~夏休み特別スペシャル~ アイカツ! VS プリキュア! キラキラかわいいとびっきりの最強大血戦! #AKBDC
「ローマ! アイ、カツ! ローマ! アイ、カツ!」
その日、コロセウムは熱狂の嵐に包まれていた。押し寄せた観衆は、皆コロセウムの中央に立つ一人の剣闘士に向かって、あらんばかりの声援を投げかけている。彼らの放つ熱は、はるか南、熱砂の王国もかくや、とばかりにコロセウムを熱く燃やしていた。
彼ら観衆の胸には、ある期待があったのだ。おそらく、この日この場所で、剣闘の歴史に刻まれるような戦いが見られるはずだ、という期待が!
だが、そんな常人では押しつぶされそうなほどの熱狂を一身に受けて、その剣闘士の少女は不敵に微笑んでいた。微笑んでいたのである! もはや尋常な胆力ではなかった。
そう! 読者の皆様もご存知であろう。彼女こそ、「綺羅星のパンテオン」の二つ名を持つ金髪の剣闘士、スタルミア・ストロベリアなのである!
彼女は華麗さ(カワイイ)と力強さ(ツヨイ)を兼ね備えた剣闘鎧に身を包み、腕を組んで微動だにしない。それ自体が一振りの剣のごとく鋭い視線は、コロセウムのある一点――もうひとりの剣闘士が姿を見せるであろう通路に注がれていた。
もうすぐだ。ストロベリアは唇をなめる。ほんのわずか、体が震えるのを感じた。恐怖からではない。抑えきれぬ期待に、体の我慢が効かなくなっているのだ。
そう、彼女は期待していた。今日行われるのは、長く待ち望んでいた一戦だったからだ。その相手こそ、彼女が剣闘士としてこのコロセウムに立ってから、ずっと目標としていた相手――「紫髪の剣闘女神」「プルカナ・ルナエ」こと全ローマ市民の憧憬にして全剣闘士の頂点に立つ女王、カピア・プルプラルナなのだ。
スタルミアは思い出す。カピアが「百人喰らい」の異名を持つ獅子を素手で縊り殺したとき、興奮で頬を赤くするスタルミアに向け放った一言。
「お前なら、私の立つ場所にたどり着ける。一足先に、頂点で待っているぞ」
カピア。あたしはたどり着いたぞ。アンタがずっと待っていてくれた、この場所に、アンタの言う「頂点」に。さあ、出てこいよ。アンタも待ちくたびれているんだろう? はやく、はやく戦おう(やろう)じゃないか――。
気配。剣闘士用通路の闇の奥から、歩んでくる者がいる。
なんだ?
スタルミアは眉根を寄せた。聞こえてくる足取り、息遣い、そして何より漂う気配、そのどれもが、彼女のよく知るカピアのものではなかったからだ。
やがて姿を表したその人物を一目見るなり、スタルミヤの全身に電流が走った。全身が熱くほてり、呼吸が荒くなる。こいつは、こいつは!
