初対面の会話の切り札「FORMD」

突然だが、こんな経験はないだろうか。

心許したほどの関係ではない人と一対一で話している時、何となく話題が尽きてしまって、シンとした空気が一瞬流れる、あの気まずさ。
先輩、あるいは後輩と学校や職場でふと出会って、挨拶して立ち止まったはいいものの、特に話すことがなくて別れた後に襲ってくる、あの後悔。
マッチングアプリでメッセージでは意気投合していたのに、実際に会って話してみると会話が盛り上がらず、予定よりも早く切り上げることになった、あの不甲斐なさ。

私は全て経験している。仲良くなりたいと思っている先輩と上手く話せなくて「あああああああああ」となったことなんて、ごまんとある。コミュニケーションが苦手だったり、余計な気を使ってしまう性格だと、余計にこんな経験を繰り返すこととなる。

そんな時、いつも思うのだ。
「誰とでも話せる、いつでも使える共通の話題が欲しい」
ネットで調べてみると、天気や食事、地域の話題が挙げられているが、これらは話の繋ぎに”しか”ならない。好きな食事を聞いたところで、相手の性格や本質を知ることはできないし、相手も自分の心情をオープンにしたという体感は得られないだろう。
会話の本質は互いの性質を知ることにある。どんな人と話す上でも使えて、かつ距離を詰められる…。そんな話題があれば、コミュニケーションに悩むことがなくなると思わないだろうか。

実は、このコミュニケーションに関する悩みには、最適解が存在する。
過去にマルチをやっていた時、教えてもらった”切り札”である。私は元来（今でも）人と会話をするのが苦手なのであるが、この"切り札"を使うようになってから気まずい空気になることが減り、相手が本質を話してくれるようになった。何より、私自身が相手に対して興味を持てるようになったのだ。

…マルチというと悪い印象を持つ方も多いかもしれないが、マルチはコミュニケーション力が問われるビジネスである。そこで蓄積されたノウハウは有用と言わざるを得ない。良いものは承認して取り入れていく姿勢こそ、人が成長していくのに必要な能力なのである。

さて、長々と前置きをしてしまったが、切り札を紹介する。
その名を「FORMD」という。
「FORMD」は”5つの話題”の頭文字を合わせたものである。

F：Family（家族）
O：Occupation（仕事）
R：Recreation（趣味）
M：Money（お金）
D：Dream（夢）

会話に詰まった時、特に初対面の相手と話す際に、これらの話題を駆使して会話を進めてみて欲しい。これら5つを知ることで、相手の”現在と未来”に触れることができるのだ。特に、「Dream（夢）」に上手く繋げることが重要である。

例えば、マッチングアプリで初めて会った女の子。歳下で可愛らしいが、緊張していて何となく話しづらそうにしている。共通の趣味やアプリの状況、店について一通り話し終えた時に、少しばかりの沈黙が広がる。

そこであなたが「Occupation（仕事）」について尋ねる。

「○○ちゃんってどんな仕事してるんだっけ？」

彼女は緊張しながらも、自分の仕事内容を答える。あなたは興味を持って、気になったことを質問してあげて欲しい。仕事に誇りを感じていそうなら、一層話をさせてあげるのだ。彼女が一通り話し終えたら、そこから「Dream（夢）」を聞いてみると良い。

「○○ちゃんは今の仕事頑張ってるんだね。将来的にもその仕事を続けたいの？」

こんな風に聞いてみると、彼女が抱えている悩みや将来への要望が出てくる。大抵の人は今の仕事に大満足はしていないし、より良い将来を夢見ているからだ。彼女の話を聞いているうちに、段々と彼女の考え方が分かってくる。安定か挑戦か、日本か海外か、お金か時間か、仕事かプライベートか。
”現状”ではなく”未来”に目を向けることで、彼女の価値観が浮き彫りになるのだ。

人は、自分の価値観を露わにした相手を信頼する傾向にある。「コミットメントと一貫性」の応用である。自分の将来の希望について話終えた彼女は、徐々に緊張も解れ、会話を楽しむようになる。或いは、彼女から色々と聞いてくれるかもしれない。その際は同じように、価値観をオープンにして話をすれば良い。

ここまで上手く話が進めばもう確定演出だ。あとは好きに関係を進めればいい。もちろんであるが、これは恋愛だけでなく、あらゆる場面で使用することのできる話題たちだ。親戚、職場、友人、地元。
5つを頭に入れた上で、ぜひとも日々の会話に取り入れてみてほしい。

ちなみに、私がマッチングアプリをやっていたのが2年半前。FORMDを知ったのが半年前。
…もっと早く知っていたら色々楽しめたのに。と後悔したところで、本記事を終了とする。