#2 『東洋医学』とは

西洋医学と東洋医学

 世の中の医学体系は,大きく2つに分けられます。
一つは西洋医学,もう一つは東洋医学です。
現在の日本の病院等においては西洋医学が主流であり,
西洋医学では,血液検査やレントゲン・CT・MRI等の検査機器による数値や画像所見等の客観的なデータ,即ち科学的な根拠(エビデンス)をもとにして診断や処方を行います。
そのため,西洋医学は外科的・分析的診断とも呼ばれます。
 一方,鍼やお灸,マッサージや漢方薬等の東洋医学は,患者さんの声色,皮膚や舌の色,体臭や脈の状態,精神状態等をもとにして診察を進めていきます。
その後に証(しょう)(診断のこと)を立て,治療法を設計し治療を行なっていきます。
西洋医学でも東洋医学でも診察は「問診」から行われますが,その方法には以上のように大きな違いがあります。
 また,東洋医学の考え方は,
「五行論」や「陰陽論」という哲学思想が根本となっています。

※陰陽論:物事には何事にも陰の部分と陽の部分があると考える思想。
  陰/地 下 女 内 胸 右 寒 慢性 …
  陽/天 上 男 外 背 左 熱 急性 …
※五行論:自然界のもの全ては,5つのものに分類され
[木・火・土・金・水]のどれかに属するという思想。

オーダーメイドな治療法

 東洋医学では,患者さんから症状やそれにまつわる様々な話を聞きながら診察を進めていきます。
そして患者さん一人ひとりの症状に応じて,“オーダーメイド”の治療法を見立てて治療を行います。
 例えば,鍼治療においては,患者さんの症状・状態に合わせて鍼を浅く入れたほうが良いのか,それとも深く入れたほうが良いのか,または息を吸っているときに入れるのが良いのか,それとも息を吐いているときに入れるのが良いのかを見極めて,人間の体に361個あるツボの中から適切なツボを選定して施術を行います。
 以上のように,西洋医学では“病気”を診ていくのに対し,東洋医学は“病人”を診ています。
そのため,一人ひとりに対する治療法が異なってきます。
このような理由から東洋医学は“オーダーメイドな医療”と呼ばれています。

半健康状態に対するアプローチ

 一般的に東洋医学の対象者は,主に「病気ではないが健康でもない」という“半健康状態”の人となります。病気になる以前の状態から予防的な意味合いも込めて治療を行うことで,全身を調整し病の悪化を防ぎ,常に健康な状態を保つことができます。
このことを「未病治(みびょうち)」といいます。


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