見出し画像

新商品開発するときにプロダクトデザイナーが意識していること

商品開発ってやろうと思えば実は誰でもできることなんですが、その商品が長く使われるかどうか、多く売れるかどうかが大切です。すごく基本的なことですが、作って終わりだと思っている人もいませんか?

販売する前はヒットすると思って作りますし、売れないものは誰も作りたくありません。ただ、売れるかどうかは実際に売るまでは誰もわかりません。

ということで、具体的なデザイン手法や技術ではなく、商品開発するときに意識していることや考え方を改めて書いていきます。


①試行錯誤を重ねる

この業界も千三つ(せんみつ)って言い回しがよく使われていて、1000個の新商品だしても、ヒットして生き残れるのは3つぐらい難しいものです。狙い澄ましていても到底無理なので、ひたすら試行錯誤して失敗を重ねられるかが大事です。

その試行錯誤とは実際に商品販売することでもあり、試作をたくさん作ることでもあり、それを生活や実際のシーンで検証することでもあります。


②まずは自分が使いたいものを作る

商品を作るとき、イメージのしやすさが大事です。いきなり知らない人に向けて、商品を作って売るのは難しいです。まず自分が使いたいものをイメージして、次に身近な人に贈りたくなるもの、使って欲しいものをイメージする。最後におまけで市場調査・ペルソナもしてみます。

既にターゲット・市場などが決まっている場合はまた変わってきますが、これから新しく自社製品を作るときなどは、こういう考え方からのほうがアイデアが生まれやすいです。

自分と同じ価値観を持っている人が買ってくれるので、ちゃんと売れたときは「同じ感覚で良かった。やっぱり皆もこういうの欲しいよね。」と思ったりします。

ただ自分が使いたいもの=売れるものでもないですが、前提として自分が使いたくないものは他の人もあまり使いたくないです。

③簡単に使い捨てられるものを作らない

数千数万という数を作るものだと、1年後にどれだけの人が使い続けてくれるかなと考えてしまいます。せめて5年10年は使い続けるものを作っていきたいと考えるようになります。

そしてこの簡単に使い捨てられるものを作りたくないという思いは職人さんと共通してあります。機能だけを重視していると、それよりも高機能なものが出るときに買い替えられてしまいます。だからこそ、その物を活かして何をするかの用途を考えるのが大事だと思います。


④オリジナリティが大事

新しくモノを作るときにはオリジナリティは最低限必要です。今までにあるモノと同じものを作ってもしょうがないし、何かしらの革新がないと、新しくモノを作る意味がありません。(劣化版を作るだけなので)

例え「売れるものであっても、真似して作っちゃいけない」というのは、ものづくりに関わる人が持っている共通認識だと言えます。


⑤作る側、売る側、使う側がお互いを思いやる

どこかを優先にすると別のどこかに無理を強います。ユーザー第一とか顧客第一とかではなく、生産者、販売者、消費者の三方がお互いを思いやることが今後のものづくりにおいて重要になってくると思います。

モノづくりの仕組み上、直接消費者とのやり取りをする販売する側がどうしても立場が強くなってしまいます。さらに生産者の中でも、元請け・下請け・孫請けと下流になればなるほど立場が弱くなってしまい、依存関係になってしまいます。

今までは消費者優先ということで、下流に無理を強いてきたことで製造現場の負担が増えていきました。その結果、毎年5000社以上の製造業が倒産し、日本のモノづくりは衰退しつつあります。

受注・発注側関係なく、お互いに敬意を持つのが大事です。仕事に偉いも偉くないも関係なく、もっと言えば全ての仕事が尊いです。商品開発においてもそれは同じことが言えます。

こちらでサポートして頂いたものは、日本の伝統工芸・モノづくりのために使わせて頂きます。