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【エンタメ横断ニュース】小学館ラノベアプリをリリース、イープラスのSMEの連結子会社化(24/8/4)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

先月、下図のようなポストを投稿したところ、それなりに需要がありそうなので今回から「エンタメ横断ニュース」を週1で始めます。

「エンタメ横断ニュース」を読みたい方は飛ばして頂きたいのですが、一応なぜ始めるかを説明すると、私の経歴は、学生の頃はスタートアップ村に浸りつつ渡辺記念育成財団でエンタメプロデューサーのプログラムに参加、新卒がサイバーエージェント、2社目が芸能事務所、イマが出版系です。
ITの最新トレンドに身を置き、伝統ある芸能の世界を経験する中で様々なエンタメ情報を知る必要があり、触れる機会が増えたので普段からXでポストしているのですが、そのように横断的に情報発信している人は限られているようなので、もう少しポストしているニュースを深ぼったものを発信することにしました。

手探りで始めるのでフォーマット等は変わるかもしれませんが、今週は下記の6つのニュースを紹介します。


小学館、24年中に北米でラノベ配信アプリ「ノーベラス」をリリース

ニュースサマリ

小学館が2024年中にもアメリカ、カナダでライトノベル配信アプリ「ノーべラス」をリリース予定。ライトノベルは発行部数の少ない作品も多く、採算性などから翻訳や海外展開は難しかった。ただ、ノーベラスは小学館の出資先であるスタートアップ・マントラのAIを活用して翻訳作業を効率化する。他の特徴としては縦読み、なおかつ日本人の名前を覚えにくい課題解決のためセリフには登場人物のアイコンをつけて吹き出し形式にする。

分析、所感

ニュースを読んで「ライトノベルアプリ?吹き出し?どんなデザイン?」と謎だったのですが、下記の英語記事を見てみると、実際のサービスの写真がありましてチャットノベル×イラストのUIのようです。

かつて日本でもチャットノベルにスタートアップが参入したものの大きく成功した会社はなかった記憶ですが、小学館はフリーレンのような人気IPをひっさげ、チャットノベルで世界に挑戦しようとしていると言い換えてもいいかもしれません。チャットノベルは「なろう系」のようにはメディア化される作品が数多くは生まれなかった印象ですが、もともと強いIPを持つ出版社が挑戦したら結果は違うかもしれません。

イープラス、ソニー・ミュージックエンタテインメントの連結子会社になる

ニュースサマリ

イープラスはクレディセゾンが50%、ソニーグループが50%ずつ出資して設立されたチケット販売サービスを手掛ける企業。クレディセゾンが保有するイープラス株式の1%をソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)に譲渡、SMEはイープラスを連結子会社化したことを発表した。

分析、所感

プレスには今回の株式譲渡の経緯を以下のように記されています。

チケット事業の環境変化に伴い競争が激化する中、イープラスを、チケット販売にとどまらない総合ライブエンタテイメント企業としての業態変革に挑戦するため両社で協議を重ねた

『チケット事業の環境変化』というのが気になったのですが競合としては、セブンイレブンが出資していて上場している「ぴあ」がいます。そこで、ぴあの決算補足資料を読むと、イープラスのプレスのような『総合ライブエンタテイメント企業』化しようとしているのが分かりました。

https://corporate.pia.jp/ir/finance/data/pdf/2023_hosoku.pdf

チケットビジネスを伸ばすために、自分たちでそもそもチケットを使用するイベント、コンテンツを作っていくということなんですね。そりゃ、ソニーミュージックとの連携を強めた方がシナジー発揮されるので、今回の連結子会社化は納得でした。

松竹、東映、フラッグ、映画マーケティングのDXを推進する「シネマDXプロジェクト」を始動

ニュースサマリ

松竹、東映、フラッグは3社共同で顧客データを活用したデジタル広告プラットフォームを開発し、映画マーケティングのDXを推進する「シネマDXプロジェクト」を始動する。松竹・東映がフラッグの第三者割当増資を引き受け、株式の約7%ずつ、両社で約14%を保有する資本業務提携契約を締結。

分析、所感

ここに名前が無い東宝・・・という感じですが、東宝がトップなので2番手、3番手の連合施策という風に受け取りました。フラッグは久保浩章さんが東京大学在学中に合資会社として創業、2004年に株式会社として設立されたもともとは学生ベンチャーなんですね。NetflixのSNSを企画からクリエイティブ制作までしているらしく、映画やメディア系に強い代理店という立ち位置でしょうか。

