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ステイテンプルな日々〜ジャブ作戦開始の巻〜

外出自粛のお寺生活“ステイテンプル”。出来ることをとことんやろうと思い立ち、拙僧は自坊(お寺)の大掃除を始めました。

しかも単なる大掃除ではなく歴史的な大掃除です。

自坊である普賢院(八戸市豊崎町)は、本堂建替事業を推進中です。文化8年(1811)以来の本堂建替を控えており、令和2年秋にはいよいよ現本堂解体という所にきています。正確にいえば、本堂に加え付属棟と古い物置も解体されます。そのため、解体される前に建物に納められている物を搬出したり、処分したりする必要があります。これがここでいう歴史的な大掃除です。

ウイルス感染予防のため、大人数で集って作業することが出来なくなりました。ならば、お寺の者だけで、もっといえば例え一人であっても、時間をかけて出来ることをとことんやろう!と令和2年3月17日に心に決め、今もなお歴史的な大掃除を進めています。令和2年3月17日は、春彼岸の入りの日でした。

命名“ジャブ作戦”

自心を奮い立たせるため、今回の作業に作戦名をつけることにしました。毎日少しづつでも作業を進める計画だったので、ジャブ作戦と命名することに。

拙僧の高校時代からの親友で、大学時代ボクシングに打ち込んだ者がいます。気心知れたその親友は、大学時代ストイックにトレーニングに励み、東京で開催される大会では常に上位ランカーでした。そのひたむきな姿がふと思い浮かんだということもあり、ボクシングのマッチで重要な役割を持つジャブを作戦名として採り上げました。本来の趣旨のみならず、自身の思い出とリンクする部分もあり、ジャブ作戦という名は気に入っています。

まるでパズルです

こっちを片付けるためには、あっちを片付けなければならない。あっちを片付けるためには、そっちを片付けなければならない。まさにパズルです。

「その場所のみ」ということではなく、全体的な計画を立てた上で、その日その日の位置づけを確認しながらの作業が大切であることを実感しました。

歴史的な大掃除を進める上で求められる計画。現況を十分に把握した上での計画。この点において拙僧はすでに練っていた自負があります。

12年前のノートに記されたもの

今からさかのぼること12年、平成20年(2008)で拙僧は25歳。当時は東京のお寺の職員でした。その頃、自坊に帰った際の計画を色々と思い描き、具体的な計画をノートに書き綴っていました。

その当時において「30年後の普賢院」を意識して、どのようにしていきたいか、お寺の現状はどうであるか、どのような可能性があるのか等が記されています。

その中で特にページがさかれ、細かに記述されているのが掃除についてです。とにかく物で溢れかえった状況で、多くの物が積み上げられて、それに布をかぶせて目隠ししたような状況だったので、当時から問題意識を強く抱いていました。

東京のお寺に勤めていた頃は、自坊の法事・葬儀・行事のため、ちょくちょく戻っていたのですが、その都度こまめにノートをとっていました。

当時の各所の状況がどうであるか、各所にどのような物があるかという現況について。それを拙僧がどのようにすれば良いと考えているのかということについて。それを実行するには、どうのような段取りをすればよいかという計画。そして計画を実行してみて、何をどこまで出来たか、次回は何をすべきか等、所感を交えてメモする。

そうったことを長く続けていたため、計画自体はかなり練り上げられていたのです。この歴史的な大掃除を進める上でも、この時の計画がベースとなっています。

若かりし頃の溢れんばかりの情熱を思い出す

少し脱線。拙僧は今も情熱を抱いて日々を過ごしています。ですが、12年前のノートに記された文章には“若かりし頃のほとばしる情熱”を感じます。ものすごく熱い思いがしたためられています。

あの頃に思い描いた様々なこと。それらの多くは、着実に形になってきています。かつての自心を込めたノートを通じ、若い頃の自心と向き合い直すことが出来、さらには「若さ」をもらえるようにも感じています。

ジャブを放ち続ける〜千里の道も一歩から〜

10年以上も練ってきた計画を踏襲し、現在もなお“ジャブ”を毎日放ち続けています。もうすでに“山を超えた”ように感じますが、3月〜5月は、普段のお寺の法務(葬儀・法事・行事など)以外の時間を、ほぼ全てジャブ作戦に費やすような日々でした。

大変は大変なのですが、何とも言えぬ充実感もあります。

この歴史的な大掃除は、自坊にご縁のある方、地域の方、自坊を今に伝えて下さった歴代縁者の方、そして未来において自坊を守り伝えて下さる全ての方のための浄行(じょうぎょう)だと信じています。

この歴史的な大掃除は、お寺の由緒や存在意義、これからのお寺について、とことん向き合わせて頂く大きな機会だと捉えています。

日々が経過するごとに堂内各所が整理されてきました。歴史的な大掃除は、過去と現在と未来をつなぐ一大事だと捉えております。

つづく

https://note.com/taisyun1022/n/n2108d5e4ff67【ステイテンプルな日々〜大掃除開始の巻〜】


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