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【感想】戦略の本質 戦史に学ぶ逆点のリーダーシップ (数量化の落とし穴)

数量化の落とし穴

ベトナム戦争の米軍の評価において、不正確な情報を元に数量化を行ったことで現実と数値(机上)に大きな乖離が発生していたことが大きく問題となった。

敵の戦力を損耗によって評価することや、目的達成度をモニターするために数量化することそれ自体が誤りとはいえない。数量化されたデータを、その背後にあるリアリティと取り違えたこと、数字によって欺かれリアリティが見えなくなってしまったことこそが問題であった。

対ゲリラ戦という特性上、死者数などの見積もりが難しかったことがあったのかと思われる。押収した武器の数から死者数を算出していたようだ。概算による成果を出しており、30%ほどのズレがあったとも言われているようだ。

米軍はサーチ・アンド・デストロイ(索敵撃滅戦)という戦術を用いた。

「索敵」のためには、正確な情報が前提であった。

正確な情報を前提とする戦術が、不正確な情報を元にしていた。

手法が機能するための要件を満たした運用をしていなかったと言えるだろう。

学び

私はSRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)というサービスの信頼性をエンジニアリングに従事している。

その文脈において、どのような学び(教訓)を得られるのだろうか。

* 「いま、ここ」の状況を見える化したモノの信頼性が著しく低くなる。
* 不正確な情報をもとに現状を解釈し、有効ではない作戦を選び取ってしまう。

実行する戦術が前提とする情報の粒度、正確さを把握して、それらを満たす情報となっているか注意を払う必要がある。

SREの業務は、さまざまな事象を定量化などにより可視化して現状の理解を深め効果的な対策を取ろうとする。

定量化された情報を盲目的に信じてしまうと効果的な策を実行できないだけでなく、組織のパフォーマンスにも大きな影響を与えることになる。

* 得られている情報がどのように収集されているのか。
* 事象を理解するために効果的な情報であるのか

教訓

盲目的に信じることはせずに常に現状を疑う。
数値の定義を疑い、信憑性を確かめることとで基盤となる情報の信頼性を確かにできる。その上で効果的な手段を考察し、実行に移していく。

どうやってデータを収集しているのか

エンジニア界隈では「まずはやってみる」が推進される傾向にあるように思うが、そもそも事前の考察によって精度を高められるのであれば、ぜひ取り組みたいところだ。

以上。





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