみて分かったのは個社事情が多すぎてノウハウ化が難しいこと…🙇‍♂️

久しぶりに記事を書くので緊張しています。何か気になることがあればTwitterまでDMでご連絡いただけると嬉しいです。

1. 私は誰? kickflowって何?

はじめに私と会社について簡単に紹介しておきます。「どういう人(会社)が」という主語があったほうが自分は理解しやすいタイプなので書きましたが、本題ではないのでここは読み飛ばしてもらっても大丈夫です。

●重松について

2010年頃から10年ほど主にWebディレクターやPdMとしてインターネット業界で仕事をしてきました。ざっくりキャリアはこんな感じです。

・iichi(村式、Pinkoi)でWebディレクター
・Kyashでプロダクトマネージャー、VP of Product
・SmartHR Insuranceで代表(立上げと事業撤退)
・kickflowで代表

プロダクト側の経験が長かったのですが、今はビジネスとコーポレートを中心にみています。PdM→セールスへの転職話が好きなのですが、それは別の機会に。

ストレングス・ファインダーの結果も書いておくと「調和性」「親密性」「包含」「回復志向」「学習欲」が上位5つです。

守りが得意そうな結果で個人的にもしっくりきている一方、あまり起業家っぽくない性格だと自認しているので、つい周りの人たちと比較して自信喪失することもあります。

実は資金調達の際にも近しいことで指摘をうけ「やべー、どうしよ…」と少し悩みましたが、最終的には「まあこれが自分の性格だし、この気質を活かして戦っていくしかないな」と受け入れたらうまく進み始めました。そういえば「競うな。持ち味をイカせ」的なことを範馬勇次郎氏も言ってましたよね。

守り寄りの思考を活かしながら事業としてはどんどん攻めていければと思うので、ぜひ応援してもらえたら嬉しいです🙏 

●kickflowについて

kickflowを一言でいうと「中規模から大企業向けの稟議・ワークフローSaaS」です。2020年2月にSmartHR子会社として設立し、多くの企業が抱える稟議の課題解決のために「オンプレミスとクラウドの良いとこ取り」を目指しています。

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https://kickflow.com/

この領域の歴史は古く、既にプロダクトが数多く存在していることもあり「スタートアップ的な面白み」がなさそうに見えますが、実は「稟議・ワークフロー」はSaaSスタートアップにとって魅力的な領域です。

・企業の意思決定を支え事業成長に貢献するという意義がある
・市場がもともと大きく今も拡大し続けている
・IT化が早期に進んだ一方でアップデートが遅れていて課題を抱えている企業が多い

→ 「意義がある」「市場が大きい」「課題が多い」という3点セット!

「まだIT化されていない領域の課題解決」と比べて「IT化されているけどアップデートが必要な領域の課題解決」は少し地味ですが、すべてのプロダクトが歴史を重ねていくという意味においては、今後その重要性がどんどん増してくるはずです。この領域での起業を盛り上げられるようにやっていき💪

2. 何でMBOしたの?

本題に入っていきます。

まず前提として。グループから離れる決断をしましたが、今でもSmartHRのことが大好きです。

グループ会社として「半分中、半分外」の状態が約2年ほど続いていましたが、SmartHRは外から見える姿より、中から見ている姿の方が凄いと思っています。外部に発信している以上のことをやり続けていてほんと凄い。

「じゃあ何でMBOしたの?」って話ですが、プレスリリースにも書いたように成長戦略に関する考え方の違いがあったからです。

少しだけ具体的にすると、違いがあったのは「目標と速度に対して、どういったリスクを許容し、どういった資本政策を取っていくか」という観点です。ここはkickflowが事業を開始した当初は決まっておらず後から議論した点で、SmartHR(親会社)は「グループ全体の最適化」を、kickflow(子会社)は「自社事業の最適化」をそれぞれが考えた結果、利害が一致しない点がいくつかあったという感じです。

とはいえ考え方の違いなんてどこにでもあるものなので、当初は「テクニカルに解消できるだろう」と議論を重ねていました。しかし途中から平行線をたどるようになり、そのタイミングで「スタートアップ2社が同じ話で議論し続けるのは時間がもったいないので、MBOという選択肢も考えてみては?」という話が出てきて、最終的にMBOを選んだというのが経緯です。(※補足1)(※補足2)

