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もっとも基本的な 皮膚炎の原因とは?

皮膚炎の根本は「乾燥」

 皮膚炎の原因は多数ありますが、もっとも基本的な原因は『乾燥』です。
 乾燥から肌を守っているのは、「皮脂膜」という油膜です。
 皮脂膜は、どこで作られるのでしょうか?
 実は、「皮膚常在菌」が作っているのです。私たちの皮膚には、ナント!1兆個もの細菌が棲息しているのです。腕だけでも200種類以上の細菌が棲息していて、全身の皮膚常在菌を集めると100グラム程度にもなります。
 皮膚常在菌は、皮脂腺から分泌される皮脂と汗を食べて、皮脂膜を作っています。その皮脂膜が乾燥から守ってくれているのです。また、皮脂膜が弱酸性であるため、有害な病原菌からも守られているのです。
 ですから皮脂膜が破壊されると、お肌がカサカサになり、病原菌にも無防備になってしまいます。万一、黄色ブドウ球菌のような化膿菌が増殖すると、菌毒素によって皮膚バリアが破壊されて、強い痒みがおきます。掻くとさらに黄色ブドウ球菌が増殖して、炎症が悪化してしまいます。

意外と知られていない「乾燥肌の原因」とは?

 では、皮脂膜を破壊し、皮膚常在菌も殺してしまう原因は何でしょうか?
 もっともよく知られている原因は、「界面活性剤」でしょう。界面活性剤とは水と油を混ぜる作用がある成分で、石鹸やシャンプーや洗剤の基本成分です。界面活性剤には、天然ものと合成ものがあり、とくに合成の界面活性剤が汚れを落とす作用が強い反面、お肌を荒らす原因になります。
 ですから、石鹸やシャンプーや洗剤などはできるだけ天然の界面活性成分で、お肌への影響が少ないものを使うようにしている人も多いでしょう。

 ところが、ほかにも「意外と知られていない原因」があって、これに注意している人はほとんどいません。
 意外と知られていない皮脂膜を破壊する原因とは、何でしょうか?
 それは「お湯」です! お湯で洗うだけで、皮脂膜が溶けて薄くなってしまうのです。
 皮膚が弱い人はみんな、お湯で手を洗っています。食器もお湯で洗っています。入浴の頻度も多く、長い時間、湯船に浸かっています。その結果、お湯で皮脂膜が溶けて、皮脂膜が薄くなっていくのです。そして乾燥肌になり、乾燥するほど刺激に敏感になるのです。
 皮膚を丈夫にしたければ、手は水で洗うことです。食器は、まず紙で油をふき取って、水で洗えばよいのです。しばらくお湯に浸けておいてから、水で洗ってもよいでしょう。あるいは、食器洗浄器を使うことです。入浴の頻度を減らして、湯船に浸かっている時間も短くすることです。目安は、週に2回程度、湯船に浸る時間は5分程度にすることです。入浴しない日は、シャワーで済ますことです。
 水とお湯では、皮脂膜が溶ける度合いが違うだけではありません。皮膚呼吸は水の中では通常に行なわれますが、お湯の中では止まってしまいます。お湯に浸かっている間、皮膚呼吸は窒息状態になっているのです。ですから、あまり長い時間お湯に浸かっているのは良くないのです。
 また、お湯に浸かって皮膚がふやけたところに、石鹸やシャンプーといった界面活性剤を付けてゴシゴシこすると、さらに皮脂膜がはがれて薄くなってしまいます。だから入浴後は、お肌がカサカサになるのです。つまり熱心に洗うほど、お肌は弱くなるのです。
 皮膚を丈夫にしたければ、できるだけ『お湯に触れることを減らす』ことが重要です。

