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鳥獣人物戯画を利用した商品開発。商用利用する場合、許可申請が必要か。

一部の界隈では有名ですが、鳥獣戯画には著作権問題が存在します。

鳥獣人物戯画を商用利用する場合、許可申請が必要かどうか。
申請しない場合は、著作権侵害になるのか?


鳥獣人物戯画を用いた商品開発をすることになったので、所有している高山寺さんに電話したり、過去に使用許諾申請をした人から話を聞いたり、詳しく調べてみました。

先に結論を書きます。

結論
法律的には鳥獣人物戯画の許可申請をする必要はないが、「高山寺公認」とするためには申請をする必要がある。


まず絵巻に描かれたカエルやウサギなどのデザインの所有権、著作権は既に切れているため、法律的にはライセンス料を支払う必要はないようです。

ただ、栂尾山高山寺の意向は、「絵巻の所有者へデザイン使用許諾を得て、ライセンス料を払って欲しい」とのことです。

申請するかどうかは利用者に委ねているそうですが、使うなら申請して欲しいということです。


著作権は切れているが、新たに商標登録している。

著作権の原則的保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年までです。よって、鳥獣人物戯画の著作権は切れています。

ただ高山寺によると、新たに一部は商標登録しているとのことです。

一方で、この権利を行使して、無断利用している商品を訴えるつもりはないとのことです。


「高山寺公認」には申請が必要。

ただオフィシャル(高山寺公認)としての展開する場合は、栂尾山高山寺へ許可申請をする必要があるとのことです。今現在、鳥獣人物戯画を利用しているものの半分は無許可、もう半分は公認とのことです。

公認となるメリットは、こんな感じでしょうか。
・公認商品と呼べることで付加価値がつく。
・オフィシャルイベントに出せる。
・精神的な安心感。
・縁がつながる。

使用料が必要かどうか、申請書の内容次第とのことです。申請した場合、デザイン使用可能期限は3年間。その後は都度栂尾山高山寺へ更新願を提出し、商品によっては売上の数%を高山寺へ支払うようです。


使用許諾を申請する場合

①栂尾山高山寺へデザイン使用許諾の相談をする。(電話orFAX)

②使用許諾書を作成。形式は自由。(FAX)

③内容を確認頂き、押印もらう。

④その後は高山寺へ更新願を都度提出。


※さらに原画の写しが必要な場合。
管理委託先の京博あるいは東博に相談し、各書類・ 栂尾山高山寺の判をついた使用許諾書と合わせて申請。京博よりデザイン絵巻を写真撮りしたCD-Rを借用し、デザイン利用後、CD-Rを返却。


結論

法律的には鳥獣人物戯画の許可申請をする必要はないが、「高山寺公認」とするためには申請をする必要があります。

商用利用するなら、許可申請した方が良いと思っています。なぜなら、文化や伝統には敬意を払うべきだからです。

ちなみに自分は使用許諾申請し、無事に認可が下りました。

※あくまで自分が調べた範囲ですので、実際に鳥獣人物戯画を使用する場合は再度ご確認してもらえると幸いです。

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