松竹、東映の顧客データを活用したら色々できそうですが、古巣のサイバーエージェントもいろんな会社とDX化プロジェクトを動かしているので、ネット広告No1のサイバーエージェント×映画No1の東宝の最強戦線がワンチャンできるんじゃないかという妄想に近い予想をしておきます。てか、サイバーエージェントも松竹となんかやってたはずですが、どうなったんだろう・・・。

HYBE、エンタメ産業で超絶リーダーシップを取るための戦略「HYBE2.0」を公開

ニュースサマリ

エンターテインメント産業において強いリーダーシップを発揮していくための新事業戦略「HYBE 2.0」を発表。HYBE 2.0は、ファンダムビジネスモデルをグローバル主要市場へと拡大展開すると同時に、急速に変化する市場環境に対応して積極的にイノベーションを実現していくという構想である。

分析、所感

全貌はPR TIMES読んでくださいという感じですが、韓国および日本のマルチレーベル事業を統括する「HYBE MUSIC GROUP APAC」を新設するということで、2つの見方ができるかと思いました。
①HYBEが本国の韓国でファンを作ることを大切にしており、同様に日本市場も重視している。
②韓国国内市場はマーケットが小さいからK-POPは海外で稼ぐ発想ですが、韓国と日本の統括ということは日本市場はそこまで海外市場として重要視していない。
日本の音楽市場は世界2位なので重要なマーケットなはずですが、もう十分に成功体験を収めているので難易度は北米等に比較すると難しくなく、統括している気もします。
BoAや東方神起を進出させた元SMエンターテインメント総括社長のキム・ヨンミンがHYBE JAPAN会長に就任したのも注目ですね。

THINKR、エイベックスから独立して総額約50億円調達

ニュースサマリ

THINKRが総額約50億円の資金調達を完了、親会社であるエイベックス・グループからの自己株式取得により独立。阪急阪神ホールディングス、JAFCO、HIRAC FUND、Makers Fund、Cygames Capital、KDDI Open Innovation Fund、Yostar、千島土地、THIRDWAVEを引受先とした第三者割当増資、並びにりそな銀行からの融資を受けた。

分析、所感

THINKRはもともとは広告やアーティストのクリエイティブ全般の受託制作などを行うクリエイティブプロダクション『ANSWR』を前身にしており、VTuber企業とは呼べない独特の会社だと思います。制作プロダクションから、花譜などのアーティストマネジメント事業、「FLAT STUDIO」などアニメーションスタジオ事業を拡張する訳ですが、「FLAT STUDIO」は運営から外れるのが意外でした。アニメ人気なので当然アニメスタジオは需要があり、実際にバンナムや東宝など上場エンタメ企業もアニメスタジオを買収するトレンドがあるわけですが、切り離すのかと。でも、色々事情がありますよね。ちなみに、僕がインターンでお世話になったVCのJAFCOが共同リード投資家で、そんなJAFCOさんがエンタメ企業のレポート出したのでぜひ。

吉本興業グループの株式会社FANYが、音声配信プラットフォーム「stand.fm」を事業譲受

ニュースサマリ

吉本興業グループの株式会社FANYが株式会社stand.fmが提供する音声配信プラットフォーム「stand.fm」を事業譲受。株式会社stand.fmは株式会社Stand Technologiesへと社名変更し、音声AI事業に注力する。

分析、所感

いわゆる事業売却ということですが、個人的には音声配信サービスはイマイチ盛り上がらない印象でした。配信アプリ、チャットノベル、音声配信サービスのようにtoC、エンタメスタートアップが盛り上がるタイミングとトレンドがありますが、上場企業が出ない領域もあります(上場が決して良いとか悪いかとではないです)。toCというのは、それだけ本当に難しいんですよね。
個人的にも音声配信サービス自体にハマれなくて、ラジオの民主化みたいな文脈は分かりますが、素人の音声コンテンツは音質が良くないのでまず聴きにくい。コテンラジオみたいな事例もありますが、音声コンテンツを音質も
内容も担保できる個人が少なかったかもと思いましたが、stand.fmの中川さんのnote拝見したら配信者が14万人もいるそうなので個人的にリスナーじゃなかっただけでした。

Spotifyにキー局の人が転職している人材の流れがあるようで、音声コンテンツのリッチ化が進む気がします。あと、吉本はラジオとか音声のみのM-1的大会を開くんじゃないかと、こちらも妄想に近い予想しておきます。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!


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