8月30日の喫茶店
好きなアニメの話です。『涼宮ハルヒの憂鬱』。
10年以上前にブームになったのを覚えている方もいるのでは。
僕も中高生時代に見て、大いに影響を受けた作品でした。
その中でも印象的なのが、『エンドレスエイト』というエピソード。
「終わらない8月から脱出する」っていうループものですが、アニメ版は8週連続でほぼ同じストーリーを放送するというトンデモ手法でした。
このループを抜け出すためには、8月30日に主人公(キョン)が行動を起こすことが鍵になります。
喫茶店から立ち去ろうとするヒロイン(ハルヒ)を、なんとかして引き止めなきゃいけない。
彼は異変をデジャブとして感じながらも、なにもできないまま終わります。
――わからない。思いつかない……!
漫然とした繰り返しから抜け出せず。
新しい気持ちのつもりでも実は一度通ったことを忘れてるだけで。
気づいてはいるけれど、なにを言えばいいのか、なにをしたらいいのかがわからない。
でも、彼はある時、こう考え、口にするのでした。
――それじゃダメだ。それじゃ変化しないんだ。これまでの俺たちはこの瞬間、何をしてきたんだ?何をしてこなかったんだ?
考えてる暇はねえ。ダメ元でいい。なにか言え。言っちまえ!
「俺の課題は、まだ終わってねえ!!!」
夏休みの宿題を後回しにしてたことを思い出し、叫んでハルヒを引き止めます。無茶苦茶な気もしますが、個人的には好きなシーンです。
わかるよキョンくん。すげえなキョンくん。
気づけば彼より10歳以上も年上になって、身につまされる話だなあ、と思うのです。
考えているだけじゃ、またぐるぐると繰り返し。
なにか行動しないと、置かれている状況は簡単には変わらない。
しかも残酷なことに、現実ではループなんてしないので、自分だけが取り残されていくことになる。
考えて考えて考えて、頭では理解できてるんだけれど、答えもうっすら見えてる気がするんだけれど、どうしたらいいかがわからない。
現実ってのは、意外と厳しい、ですよね。
特に毎年8月末になると、自問自答してみたくなるのです。
今年も、去年と同じ8月を過ごしてないか?
まだなにかやり残したことがあるんじゃないか?
叫びたくなるような気持ちを、今年はこうして恥ずかしげもなく、取り留めもなく書いてみました。
なにも変わらないだろうけれど、なにも言わないよりかは、きっといい。
8月30日。もうすぐ夏が終わりますね。
現実では今日はやり直せないけれど、明日は必ずやってきます。
俺の課題も、まだ終わってねえ。
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