メルカリのシンプルさは「しまむら理論」に支えられていた

先日ブログに「未経験でもセンスのあるプロダクトマネージャーにっ共通するのは"イタコ"力」という話を書いたのですが。

これに絡めて、もう一つエピソードを紹介させてください。

メルカリには創業期からその急成長を支え、プロダクトデザインをリードし続けている伝説の女性デザイナーがいるんですが。

彼女が口を酸っぱくして言ってたのが、

・メルカリで働いてるような人種は日本国民全体から見たら"偏っている"
・それを自覚できていないと、すぐに「カッコいいデザイン」「意識高い系のプロダクト」を作ろうとしてしまう
・結果、珍しいけど万人からは使いにくいプロダクトが出来上がってしまう
・かっこよくしようとするな、洗練させようとするな、自分と全然違う属性の人も含めて、誰にとっても直感的で、戸惑いようがないUI/UXを目指せ
・結果として「ちょっとダサいかも」くらいで丁度いい

これらを総称して「しまむら理論」と社内では呼んでいたんです。

この「しまむら」とは、日本の主に郊外を中心に多数の店舗を持つ、言わずと知れた大手衣料品チェーンストアです。彼女は、こういう所で買い物をする人の感覚をちゃんと想像してみようね、という意味でしまむらの名前を好んで使っていました。

放っておけば、ゴテゴテと追加の要素ばかりが増えがちなプロダクト開発の現場において、あえて大胆に何かを捨てたり、使い手の想像力に頼ることのない直感的デザインが遵守されていたのでした。

メルカリのシンプルで飽きの来ないデザインは、彼女のような人材が持つ、プロダクト愛やデザインへの思想によって支えられていた事は、僕だけでなく多くの社員が理解していたはずです。

皆さんも、開発現場で"足し算の開発"が多くなりがちだと思いますが、「何か足したら何かを引く」「デザインは最終的にはちょっとダサいくらいで丁度良い」という心構えで大胆に削ぎ落としましょう。

では、今日は以上です。ありがとうございました。

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