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【習作】会話劇、自作の紹介記事、または一刻も早い事態収束への祈り

しましたザウルス

「あら……ここは……一体どちらなのでしょう?」
「え? あれ? あれ? こ、ここは?」
「ふむ……見渡す限りの、見知らぬ景色。これはまたまた面妖な」
「師匠、あんたまたなんかやったの?」
「その物言いは誤解を招くぞ、我が一番弟子よ。まるで拙僧が、日頃からこのような怪事を起こして回っているかのようではないか」
「似たようなもんだろ」
「ええと、お坊様……これ、あなたの仕業なんですか」
「娘御よ。それは大いなる誤解と言うものだ」
「そうですよね! すみ、すみません!」
「あーあー師匠、女を泣ーかしたー」
「誤解を招く物言いは止せと言っておるに」
「言い争っていても仕方ありませんわ……いかがでしょう。何かの魔術という可能性もあるのでしょうか?」
「何かと言われてもな……なんの情報もないこの段階では、何一つさっぱり分からんよ。ただ……」
「ただ?」
「魔力、ゼーンゼン感じないから、ちがうんじゃない? てか、ここどこなんだろ。うーん……うん、わかんないや!」
『もうちょっと考えてみなよ……2秒で諦めてないで……』
「だってほんとにわかんないんだもん、君も同じでしょー?」
『それはそうだけどさ……』
「まあ、あなた様も魔術師なので?」
「死霊術師、だけどねー。わ、すご。本物のお嬢様。始めてみた。写メ撮っとこ」
「お高いですわよ」
「そもそも『写メ』とは何なんだ」
「え」「え」「え」
「青年よ、流行りに疎いのは良いことではないぞ。よろしい、拙僧がご指南いたそう! そもそも『しゃめ』とは! 時を3500年ほど遡るが!」
「軽々しく嘘つくんじゃねえよ糞坊主」
「いやいや、拙僧は嘘はつかんよ。冗談は好きだがね」
『――ass hole<悪し>。空腹だ』
「ひゃあ!?」
「まあ……随分と大きなオートマタですわね」
『オートマタ……またはオートマトンは、主に12世紀から19世紀にかけてヨーロッパ等で作られた機械人形ないしは自動人形のこと。引用:Wikipedia』
「へー勉強になるー!」
『俺はその定義に当てはまらない。よって俺をオートマタと呼称するのは適当ではない』
「あら、そうでしたのですね……これは失礼いたしましたわ。それでは、いかがお呼びすれば……」
『俺の名は』
「そんなことより機械人形さんよお。抜身の刀……刀だよなそれ? なんかすげえ光ってるけど。まあいいや、とにかくそれ、あぶねえからしまってくれよ」
『……それはできない』
「なんでだよ」
『俺は現在、正体不明の敵と交戦中だからだ』
「み……皆さん! あれを、あれを見てください!」
「いかがした娘御……ほう、これはこれは」
「何あれ?」
「やれやれ……どう見ても、お友達になりにきたって感じではないな」
「そのようですわね。ふふ、こんなところでも踏んでさしあげるべき相手に巡り合ってしまうとは……因果なことですわね……」
「やはり踏むのか」
「当然ですわ」
「わー、やっぱりお嬢様だ」
『君のお嬢様観、すごく歪んでると思う』
「あの! 皆さん! 今はそんなことを言ってる場合ではないと思うんですが!」
「そうさな、ここは皆で迎え撃つ算段を整えるべきであろう」
「え!? 師匠マジかよ。あんたのことだから『拙僧一人で十分!』とか言い出すと思ったのに」
「いやなに、それでも良かったのだが……見たところ、ここにいる皆が一騎当千どころではない強者<つわもの>ばかりのようでな。ならば、拙僧ばかり馳走を頂くのは贅がすぎるというもの」
『相手は極めて多数。戦術的にも、協力して敵性存在に当たるのが妥当な判断だ』

「そのとおり! 力を合わせ、我が世界を救ってくだされ!」
「「「「「「「「その声は……服部半蔵さん!?」」」」」」」」
「然り!」

「突如、この世界に呼び立てて申し訳ござらん! だが、未知の病魔に侵され、滅亡の危機に扮しておるこの世界を救えるのは、お主らしかおらぬと考えた末のことなのだ!」
「病魔って……今迫ってきているアレのことかよ?」
「頭にツノ……全身黒尽くめ……三叉の槍……」
「わー、すっごいビョーマっぽい」
『そうかな?』
「なるほど、つまり私達はアレと戦うためにあんたに召喚された、という訳か」
「まあ」
「話が早くて助かり申す! 奴らがここへ攻め込んでくるまで時間がござらんし、文字数も『1000字程度』の倍に膨らみかけておる!」
「文字数?」
「何だ知らんのか我が弟子よ! では拙僧が教えてしんぜよう! そもそも『もじすう』とは! 今を遡ること300年前!」
「そういうのもういいよおじさん」
「お、おじさん……!? 今、拙僧のことをおじさんと呼ばれたか……!?」
「おーすげー、あの糞坊主がダメージ受けてやがる。やるじゃんあんた」
「へへー、そうでしょ」
『あんまり褒めないでください。すぐ調子に乗っちゃうんで』
「えー? そんなことないよーだ」
『あるよ、ほら、この間だって』
「皆様、今はそんなことをなさっている場合ではございませんわ」
「そのとおりだ。奴らが迫ってくるまでに、作戦の一つでも立てたほうがいい。そうだな……皆、何が出来る?」
「武術を少々」
「同じく」
「死霊術と、他にもいろいろ使えるよー!」
『もう死んでいるので死にません。あと彼女を乗せて走れます』
「み、美留禰子<みるねこ>流剣術を修めています……」
『neon-shade-style<シンカゲ・スタイル>だ。やはりお前も剣士か。事が終われば立ち会ってみたいものだ』
「え、ええええ!?」
「ふふ……わたくしは」
「ああ、あんたは良く知っているから別にいいぞ」
「――――!」
「あー、兄さんあんた、お嬢様泣かせたねー!」
「ウエー、それない。ないと思う」
「な! ご、誤解だ! 私は、この非常時に効率を優先させただけで、決して、その、彼女をないがしろにしたわけでは!」

「ふむ、皆の衆……どうやら戯言は終いのようだぞ」
「そのようですわね。奴らが、こちらへお越しになりはじめましたわ」
「おお……恐るべき姿……まさに邪悪そのものでござる……」

「……ご心配には及びませんわ、ニンジャ・マスター殿」
「そ、そのとおりだ」
「ああ、そうだな。正直、俺と師匠だけでもお釣りがくるってもんだぜ。なあ?」
「あまり油断するでないぞ、我が弟子よ」
「わ、私も頑張ります……」
『俺の戦力評価では、1対0.92でこちらが有利だ』
「うわー、なんかすっごい盛り上がってきた! あ、そうだ! 終わったらみんなで写真撮ろう写真!」
『のんきだなあ……』

「ふふ。さあ、いらっしゃい病魔どの。打ち倒し、這いつくばらせ……踏んでさしあげますわ」


【つづかない】

◇いじょうです◇

そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