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心書 知人性

守屋洋訳 諸葛孔明の兵法 {徳間書店} より 

{知人性}

人物鑑定法

なにがむつかしいといって、人間を見分けるよりもむつかしいことはない。なんとなれば、善人がかならずしも善人らしい容貌をしているともかぎらないし、悪人がかならずしも悪人らしい容貌をしているとはかぎらないのだ。
 なかには、いかにも温和な顔つきをしているのに、かげにまわって人をだます者がいる。表面ではうやうやしい態度をとってはいるが、心のなかでは相手をなめている者もいる。人前では勇ましい言辞を弄するが、心のなかではびくついている者もいる。また一見、一所懸命つとめているように見えるが、不純な動機をかくしている者もいる。それを見分けるのは、容易でない。
 だが、人間を見分ける方法がないわけがないでもない。一応、つぎの七項目をチェック・ポイントとしてあげることができる。

ある事柄について善悪の判断を求め、相手の志がどこにあるかを判断する。
ことばでやりこめてみて、相手の態度がどう変化するかを観察する。
計略について意見を求め、それによって、どの程度の知識をもっているか観察する。
困難な事態に対処させてみて、相手の勇気を観察する。
酒に酔わせてみて、その本性を観察する。
利益でさそってみて、どの程度清廉であるかを観察する。
仕事をやらせてみて、命じたとおりやりとげるかどうかによって信頼度を観察する。

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