その女は、純白のストラの上から漆黒の鎧を身につけていた。頭上でまとめ上げられた長い髪は、黒と茶色が混じり合う不思議な色合いであった。
だが何より、スタルミアを戦慄せしめたのは、その肉体であった。
身長はスタルミアよりやや高いが、決して巨漢というわけではない。だが、スタルミアは彼女を目にしたとき、一瞬山のような巨竜が現出したのかと思ってしまった。鋼のように鍛え上げられた、だが決して美しさを失ったわけではないその体躯。天才の手による彫刻かと見紛う、神のごとき肉体。その体に秘められたパワーが、桁違いなのである。
武器の類いは手にしていないようだ。だが、何かを持っている。引きずっている――。
スタルミアは、その「何か」の正体に気がつくと、砕けんとばかりに歯を食いしばった。ぎりり、という音が響く。
女が引きずっていたのは、紫の髪の女――カピアであった。
「カピアッッッッッ!!!」
スタルミアは、獣のごとくその名を呼んだ。全身を血に染めたカピアが、その声に応えることはなかった。
黒白の女が無造作に、カピアをスタルミアに向かって投げてよこした。スタルミアは慌ててカピアの体を受け止める。その間も、黒白の女から目を話すことはなかった。両者の視線がぶつかり合う。スタルミアは女の瞳に、黒と白の稲妻が宿っているのを見る。
「何もんだ、テメエ」
「……"ナギ=ホノ"。それがアタシの名だ」
「ナギ……ホノ?」
ローマ人の名前じゃあない。よそ者か。
「アタシは……遠く遠く、東の果ての国からやってきた。徒歩で」
ナギ=ホノと名乗った女は、静かにそう言った。
「アタシは、強者を求めてずっと旅してきた。その途中で、ここの噂を聞いた……『最強の女、ローマのコロセウムに在り』という噂を。だから来た。そして『女王』とやらに戦いを挑んだ……だが」
ナギ=ホノは静かに溜息をつく。目を伏せ、首を横に振った。
「ここにも、アタシが求める強者はいなかった……ぶっちゃけありえない……アタシは、これからどこへ向かえば良いのか……それとも、もはやアタシが求めるべき強者は、この世界のどこにも存在していないのでは……」
「何、言ってやがる。いるじゃないか、テメエの目の前に。『最強』がよ」
ナギ=ホノは目を見開き、目の前の女を見た。女の獰猛な笑みを見た。
「カピアを倒したぐらいで、なにイキってやがんだテメエ。そもそもこのカピアが『女王』だの『神』だのと呼ばれるのも、本日限りだったんだよ。なぜなら」
ストロベリアは、親指で自分を指差しながら言った。
「このストロベリアが、カピアを倒し、トップ剣闘士の座を奪い取る予定だったからな! それを何なんだテメエ、アタシの獲物を横からかっさらうだと? 泥棒猫みてえな真似しやがって!」
ストロベリアは立ち上がる。両の手には、綺羅びやかなカードが握られていた。
「落とし前はきちんとつけてもらうぜ! テメエの『敗北』でなあ!」
カードがまばゆい光に包まれる! 無数の光の粒子となったカードは、右手で天下無双のグラディウスとなり、左手で堅牢無比のバックラーとなった。これぞ! 剣闘士の基本スタイルにして、ストロベリアの最強装備――『エンジェリーシュガー(御使いの甘美なる調べ)』である!
「さあ、ナギ=ホノ、だったか? テメエも自分のエモノを見せてみろよ」
「……必要ない」
「ああ?」
ナギ=ホノは右の拳を掲げてみせる。
「アタシの武器は、これだ」
「……あっそ。まあ、こっちは素手だからって容赦はしねえけどなあ!」
◇ ◇ ◇ ◇
「ウオー!」「ウオー!」「コロセー!」「ローマ!」「アイ、カツ!」「シネー!」「イール殺すべし、慈悲はない」「アカチャン」「生皮を剥げー!」「ヤッチマイナー!」「ポップ・コーン」「イヤーッ!」「グワーッ!」「ローマ!」「アイ、カツ!」「ローマ!」「アイ、カツ!」
ことここに至って、ようやく事情を把握したらしい観客たちが騒ぎ出した頃、観客席の隅でうずくまっていた灰色の髪の男が、ひとり静かに涙を流していた。コロセウム中がストロベリアの味方をする中、男はナギ=ホノと名乗った女から視線を外そうとせず、ぶつぶつと何事かを呟き続けていた。
「なんてことだ……なんてことだ……まさか、まさかこの目で彼女の雄姿を見ることができようとは、夢にも思わなかった……」
「あ? なんだオッサン。あいつのこと知ってんのか?」
つぶやきを耳ざとく聞きつけた隣の男が尋ねるも、灰色の髪の男はそちらを見もせずにつぶやき続ける。
「彼女こそは、光の国に伝わる『伝説の戦士』……この世界を侵さんと迫りくる悪と戦い、そのことごとくを退けてみせた奇跡の化身……」
「ああ? 何いってんだオッサン……うわ!?」
灰髪の男の顔を覗き込んだ隣の男は、驚愕のあまり失禁してしまうところであった。灰髪の男の顔が、人間のものではなかったからである。
男は、猫科の獣の顔をしていた。顔を歪ませ、牙を剥いていた。
男は叫んだ。
「そう、彼女こそは――!」
~夏休み特別スペシャル~
アイカツ! VS プリキュア! キラキラかわいいとびっきりの最強大血戦!
