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第一三共と武田薬品工業の比較

はじめに


 第3弾は製薬会社の比較です!第一三共、武田薬品工業の2社を扱っていきます!財務諸表から見える2社の戦略の違いを見ていきます。

  毎週書くの思ったよりも大変なのでちょっと軽めにしています(笑) ど素人の記事なので、正確性は担保していないことをご了承ください。

 最後まで読んでいただけると幸いです!


1 財務諸表の比較


 2社ともIFRS(国際会計基準)を採用していているため、普段見ている財務諸表とは少し違うかもしれません…。固定資産、固定負債がそれぞれ非流動資産、非流動負債になっていたり、他にも会計処理が違っていたりしています。

 例えば、のれんの扱いが違います。日本の会計基準ではのれんは資産計上し、20年以内のその効果が及ぶ範囲で規則的に償却しなければいけません。一方、IFRSでは償却しません。のれんの価値が著しく下落した際のみに減損処理を行うことになっています。

 IFRSの話はここまでにして、実際に財務諸表を見ていきましょう。

 それでは早速、貸借対照表のクイズからです!
 下の貸借対照表は武田薬品工業(以下、武田)と第一三共のものです。どちらが武田でしょうか?

 答えは……




①です!

 武田について知っている人はすぐにわかったかもしれません。2019年にアイルランドの大手製薬会社シャイアーを買収しています。そのため、多額ののれんを計上しています。のれんは非流動資産に計上されているため、非流動資産の割合が大きくなっている①が武田であるとわかります。ちなみに武田が計上しているのれんの額は4兆円で、これは、資産全体の3割を占めています。

 それではここから第一三共と武田の違いを見ていきましょう。同じ製薬会社ですが、とっている戦略が違うことがわかります!


2 第一三共


 下の図は第一三共の国別の売上高を示したものです。

(有価証券報告書をもとに作成)

 売上の大部分を占めているのが日本であることがわかります。ただ、英製薬大手のアストラゼネカとがん領域で提携を結ぶなど今後海外での売上を伸ばせるような可能性は残しています。実際、2021年度〜2025年度の中期経営計画書では「がんに強みを持つ先進的グローバル創業企業」を達成することを目標としてあげています。そのためのカギとなるのが、エンハーツです。アストラゼネカと提携して販売しているがん薬です
 今後、海外でどれだけ売上を伸ばせるか楽しみです^^
 
 一方であまりM&Aは行われていません。かつてインドの後発薬大手ランバクシーを買収して、多額の損失を出した苦い思い出があります。そのため、あまりM&Aをしていないのかもしれません…
 


3 武田薬品工業


 次に武田を考察していきます。下のグラフをご覧ください。こちらは第一三共とは異なり、外国の割合が圧倒的に大きくなっていることがわかります。日本以外でなんと83%も稼いでいます。

(有価証券報告書をもとに作成)

 武田は海外の企業を積極的に買収し、海外での売上高を伸ばしてきています。先ほども触れましたが、シャイアー の買収が代表的なものに挙げられます。

 なお、武田はシャイアーの買収で多額の有利子負債を計上しています。第一三共と比べて、貸借対照表の負債の部の割合が全然違うことがわかります。そのため、事業を売却するなどしてキャッシュを稼いでいます。例えば、アリナミンなどで有名な武田コンシューマヘルスケアをブラックストーンというファンドに売却しています。
 今度機会があれば、武田が抱える多額の負債に関しても考察したいと思います。

 海外比率も高く、かなりの売上高をあげている武田ですが、製薬会社の世界ランキングで10位の位置につけています。(2021年版)ロシュやノバルティスなどのトップ企業とはまだまだ差がありますが、武田がそのレベルになることを個人的に期待しています!


4 まとめ


 最後までお読みいただきありがとうございました!
 同じ医療用医薬品を開発・販売している2社でしたが、提携を中心としている(今後はもっとM&Aが繰り広げると思われますが)第一三共と、M&Aを中心に事業を広げている武田とで財務諸表も違うことがわかりました。
 なんかこの書き方だと、第一三共が全然グローバル展開していないと受け取られかねませんが、武田と比べてしていないだけで、24か国に拠点を展開しておりグローバル企業です。(武田は40カ国以上)

 来週はMR淘汰について書いていこうかなと思いつつ、気分によっては変わるかもです。
 次回も何卒よろしくお願いいたします!


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