見出し画像

ChatGPTで脚本作ったら、劇作家から転職したくなりました。

こんにちは。ロボット劇作家の尾崎です。
私は「ロボット演劇」という、一風変わった演劇をつくり、上演しています。
人間の俳優・女優と、実在のロボットが、同じ舞台の上で「役者」として共演する舞台芸術です。

そして、ここ数日、対話型AI「ChatGPT」が大きな注目を集めています。
そこで「ロボット劇作家」を自称し、誰よりもテクノロジー×アートの可能性に賭けている私が、ChatGPTでロボット演劇の生成を試してみました。

以下、その実験結果(画像やツイートも含むまとめ)です。

ルール設定

今回は「人間の役者と、実在のロボットが共演する演劇」というロボット演劇の大前提をルールとして盛り込みました。
また、シチュエーションコメディやコントのような、笑える内容を考えてもらいます。

ルールを決める

台本生成開始

初稿

ルールに則り、すぐに台本が生成され始めます。

ぜひ、ツイート内の動画を見てください。
演出だとはわかっていながらも、一文字ずつ出力される様子は、なんだか親近感を覚えてしまいます。

出来上がった内容はこちら。

「Pepperの不思議な冒険」第1稿

コメディとしてはもちろん、お話として面白くない……
50行使っていいと指示しているのですが、変に気をつかわれた結果、広がりなくあっさりまとめられてしまいました。

さて、ここからが私(人間)の腕の見せ所。
リテイク(改稿)を試みます。

第2稿

AIハラスメントにならないように、やんわりと、しかし明確に。
指示出しをやり直して、第2稿を出力してもらいます。

第2稿……!?

予想外でした。もう一体のPepperが突如として登場します。
先ほど書いたルールの一部は忘れられているようですが、「面白ければいい」ということにしておきます。

出力の最中、動画を撮っていたのですが、突然の裏切りに思わず笑ってしまいました。メタな意味で。

回答の文末には、説明も載せてくれます。

第2稿 続き

自分(Pepper2)が自分(Pepper)を修理する、というなかなかシュールな状況ですが、確かにちょっと笑える。個人的には、だけれども。

第2稿の続き

第3稿といいますか、上の「続き」を書いてもらいます。

続きを書いてもらったら……

「面白いです」と評価して指示を出したところ、まさかの「ユーザーに褒められた」を活用して、劇中劇を思わせる作りに。終わり方にも広がりがあり、ドラマ『コントが始まる』を彷彿とさせます。

劇中劇

このまま続いてほしい!ということで、上記の「Pepperたちが登場し、笑いを誘うコントを演じる」に続くような、劇中劇を書いてもらいます。

劇中劇は難しいか……?

私の欲張った指示文に落ち度がありますが、前までのPepper2体+工場長とう設定を忘れ、『ロボホンと女優の恋』に移行してしまいました。
何度か書き直してもらいましたが、劇中劇という概念をAIに伝えて、わかってもらうのは難しい。

AIに作品をまとめさせる

設定がとっちらかってしまったので「ここまでのスレッドの内容を、AIが連続的に理解できているか」という実験の意味を込めて、AIに自身が出力した作品についてまとめ、解説させるということを試してみました。

ログライン・あらすじ・要改善点

ここまでの内容を踏まえて、ログライン(作品の内容をまとめた3行程度のまとめ)や登場人物表、あらすじを出力してもらいます。

まとめられているかは疑問だが……?

スレッドにおけるこれまでの試行錯誤の中で、ストーリーに一貫性がないため、どうしてもログラインとあらすじが新作になってしまってますが……

上図にもあるように、同時に「改稿にあたり抱えていると思われる問題点」も自省的に出力してもらいました。
これはなかなか面白い。「Pepperやロボホンの特徴を生かしきれているとは言い難く」と自己言及していて、ロボット演劇の意義を考えさせられます。
同時に、物語の奥深さの演出に気を配りながらも、課題を感じているようです。

企画意図・長所と短所

上記を踏まえて、さらに聞いてみます。

完璧な回答!

きちんとルールを意識していること(実現できているかは別として)がわかります。
また、私がロボット演劇の作家として大切にしたいことや感じている課題を、まるで読み取ったかのように完璧に回答してくれています。
長年考えていたことにあっさりたどり着かれて、悔しい気持ちもちょっぴり。

人間の手を加える余地はあると思う?

改稿にあたって聞いてみました。人間の介在は必要だろうか?ということ。

下手(したて)なようでいて……?

上図、1問目でムッとしてしまった自分は、きっと怒りの感情をアナログハックされかけているのかもしれません。結構自信満々に答えています。

(※)アナログハック:「人間のかたちをしたもの」に人間がさまざまな感情を持ってしまう性質を利用して、(筆者注:AIやその利用者が)人間の意識に直接ハッキング(解析・改変)を仕掛けることです。 

アナログハック・オープンリソース「アナログハック」

実験全体のまとめ

以上が今回の実験の全容でした。まだまだおぼつかない部分はありますが、ChatGPTの成長速度を考えれば、AIがさらに面白い脚本を書けるようになる日も近い気がします。

今回の実験から、AIの可能性に改めて注目し、人間とAIが協力することで、新しいエンターテイメントが生まれる可能性を感じました。ロボット演劇という芸術形式が、AIとのコラボレーションによってどのように進化するか、今後の展開がますます楽しみです。

……私はほんの一瞬「ロボット劇作家」から「AIプロンプター」への転身を考えました。AIにはまだまだ負けないんだから!なかよくしてよね!

参考文献

以下の記事を参考にさせていただきました。ありがとうございました!


余談

実は、この記事には1点だけ「仕組んでいる」部分があります。(嘘はついてないですよ!)
興味のある方だけ、袋とじを開けるつもりで楽しんでみてください。

ここから先は

398字 / 2画像

¥ 300

この記事が参加している募集

AIとやってみた

ここまで読んでくださり、ありがとうございました! これからも応援いただけたらうれしいです。 (いただいたサポートは、作品制作のために活用いたします!)