ストロベリアの踏み込みは、彼女自身をして会心のものであった。速度、タイミング、すべて完璧。そして踏み込みの勢いを乗せた必殺の突きは、過たず敵の胸板を貫くはずであった。
だからこそ、一切の手応えを示さぬ剣先に対する違和感は、彼女にとって決して無視できぬものになったのである。
殺し合いの場では、それを「隙」と呼ぶのだ。
闘争本能が、大音量で危険を告げる。とっさにバックラーを構えた。
重すぎる、衝撃。足が地面を離れ、体が浮き上がる。
全身の肉が、骨が、悲鳴を上げる。精神で、それらを黙らせた。
危険を告げるアラートは鳴り止まない。バックラーを顔の横に構える。衝撃。体をねじり、受け流す。受け流せない威力が、脳を揺らす。
つむじ風のように体を捻りながら着地。追撃はひとまず来ない。体勢を立て直す。
アタシの突きをかわしながら、カウンターの拳。そして浮いた体に追撃の回し蹴り、ってところか。なるほど。カピアをやった実力はホンモノってわけだ。
ストロベリアは血混じりの唾を吐くと、不敵に笑う。
「面白え。言っとくが、今のは"ホンの小手調べ"ってやつだからな。これがアタシの実力だなんて、下らねえ勘違いをするんじゃねえぞ」
「そう願うよ。じゃないと、つまらなさ過ぎる」
「言ってろ!」
再びストロベリアが踏み込んだ。先程の反省を生かしたのか、一撃に頼ることない怒涛の連撃で攻める。空気さえも切り裂く刃。ナギ=ホノは軽やかな動きで回し続けるが、次第に追い詰められていく。彼女の皮膚に、小さな傷が刻まれ始める。致命傷には程遠い。だがナギ=ホノの心には細かいヒビ割れのような苛立ちが刻まれていく。
「しゃあ!」
一転、気合とともに叩き込まれようとする大振りの一撃。ナギ=ホノはこれを反撃の好機と見る。
ナギ=ホノは一歩踏み込んだ。震脚。コロセウムの大地が放射状に割れる。大地より受けた勁力を余さず拳へ。完璧なタイミングのカウンター。終わりだ。
自らの勝利を確信したナギ=ホノは、ストロベリアの顔を見た。笑っていた。闘争の愉悦に歪んだ笑みではなかった。それは罠にかかった獲物をどうなぶってやろうか、そう舌舐めずりするハンターの顔であった。
しまった。
こちらに振り下ろされ、大きな隙をさらすはずのグラディウスは、いつの間にかストロベリアの体近くに引き寄せられていた。見事なフェイント。
渾身のアッパーカットが、空を切った。大きすぎる、隙。
「スタアアアア……ラアアアアイト!!!」
獅子の咆哮とともに、グラディウスが突き出される。狙いは心臓。避けきれない。ならば――避けない!
「なっ!?」
ストロベリアは、かわすどころか踏み込んでくる相手に対して、コンマ数秒だけ驚愕した。何を考えてやがるか知らねえが……終わりだよ!
何かにぶつかるような衝撃が、グラディウスを通じてストロベリアの右手に伝わってくる。
ちょっと待て。「ぶつかるような」衝撃だと?
ストロベリアは目を見開いた。彼女のグラディウスはたしかにナギ=ホノの心臓のあたりに突き刺さっていた――否!
