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富山デザインコンペティション 2019年 準グランプリ「富山の売薬式 防災プロジェクト」 最終審査での話

皆さん、こんにちは。
プロダクトデザイナーの三島です。

今回は富山デザインコンペティション2019年の最終審査での話をします。


①募集要項

富山デザインコンペティションは、1994年に全国初の「商品化」を前提としたデザインコンペとしてスタートし、これまでに多くのヒット商品を生み出してきました。商品化の背景には、必ずデザイナーと企業との間に良好な「関係」がありました。そして私たちは、その「関係」づくりこそがデザインコンペで得られた大きな財産だと考えています。
「賞を取ったら終わり」ではなく、富山のデザインコンペをきっかけに、企業とデザイナーが共に歩みだし、「ロングライフな関係」で結ばれる。富山デザインコンペティションは、これからもそんなコンペでありたいのです。
富山のコンペは、賞を競いながらも、その後の商品化を含めたパートナーを探す「企業とデザイナーの出会いの場」と私たちは考えています。

【締切】
2019年07月01日 (月) 

【賞】
●グランプリ(1点) 賞金50万円
●準グランプリ(1点) 賞金30万円
●審査員特別賞(1点) 賞金10万円

【テーマ】
編みなおす
※素材、技術、文化などを組み合わせる、融合する、再編集するなど、様々なものを“新しく編みなおす”ことによって、新たな価値を創造する商品やプロジェクトプランを募集

【応募対象】
商品(モノのデザイン):量産可能なプロダクト製品
プロジェクトプラン(コトのデザイン):近い将来に実現可能と予想されるプロジェクトのプランニング

【審査員】
秋山かおり(デザイナー、STUDIO BYCOLOR 代表)
吉泉 聡(デザイナー、TAKT PROJECT Inc. 代表)
岡 雄一郎(富山県総合デザインセンター デザインディレクター)

(富山デザインウエーブ開催委員会 ウェブサイトより引用)


②一次審査(プレゼンテーションシート)

【作品シート】
A3用紙 縦1枚(片面)
作品タイトル・一般名称・コンセプト・考察・全体図・寸法

一次審査時のプレゼンテーションシート

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最終審査時のプレゼンテーションシート

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今回は、プロジェクトプラン(コトのデザイン)として応募しました。ただプロダクトとしてのデザインも求められるので、プロジェクトで用いられる防災ボックスのデザイン・試作を進めることになります。

また、富山デザインコンペティションでは、最終審査に向けて、プレゼンシートを再提出します。今回は一次審査時のプレゼンシートとほぼ一緒で、最終審査に向け、プロダクトとして防災ボックスの試作に力を入れます。

③試作

2019年も、富山県内の協力企業と県外の家具工房の両方で、試作を進めることにしました。7月のファイナリスト作品の発表から10月の最終審査までの約3か月の間に試作を作る必要があります。

今回は富山県の杉を用いて、防災に関わり深い家具工房「石巻工房」さんの協力の元、試作を進めました。まずインテリアとしても美しい木製防災ボックスというコンセプトのもと、デザイン画を起こします。

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これらを叩き台にして、ペーパーでフルスケールのモックアップを作り、サイズや使用感などの実験・検証します。暫定的に仕様が決定した後に、木材を作った試作に移ります。

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まず主催の方から紹介してもらった、材木屋さんから富山県産の杉を購入し、石巻工房さんに加工・組み立てをしてもらいました。

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本来のクライアントワークであれば、ここから木材での試作を重ねて、サイズやデザインなどもブラッシュアップしていきますが、今回は締め切りのあるデザインコンペなので、こちらで提出しています。

プロの家具職人さんに作って頂いているので、試作としての完成度は高く、満足のいく試作になったと思います。

④最終審査 プレゼンテーション

最終審査は2019年10月に富山県内で行われ、ホテルニューオータニ高岡で開催しました。審査員3名と、一次審査通過者10組、約50名の富山県内の関係者や観客等が一堂に集まります。

1次審査通過者プレゼン及び審査員からの質疑応答があり、1作品当たりプレゼンテーション4分、質疑応答2分(10作品)と設定されています。

こちらが自分が実際に使用した、プレゼンスライドになります。3回目ということもあって、自然体でプレゼンができました。


プレゼン後に審査員の方から質疑応答があり、実現可能性や防災ボックスのデザインについてなどを聞かれました。

全てのプレゼン終了後に、公開審査が始まります。そこでは、3人の審査員方が順々に作品の講評をしていき、気になった作品を選び、また議論するという形になります。

そこで、プロジェクトとしての発展性や富山の地場産業の活用を評価して頂き、準グランプリを頂きました。

⑤最後に

今回は、ありがたいことに準グランプリという賞を頂くことが出来ました。5年間出し続けて、やっと頂けたので大変うれしいのですが、グランプリを取れなかったという悔しさも残りました。来年こそは、グランプリを取れるように精進していきます。





こちらでサポートして頂いたものは、日本の伝統工芸・モノづくりのために使わせて頂きます。