治す秘訣は、「オイル→水の順」で保湿する

 乾燥肌になってしまった場合は、どうすれば治るでしょうか?
 化粧水を付けても、すぐに水分が蒸散してしまって、すぐに乾燥してしまいます。たくさんすり込むと、入れた水分以上に蒸散して、さらに乾燥してしまいます。
 オイルやクリームは油膜として保湿効果はありますが、しばらくすると火照って痒くなってきます。
 「化粧水で水分を補ってから、オイルやクリームを塗る」といった方法が一般的ですが、炎症がひどいときに化粧水を付けると沁みて痛くなります。
 反対に、オイルを先に塗ってから化粧水を付ければ、沁みないし痛くなりません。「オイルを先に塗ってしまったら、水がはじかれて入らないではないか?」と思うかもしれませんが、入るのです。まずオイルを薄く塗ってから水分を入れてあげれば、保湿効果も長く持続します。
 ちなみにオイルは、ホホバオイルや馬油が理想的です。これらのオイルは皮脂にきわめて近い構造をしていて、酸化しにくいからです。白色ワセリンでも良いです。
 精油(アロマエッセンス)は皮脂膜を溶かす作用が強いので、絶対に皮膚に塗ってはいけません。精油が入ったオイルも使わないほうがいいです。
 また化粧水は、ミネラルやハーブが入ったものは「かぶれやすい」ので、できるだけミネラルやハーブが入っていないものが望ましいでしょう。

「栄養」が足りないと治らない

 皮膚を修復するには、栄養が必要です。健全な皮膚を作るためにとくに重要なのは、「アルブミン」と「LDLコレステロール」と「赤血球」です。
 アルブミンは血液中のタンパク質で、アミノ酸やビタミンなどを全身の細胞に届ける運搬車の働きをしています。またアルブミンは血液中に水分を保持するためにも重要で、不足すると血管から水分が漏れ出てしまって浮腫みます。
 アルブミンの基準値は3.9g/dL以上で、3.8g/dL以下は不足です。
 LDLコレステロールは「悪玉」と呼ばれていますが、実は「生命力のバロメーター」ともいえる重要な物質です。「細胞膜」を作る材料であり、「神経細胞」を作る材料であり、炎症を抑えるために欠かせない「副腎皮質ホルモン」を作る材料であり、活力の源である「男性ホルモン・女性ホルモン」を作る材料でもあります。ですからLDLが不足すると、活力がなくなり、細胞膜が脆くなり、炎症が治りにくくなります。
 健康で元気な人たちの総コレステロール値は240~280㎎/dL前後あります。160㎎/dL以下は「低コレステロール症」です。
 また、LDLとHDLの比率は3:1が正常です。
 赤血球は全身に酸素を運ぶ細胞で、不足すると「貧血」になります。貧血になると全身の細胞が「酸欠」になって、細胞のエネルギーが不足します。そのため、皮膚の修復も十分にできなくなります。
 赤血球数は血液1ミリ立方メートル当たり、男性では420~570万個、女性では380~500万個が正常で、それ以下だと貧血です。

 要するに、アルブミンとLDLコレステロールと赤血球は、皮膚を治すためにもっとも重要な物質で、どれか一つでも不足しているといつまでも治りません。これらが不足するのは、栄養(タンパク質)が足りないからです。
 理想的な栄養源は肉、魚貝、卵、納豆、ホエイプロティンなどで、アレルギーをおこさない食品を、体重に応じた必要量(最低1g/kg)を毎日欠かさずに摂取することが大事です。とくに貧血を改善するには、ヘム鉄が豊富な「赤身の肉や魚」が有効です。

張りと潤いの源は「筋肉グリコーゲン」

 張りと潤いのある皮膚を保つには、「ご飯」も重要です。ご飯を食べないと、お肌がカサカサになってしまいます。
 なぜ、ご飯がお肌の張りと潤いを高めるのでしょうか?
 ご飯の糖質(デンプン)は、消化酵素(アミラーゼ)によって分解されて、ブドウ糖になってから吸収されます。血液に入ったブドウ糖(血糖)は、肝臓と筋肉に「グリコーゲン」として蓄えられます。
 グリコーゲンは、「ブドウ糖と水の塊」です。グリコーゲンには「水」が含まれているので、筋肉にグリコーゲンが多く蓄えられていれば、瑞々しい筋肉や皮膚になるのです。

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