胸から背中までを貫くはずの剣は、その表面、薄皮一枚で食い止められていたのである! なぜこのようなことが可能なのか。その理由は二つ! まず、ナギ=ホノはあえて踏み込むことにより、突きに体重が乗り切らないタイミングでグラディウスを受けてみせたのである。そして、さらに! 彼女は全身を巡る光の力を自らの胸板の一点――心の臓の直上に集中させ、その部分を鍛えた鋼より硬くなさしめたのだ。これぞ、『伝説の戦士』たる彼女にしか成し得ぬ絶対的防御術、その名も『シャイニー・ルミナス(堅牢たる光の女神)』!
「くそ……!」
ストロベリアは急いで飛び退き、間合いをとった。バックラーを構え、追撃に備える。
追撃は来なかった。その代わりに、豪快な笑い声がストロベリアに叩きつけられた。
「は、はは、はははははははははははははははははははははははは!!!」
笑い声の主は、無論ナギ=ホノであった。
「なんという、なんという速く鋭い突きだ! いや、その前のフェイントからして、到底余人には成し得ぬほどの技の冴えだった! まさしく神技というべきものだ!!!」
ストロベリアは鼻で笑って応える。
「へっ、ありがてえ言葉だが……そんならその神技をあっさり受け止めてみせたのはどこのどいつだってんだよ。遠回しなご自慢も大概にしやがれってんだ」
「いや、実際は間一髪だ。踏み込むタイミング、技の発動――ほんの少しでもずれていれば、こうまで上手くは受け止められなかっただろう」
「そうかよ」
ぶるりと体を震わせ、ナギ=ホノは顔をほころばせた。それは赤子がお気に入りの玩具を手にしているときのような表情。「喜び」という感情以外を一切含まない、曇りなき笑顔だった。
「ああ、楽しい! 楽しいな異国の剣闘士よ! 遠い遠い西の彼方で、とうとう私は求める強者に出会えた! 遠路はるばるやってきた甲斐があるというものだ!」
「うるせえなあ。で? 続きやんのか?」
「当然だ……何だ、お前は楽しくないのか?」
ストロベリアは応えなかった。代わりに、剣と盾を構えた。そしてナギ=ホノの顔を見据えた。
ナギ=ホノはストロベリアの顔を、目を見た。そこに宿る意志を見た。
両者の間には、それで十分だった。
ストロベリアが吠える。彼女の周囲の空気が歪む。歪んだ空気は、なにかの形を描く。
ハートマーク。心臓をかたどった表象だ。意味するところは唯一つ――「貴様の、心の臓を食らってやるぞ」。
観客の熱狂が最高潮に達する。これこそ、彼女ら剣闘士が身に備える闘気(オーラ)の高まりにより生まれる現象(フェノメノン)――「スペシャル・アピール(天と地の間に迸る必滅の意志)」なのだ! そしてこの「スペシャル・アピール」が発動するときとは、剣闘士が己の全てをかけて闘争に挑む意志を示したときなのである! 並み居る観客もそのことをわかっているのだ!
「いくぜナギ=ホノ。ちょっと本気出すから、受け止めてみせろよ」
「望むところだ、ストロベリア。お前こそ、このアタシを失望させるなよ」
◇ ◇ ◇ ◇
死闘は、いつ果てるともしれなかった。
当初は狂騒の渦の中にあった観客たちも、いつしか一人、また一人と騒ぐのをやめ、目の前で行われる戦いを静かに見守るしかできなくなっていた。コロセウムに響く音は、そこで戦う二人の激しい息遣いと、剣と拳がぶつかり合う音だけであった。
何度目かの攻防の後、両者が間合いを離した。
おお、見るが良い。片やストロベリアの姿たるや、全身血まみれ、痣だらけ、バックラーはとうに砕け、グラディウスを持つ右手を構えるのがやっとと言った風情である。
片やナギ=ホノのほうはといえば、こちらも全身を切り刻まれ、傷がついていないところがない。特に頬に刻まれた深い傷跡は、おそらく一生消えることのないものであるだろう――無論、彼女がこの戦いに生き残ったとすれば、の話ではあったが。
両者ともに荒々しく息をつく。もはや限界も近いのだろう。彼女らの動きには精彩が感じられなかった。
否。
そう見えるのは、素人ゆえの浅はかさ。確かにどちらも限界は近かった。だがふたりとも、まだ相手を打ち倒すだけの牙を隠し持っていたのである。あとはそれを発動させるタイミングだけ。最後の一撃、外せばこちらの負けだ。
両者の間に、緊張が高まる。
まだだ、まだまだ。
二人の間の。空気が歪む。
まだだ。
じわじわと、間合いが狭まる。
――今!
