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学ぶ楽しさをみつける姿勢(昔話)

FOLSでは学ぶ楽しさをみつけた生徒さんが、”どんな環境”で、”どのように”対話をしていたのか、をこれまでお伝えしました。今回は学びの姿勢について探りたいと思います。

背筋をピンと伸ばして目から30cm程度離して教科書・ノートの読み書きをしましょうといった物理的な姿勢の話ではなく(それも大事ですが)、学びへの向き合い方、学びの取り組み方といった習慣や性向に近い姿勢についてのお話です。

僕は教育実習を経験しているのですが、実習担当の先生からこんなことを教わりました。「1時間の授業をするために30時間の予習をしなさい。それは1年目では無理かもしれないけれども、5年10年と時を重ねながら30時間分の予習を積み上げなさい」と。

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例えば中学歴史の準備。準備もせずただ教科書を読み上げて問題集にあたるよう指示しても、生徒さんが学ぶ楽しさを見出すのは困難です。先生が準備を積み重ね、天皇制とは何なのか、奈良仏教は原始仏教とどのように異なるか、また鎌倉仏教との違いは何か、武家政権のユニークさはどこにあるか、日本の民主主義化の課題はどんなか、などを理解した上で教科書を通した説明に入る授業は、先の授業に比べ学ぶ楽しさはずっと見出しやすいはずです。

教育は、経験や知識、技術のバケツリレーのような性格を持っていると思います。

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大学卒業後の僕は、教養を深めるため(編入扱いで)通信教育を受けていました。先生になった僕に、たくさんの先生がいたわけです。

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生徒さんは先生から学び、先生は先生の先生から学び、先生の先生もまたその先生から学んでいます。この代々、連綿とつづく学びの質をいかにして維持し、あるいは高めるかという労苦や研鑽は学ぶ楽しさにつながっていきます。

1時間の授業につき30時間の予習は、目の前の生徒さんだけでなく、未来のまだ見ぬ生徒さんの生徒さんにも伝わっていくのです。学びの初動は「まねび」です。まずは先生の姿勢を真似し、次に自分に最適化し、それをまた誰かに真似させ、の連続です。

生徒さんの学ぶ楽しさをみつけやすくするためには、まずは先生である僕自身が学ぶ楽しさをみつける必要がありました。今ふり返れば、実習担当官から教わった僕自身が学ぶ楽しさをさがす姿勢こそが、生徒さんの学ぶ楽しさをさがすお手伝いになっていったのだと思います。

と言っても、僕の社会の授業を気に入ってくれてた生徒さんは10%くらいでしたが(笑)

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