マラソンやってみる

大学4年になる息子に誘われて、10月に行われるマラソン大会に出ようと決意したのが確か4月だった。この手の誘いを友人や会社の人から誘われても私は絶対に興味を示さなかっただろう。マラソンは義理とかで付き合えるスポーツではない。アスファルトの上を40km強も走るのは正気の沙汰ではない。ではなぜ息子の誘いなら受けるのか。彼が小さい頃に応えてあげられなかった親父に対する期待を、遅きに失しているのは十分承知の上応えたいからである。だからこれは人生最初で最後であろう。これを機にマラソンが好きになるってことはまずない。そのような嗜好は私は持たない。マラソンは山登りとは違うのだ。得られる景色が格段に違うし。1点に向かって走り続ける中で想像を超える景色はまず現れてこない。と、ついつい自分がマラソンをディスることばかり書きそうなので、ここでやめておく。
ここまでディスっておきながら私がマラソンをやろうというのは、ただただ息子を愛する父親がいたと息子に感じてもらいたいためだけだ。そのような証拠を少しでも多く息子に残していたいためだ。自分にはそのような証拠が少ない。そしてそれがために私は良い父親をやれてこなかったのは重々承知している。私の親父と同様、私も息子(と娘)への接し方が不器用だったと思う。親父よりはマシかな。なので、まだ見ぬ孫にはもう少し上手く接している息子を見たいのだ。
そんな理由で私は苦しいマラソンを人生最初で最後やってみる。

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