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疲弊感ただよう職員室のリアル

□景色
教員は働きすぎている。
平日の平均労働時間は12.03時間。およそ二人に一人が過労死ラインを超え、法定時間の基準内である一日あたりの労働時間が休憩含め9時間未満の教員は1%未満(2017年11〜12月の調査で22都道府県284中学校8112名対象、221校回答3982票回収)。なお持ち帰り業務の時間はカウントしていない。

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加えて92.1%(N=3169)は月に1回以上休日出勤しており、そのうち(N=2920)の約77%が週1回以上休日出勤している。

働きすぎている教員は自身の働き方に関して、どのように考えているのだろうか。

□本

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『学校の部活動と働き方改革 —教師の意識と実態から考える』
内田良ら 岩波ブックレット 2018年

目次
はじめに 
第1章 教員の働き方・部活動の実態
第2章 働き方・部活動における意識の分化
第3章 専門的知識や過去の経験から見た部活動の負担
第4章 学校のウチとソトの関係性と教員の働き方
おわりに

要約
自身の働き方の現状に否定的な回答をした教員は69.9%にのぼった。

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仕事を忙しいと回答した教員は92.4%で、「自分よりも忙しい教員がいる」と回答した教員も92.4%だった。また60.7%の教員が「ほかの教員よりも早く帰るのは申し訳ない」と感じている。

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職員室内で同僚という集団を基盤とする教員にとって、「忙しさ」を相対化させる相手が常に存在しているため、自ら忙しい状況でありながらも「自分よりも忙しい」人を参照し、自らの「忙しさ」を過小評価していくおそれがある。

ほとんどすべての教員は自身の働き方を「忙しい」と感じているが、同時にやりがいを自らの仕事に見出している教員が86.7%存在する。多忙な勤務状況の中でも仕事にやりがいを見出し、そうした状況を乗り切っている。

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部活動は、教育課程外であくまでも生徒の自主的、自発的な活動である(学習指導要領第1章総則の第5)とされるが、部活動顧問に就いているのは94.8%(N=3170)。部活動の顧問をストレスに感じているのは62.0%だった。

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が、楽しいと感じている部活動顧問も60.4%にのぼり、働き方への意識と同様に部活動に対しても教員はネガティブな意識のみを有している訳ではなく、ポジティブな意識も確認できる。

部活動に関する事項は、現在の大学における教員養成プログラムで必ずしも教えられるものではなく、教員たちは十分な研修機会を設けられていない状況下で、部活指導に携わらなくてはならないケースが少なくない。

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担当教科ごとにグループ分けし、部活動立会時間とストレスの関係性を見てみると、立会時間の長い教科の教員ほど部活動指導をストレスに感じる割合が低く、立会時間が比較的短くてもストレスを感じる割合の高い担当教科グループのいることがわかる(線、きったない上にてきとうでゴメンなさい・・)。

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忙しいと感じつつも9割近くの教員が仕事にやりがいを持って働いている現実があり、保健体育科の教員は部活動立会時間が長い一方でそのストレスが小さく、逆に立会時間が比較的短くても強いストレスを感じるグループ(外国語科・技術家庭科など)もいる傾向が明らかになった。単純に「長時間労働に苦しむ教員」というとらえ方のみでは、職員室のリアルは描けない。

□ひとりごと
後日、音声公開予定

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