SmartHRの皆に会社としても個人としても本当にたくさん助けてもらってきたので、綺麗事を言うつもりはないのですがいつか何らかの形で恩返ししたいと思っています。(※補足3)

📝 補足1
「議論の中身をもっと具体的に知りたい」という方がいるかもですが、SmartHRグループの方針もどんどんアップデートされていて当時と今では状況が違うのと、2社の今後に関する話が山盛りなので開示しません。ごめんなさい!
📝 補足2
反省点がどこにあったのかを考えると、やはりこの議論を初期にしなかったことです。
しかしこの記憶を持ったまま当時に戻れたとしてもすんなり行くとは思ってません。というのも「新規事業がどうなるかはある程度進まないと分からない」ことであり、かつ「新規事業がある程度進んだ後だと遅い」ことだからです。無限に難しい…。
これは鶏卵な問題で多くの会社が今後も頭を悩ませていく点だと思っていますので、(個社事情の話は出来ないのですが)何かご協力できることがあればぜひご連絡ください。
📝 補足3
SmartHRでの思い出写真(一部)です。めっちゃ青春でした。
note_文中
【 左上 📷 】
グループ会社としていろんなイベントに参加させてもらいました。画像は「WORK and FES」に登壇した際のものです。これまでステルスでやっていたので「社名非公開」の謎の会社として参加してたのも良い思い出です。
【 左下 📷 】
社内に各領域のプロフェッショナルがいたので実は宮田さんに相談する機会はそう多くなかったのですが、戦略に関するここぞという意思決定時には宮田さんに壁打ちして貰っていました。また、経営者としての考え方をたくさん学ばせてもらったので、宮田さんの口癖がいくつかうつっています。
【 右上 📷 】
玉木さんは私のレポートラインで、会社設立前のヒアリング時から協力してもらってました。kickflowはSmartHR社内の課題がきっかけで生まれたプロダクトなのですが、そのヒアリングも玉木さんによるご縁からでした。
【 右下 📷 】
部活動にもたくさん参加させてもらいました。画像は「#趣味_串カツ田中」での一コマです。画像ないのですが「#趣味_語感」もおすすめです(語感が良い言葉をひたすら投稿するチャンネル)

3. MBO&資金調達はどんな感じだったの?

「MBO&資金調達」は私と共同創業者の小林(@kobakei122)、セールス&カスタマーサクセスの乾(@tomokiinui)の3人が中心となって挑みましたが、ぶっちゃけ超大変でした。

というのも「スタートアップのMBO&資金調達」がセットになっている事例があまりなく、また3人ともMBOの「M」の字も資金調達の「資」の字も分からない状態だったからです。まずやったのは関連ワードでググること。そのぐらい最初はチンプンカンプンでした。

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さっき見たらこの検索結果、ほとんど紫になってました

何かしら象徴的なエピソードや武勇伝が生まれてたら良かったのですが、銀の弾丸なんてものはなく地道に「調べる」「形にする」「レビューする」「出す」「更新する」を繰り返すことでなんとか着地させられた次第です。ちなみに3人の役割分担はこんな感じでした。

・「調べる」小林&重松
・「形にする」重松
・「レビューする」小林&乾(+ 各士業の先生方)
・「出す」重松
・「更新する」小林&乾&重松
※ それぞれ兼務の形で進めていました


反省点をあげるとすれば、経験や知識不足による遠回りが発生していたことです。経験に関してはやりながら学ぶ必要があったとはいえ、知識に関しては「何であの時もっと調べなかったんだろう」「何でもっと聞いておかなかったんだろう」と体感で20~30%ぐらいは効率化できそうなポイントがあったので悔やんでいます。(今後に活かしていきます)。

というわけで。

似たような境遇の方は少ないと思いますが、いつか誰かの役に立つかもしれないので、「過去の自分に伝えるなら?」という気持ちでMBO&資金調達時の備忘録を残しておきます。経験者には当たり前かつ初歩的なことだと思いますので、温かい目で読んでもらえると嬉しいです。

備忘録(MBO編)

・外部から資金を入れてもらう形でのMBOの場合は、「MBOの話(主に既存株主)」と「資金調達の話(主にVC)」を並行して行うことが多いので、両者の条件を固めていくのが難しかった。あっちが固まらないとこっちが固まらないし、こっちを固めるにはあっちを固める必要がある、そんな世界。
→ 弊社は「右手、左手、右手」とはしごを登るような形で交互に進めましたが、今の知見のままもう一度やるならどちらか片方の話を一気に進める気がします。その方が3者とも楽になりそうです。