「か、怪獣だ―――――――――――!!!」
観客席から、けたたましい悲鳴が上がったのはその時であった。
ストロベリアとナギ=ホノは、同時に声のした方を見た。底に見えたのは、コロセウムの壁の向こう、ぬっと顔を突き出す異形の巨体。
<<ニワカハ、シネ―――――――――――!!!>>
異形は奇妙な咆哮を上げ、太い腕を一振りする。コロセウムの壁が吹き飛び、多くの観客が崩れた瓦礫の下敷きになる。
「むう、あれは……!」
灰髪猫面男が、驚愕に身を震わせながら叫んだ。
「知ってんのか、オッサン!」
「うむ、あれこそは……一つのシリーズが長く続くところに必ず現れるという、伝説の魔物――大悪獣『コサンヅラ』に違いない!」
「な、なんだって―――――!!!?」
<<ショダイイガイ、ミトメネ―――――――――――!!!>>
再び咆哮を上げるコサンヅラ。駄々っ子のように振り回す両手によって、伝統あるコロセウムが半壊していく!
「て、テメエ! コロセウムを……! よせ、やめろ!!!」
ストロベリアは声を枯らして叫んだ。このコロセウムは、彼女と、そして数多のライバルたちが血を流し、力の限りを尽くして競い合った、思い出の詰まった場所なのである。それを、それを……!
ぽん、と、肩を叩かれた。振り返ると、ナギ=ホノが真剣な顔つきでそこに立っていた。
「なんだ! やんのかオラ!」
「……一時、休戦だ」
「……何ぃ?」
ナギ=ホノはコサンヅラを見上げた。その目に宿る炎に気づき、ストロベリアは軽く息を呑んだ。
「お前との闘争を続けたいのは山々だが……肝心のお前の気持ちが、アタシに向いていないのでは仕方がない。だったら、邪魔する輩をとっととぶっ飛ばし、その上で改めてお前との決着をつけるべきだと考えたのだ」
ナギ=ホノはストロベリアの顔を見た。目と目があった。
「そして、だ。アタシ一人でやるよりも、アタシとお前の二人が協力すれば、より速く終わらせられるだろう」
「……」
「アタシとお前ならば、あんな奴には決して負けはしない……そうだろう?」
そう言ってナギ=ホノは笑い、右手を差し出した。爽やかな笑みだった。
――さっきまで殺し合いをしていた相手に向かって、なんて顔で笑いやがるんだ、この女。まったく、大したやつだぜ。
ストロベリアも笑顔を見せた。それはナギ=ホノのそれと全く同様の笑みであった。
ストロベリアは、差し出された右手を、強く強く握った。ナギ=ホノの熱さが、魂が、伝わってくるような気がした。
「いいぜ、やってやんよ。けどなあ、足引っ張んじゃねえぞ? 本当はあんなやつ、アタシ一人で十分なんだからな」
「ふふ、そうだな」
「……行くぜ!」
「応!」
二人の戦士が跳んだ。迷いなく、一直線に。コサンヅラがひときわ大きな咆哮を上げた。
◇ ◇ ◇ ◇
この出来事がいかなる顛末を迎えたのか、それを知るものはいない。
本当にあったことなのかも、今となっては定かではない。
ただし、ローマ市民たちの間ではこのできごとは昔話の一つとして、親から子へ、代々語り継がれていた。その昔ばなしにおける、結末はこうだ。
すなわち、「愛が勝ち、癒やし(キュア)があった」と。
【完】
この作品は、akuzumeさん主催の「第二回 AKBDC」に参加するために書いたものです。HAPPY BIRTHDAY AKUZUME=SAN!!!
そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