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【コラム】ホメオスタシス

 「ホメオスタシス」を覚えていますか?中学校の理科で習ったと思います。

 「ホメオスタシス」とは、生体恒常性のことをいい、体温や血糖などの身体の状態を一定に保つ働きをいいます。例えば、人間は、暑いときには汗をかき体温を下げ、寒いときには体を震わせ体温を上げます。このように、一定の体温(以下、あるゆる基準を総称して「当たり前」とする)に戻すための働きが、ホメオスタシスです。
 ホメオスタシスは、"生体"についての恒常性ですが、その仕組みは"生体"以外のあらゆる場面で、私たちの気付かぬ間に現れています。例えば、普段散らかっている部屋で過ごしている人は、なにかを機に綺麗に片付けても、脳が気持ち悪さを感じ、ホメオスタシスが働いて散らかっている状態に戻そうとするので、数日後には元に戻っていると思います。
 このホメオスタシスを使いこなせるようになれば、自分自身を最大限コントロールして、人生を豊かにしていけるようになるのです。
 では、この記事では、ホメオスタシスの定義を抽象化し「当たり前に戻す働き」と統一しまして、今回は勉強に関係するお話しをします。

 学生時代、このセリフを聞いたこと、あるいは言ったことがある人がほとんどだと思います。それは、「今回の試験やばかった、次は頑張る」「今回の成績やばい、次はいい成績取る」というものです。
 このセリフを放つ人で、有言実行できた人を私は1人も知りません(留年がかかっている等の特殊な状況に追い込まれている人を除く)。たとえ有言実行できたとしても、その後また「試験やばかった」「成績やばすぎ」と元の状態に戻ってしまう人がほとんどだと思います。それに対して、クラスにいる優等生は、時にはミスしてしまうこともあるかもしれませんが、比較的ずーっと優等生をキープしていると思います。 
 この現象が起きるのは、自身の「当たり前」が試験の点・成績が低い状態に設定されており、その後に仮に良い点・成績を取ったとしても、脳が異常を感知しホメオスタシスの働きによって「当たり前」に戻そうとするからなのです。逆に、優等生(高得点を維持し続けている生徒)の「当たり前」は試験の点・成績が高い状態に設定されており、仮に悪い点・成績を取り一時的に優等生でなくなったとしても、ホメオスタシスによりすぐに優等生に返り咲くのです。
 そうだとすれば、極端な例として、優等生だった人がある時期を境に劣等生となる事例(逆も然り)は、ある時期に勉強内容が難しくなり追いつけなくなった等の何らかの要因により、自身の「当たり前」の設定が変更されたことが原因といえます。
 ここまでのお話から、「当たり前」の設定が最も大切だということが分かったと思います。では、具体的に「当たり前」の設定をどのように行えば試験や成績を「優等生」のように維持できるのかを私の経験を踏まえてお話しします。
 私は、高校生になるまで、あらゆる試験で平均点でした。劣等生ではないものの、決して優等生ではなく、平凡でした。私の当たり前は、「平均点」に設定されていたのです。テストが返ってきて、平均点だと心が落ち着きますが、平均点よりもあまりに低かったり、あまりに高かったりすると、心が穏やかではありませんでした。そして、脳が当たり前に戻そうとして、平均点に戻るのです。
 そんな中、高校に進学し、最初の期末試験で、世界史を満点近く取ってしまうという大事件が起きました(無論、その他の科目は平均点でした)。そして、私の高校ではクラス内1位を名出しで発表する形式でしたので、世界史のテスト返却の際に、私の名前が黒板にでかでかと掲げられました。このインパクトは私にとって、とても大きく、しばらくの間とてつもない優越感・快感に浸りました。この時、私の当たり前の設定が、ガラッと変わり、少なくとも世界史については「満点近くの点数」に変更されたのです。それ以降、世界史で80点やら70点やら少しでも低い点数を取ると気持ちが悪くて仕方がありませんでした(これがいわゆる優等生が感じている感覚です)。そして、卒業するまで、ホメオスタシスが順調に機能し、ほとんどの世界史の試験で満点近くをとっていました。
 高1ながらこの仕組みを掴んだ私は、全科目、既存の「当たり前」の設定を世界史レベルまで引き上げてしまえば、全科目で優等生になれると確信しました。そして、クラス内1位が公表されるという制度を利用し、全科目で1位を目指しました。結果として、数科目で1位を何回か取ることができ、取れなかった科目についても、平均点は余裕で超えるのが当たり前になり、やがて、試験一般で8割は超えるというのが「当たり前」に設定されました。これにより、脳が常に「どんな試験でも8割を超えないと気持ちが悪い」と感じてくれる状態まで持っていくことに成功し、そこからの私は無双状態に入りました。学年でトップ層に入る成績を逆転して収め、大学は平凡な高校から難関私立大学に現役合格し、法学部において学業優秀賞を収め、難関法科大学院も一部の大学で学費免除まで得て合格を果たし、大学院での成績も常に8割を超えトップ層にいます。
 では、待望の「当たり前」の設定の仕方について説明します。上記のエピソードから分かると思いますが、一度設定された基準を変更するには、それ相応のインパクトを得るのが1番手っ取り早いです(私の場合は優越感・快感でした)。インパクトは、外部的なものが引き金になるので、なかなか得られないという可能性もあります(私は学校の制度に助けられました)。
 ただ、そうだとしても、この記事でホメオスタシスの存在に気付いたあなたは、そのこと自体をインパクトとして、自ら「当たり前」の設定を変えるよう努力することで基準を変更できます。
 まず、自身の今の「当たり前」を把握してください。科目単位でも、試験一般でも構いません。自身が気持ち悪さを最も感じない基準を見つけるのです。そして、その基準を一歩一歩でも構いませんので、徐々に点や成績を上げていき、最低ラインを上げていく努力をしてください。それを重ねることで、あなたの中の当たり前が良い方向に変わり始めます。一回だけ「当たり前」を上回るだけじゃ変わりません。何回も上回ることで、初めて、「当たり前」が変わるのです。
 最後に繰り返しになりますが、ホメオスタシスは、勉強に限らず、日常生活のあらゆる面で作用します。この仕組みを上手く利用すれば、人生を豊かにしていけます。
 あなたの人生に、幸あれ。

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