・MBOのスキームはいくつかあって「どれが自分たちに最適なのか」「そもそも選択肢はこれで全てなのか」を見定めるのが難しい。
→ MBO経験者へのヒアリングやネットの情報、各士業の先生方への相談を経て、弊社はSPC(特別目的会社)を利用するスキームで今回のMBOを実施しました。ちなみにMBO経験者はそれぞれ別のスキームでしたので、全てではないのですがそのスキームとの比較検証はできました。

・SPCスキームは普通の資金調達に近づいて楽になる一方、会社が2つに増えることから書類や考慮すべきもこともその分増える。事務作業が大量にありその全てが連動しているので、タスクを切り出すのが難しかった。
→ あとから考えると
切り出せないタスクなんてのはなくて、「タスクを切り出せない」のは自分のスキル不足でした。気づきは次回に活かそうと思いつつ、事務作業時に工夫したのはとにかく手元のファイル管理を綺麗に行い、書類をコレクションしている気持ちになること。最後の方のまとめスプシは壮観で見るたびにテンション上がってました。

備忘録(資金調達

・はじめての資金調達だったのでそもそも何をどう進めていくのかピンときていない。ネットの情報だけだと手触り感がないので、自分なりの型が出来るまでは苦労した。
→ 友人知人にめちゃくちゃヒアリングさせてもらいました。テクニック的な話も参考にさせてもらいましたが、どういうマインドで挑んでいたのかを教わったのが一番良かったです。あとはVCの方に「はじめての資金調達なのでこのミーティングに対してもフィードバックください」とお願いしてたのも良かった気がしています。とにかく資金調達の感覚を掴むことが自分にとっては重要でした。

・VCの知人もほぼいないしその生態系もよく分かっていない。なのでどうアプローチすれば良いか分からない。
→ 生態系(どういう思考の人が多いのか、追っているKPIなど)はネットで調べた内容をもとにVCの方にヒアリングさせてもらいました。また、アプローチについては問い合わせフォームだと返信が少なかったので、途中から友人知人の力を借りてお話したいVCをご紹介いただきました。本ラウンドのリード投資家であるHeadline Asiaさんは鎌倉仲間が所属しているVCでしたのでご縁を実感しています。

・VCに断られると辛い。特にフェーズが進んだあとは。メモに「大学受験に落ちたのと告白して振られたのをミックスした気分」と残してあった。
→ 抱え込んで爆発する前にチームに相談したり時には愚痴ったりすることで乗り越えました。あとは資金調達中もお客様とのミーティングを継続していたのは良かったです。「目の前にいる人の課題解決のためにやってるんだ」と思い出しては勇気をもらっていました。

簡単にまとめてみましたが、本当に色々ありました。無事に着地できたのはSmartHRはじめVCや士業の先生方、相談させてもらった先輩起業家や経営者など多くの皆様のサポートのおかげです。また、一部のお客様にはインタビューにもご協力いただきました。皆様ありがとうございます!

4. これからどうするの?

一段落ついたので、引き続き「顧客の課題解決」と「事業成長」に集中していきます。

事業パートでも書きましたが、稟議・ワークフローの領域は「意義がある」「市場が大きい」「課題が多い」というSaaSスタートアップにとって魅力的な3点セットが揃っています。

さて、という話です。あとはプロダクトと事業を伸ばしていくだけなのですが(そしてそこが一番難しいのですが)、人が足りていません😭

細かいことは言いません。自由に暴れまわる環境をご用意しますので、一緒にやりませんか? 自分の力を最大限試してみたい、そして出した成果のリターンも期待したいというチャレンジャー気質のある方には今が最高に楽しい環境だと思っています!

そしてSmartHRも絶賛採用中です。「これだけ大きくなってると自分が活躍する場が少ないのでは?」と思う方がいるかもしれないですがご安心を。あのSmartHRでさえ市場のわずか「1%」にしか普及していないとのことです。(SmartHR採用情報より)

つまり1%→100%の戦いがこれから待っているのです。それゆえあなたの力が必要なのです! 個人的にも自社以外で一番入社したい会社です。興味ある方は以下よりご確認ください。

5. 最後に

これまで本当にたくさんの方々のお世話になったので、ペイ・フォワードしていくためにも何か自分がお力添えできることがあればいつでもご連絡ください!

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