見出し画像

天才と平凡、同調でなく協調で、それぞれの個性を発揮して

大正地区社会福祉協議会 会長 萩谷 邦昭

 今年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎さんが受賞され興味深い発言がありました。「私が日本の環境に合わないのは事実だ。私はまわりと協調して生きることができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです」と語り、会場の笑いを誘っていた。

 私は充分に理解できました。天才には、必ず、その人を理解し支援する人や社会があることを。人と協調することができない性格が天才である所以かもしれません。

 反対に、平凡な私から見れば、平凡な人間を受け入れて貰うには、協調こそが重要な要素であると。平凡で協調できない人間にとっての苦悩はいかばかりかと思ってしまいます。あるいは平凡な人間ゆえに、その人の天才性を発見できないのかもしれません。

 あるTV番組で、日本は「協調」でなく、「同調」を求める社会で、これが様々な問題を生じていると(例:忖度等)。言わば、日本独特の「空気」が支配している社会現象である。

 私たち大正地区社会福祉協議会が推進している「わんわんパトロール」について、当てはめてみます。令和元年7月に隊員の募集を開始しました。令和3年10月現在160匹の登録を頂いております。目標は散歩中のわんちゃん100%です。まさしく100%「同調」を求めていると感じる方もおられるでしょう。そもそも100%の世界はあり得ないことで、永遠に到達できない目標なのです。いわば見果てぬ夢、希望と意欲なのです。

 私はこの世は役割分担で成り立っている社会だと認識しています。政治・経済・科学技術・芸術・スポーツ他、あらゆる分野の天才たちが未来の扉を開いてきました。その恩恵を我々は享受し生活しています。だが、それらの天才を養い生かしてきた原動力は圧倒的な数の平凡な我々生活者であると。自分に適した職業かも分からずに、縁あって就いた仕事に真面目に取り組んでいる人々が社会を支えている。私もその一人であると自負しています。

 今、少子高齢化社会に突入し、団塊の世代が75歳の後期高齢者に入るピークは3年後です。穏やかに少子高齢化社会を乗り切る方策は「共助」がキーワード、わんわんパトロールを開始したのはその入り口です。負担を掛けずに地域の活動に参加して頂く、「共助」への呼び水です。平凡な我々生活者が動かずして、どうして、この難題を乗り切ることができましょうか? 天才ではないが、経験と技術と協調性がある日本人は大きな力で重要な資源です。資源は集まってこそ大きな力、価値を生み出します。バラバラでは何も生み出せません。一人ひとりが意見を述べて行動し、同調でなく協調しながら個性を発揮する。そして、第4期ハートプランのスローガン ~「ありがとう」「お互いさま」と笑顔で挨拶、見守り、助け・支え合えるやさしいまち大正~ に向かって、一緒に活動して行きましょう。


この記事が参加している募集

#この街がすき

44,097件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?