amiをつくる#3:アメリカでの成功事例
ユーザベースの佐久間です。
この秋に「ami」という「起業家とサポーターがつながるライブアプリ」をリリースします。そのサービスをつくる経緯について書きます。
前回、スタートアップの最大の課題とは、「ストーリーを語り、ビジョンに共感する人とのつながりをつくり、その共感を育ててサポーターを増やすこと」ではないか、という想いについて書きました。
その課題の解決に貢献している、ProductHuntという米国のサービスがあります。
このサービスは、起業家と応援するサポーターが「線でつながる」ことを実現しています。SimilarWebによると、過去6ヶ月間で800万人以上が訪問している人気サービスです。
このサービスを知ったとき、その世界観に感動し、そして悔しくなりました。なぜ日本にこのようなサービスがないのか。なぜ我々はまだこのようなサービスをつくっていないのか。
我々がamiをつくる上で、もっとも刺激を受けたサービス、ProductHuntについてご紹介します。
ProductHuntが実現する、ストーリーを共有する世界
ProductHuntでは、様々な新しいプロダクト(スタートアッププロダクトが多い)が日々紹介されます。
そして、その新しいプロダクトそれぞれに専用のページが作られ、その中で、プロダクトを開発した人(起業家が多い)とプロダクトを使ってみた人が直接やり取りすることができます。下の画像はNewsPicks(USA版)のProductHuntページのスクリーンショットです。
プロダクトのページの中で、なんと、実際にプロダクトをつくった人が、活発に質問に応えたり、どういう想いでプロダクトをつくったのかをユーザーに直接語っています。
NewsPicks USAのCEO、Ianが質問へ直接回答し、NewsPicksの目指す世界について語っているスクリーンショットです。
起業家やプロダクトをつくった人(ProductHuntではMAKERと呼びます)とユーザーとのやり取りから、起業家の人物像が浮かび上がります。
インタビュー記事のような点の出会いではなく、継続的なやり取り、すなわち「線のつながり」を通じて、起業家がどういう人で、何を目指しているのか、その原動力はなにか、というようなことがしっかり伝わってきます。
誠実にユーザーとやり取りし、良いアイデアはスピーディーにプロダクトに反映させる。そんな起業家はもちろん応援したくなります。
さらに、フィードバックを通じてプロダクトづくりに関わったユーザーは、企業とユーザーが分かれているという感覚がなくなり、
「一緒にプロダクトをつくり、ビジョンの実現を目指す」
というストーリーを共有する仲間になります。
ユーザーと、ストーリーを共有する仲間になる世界。
ProductHuntはそんな世界を実現しています。
ユーザーとのオープンなやり取りが資金調達を生む
ProductHuntで支持を得たプロダクトは、資金調達を成功させ、挑戦を加速させていきます。
プロダクトにUPVOTE(いいね)できるのですが、それが多く集まると、ベンチャーキャピタルなどの目にとまって資金調達につながるそうです。
私自身、ユーザベースの中でスタートアップへ投資した経験がありますが、ユーザーとのやり取りがオープンになっていると非常に投資がしやすい。
ユーザーとの真摯なやり取りでプロダクトを磨いているスタートアップの成功確度は間違いなく高いからです。通常はユーザーヒアリングを重ねたりしてそれを見極めていきますが、ProductHuntではそれが最初からオープンになっている。
ユーザーとのやり取りをオープン化することにより、ProductHuntは資金調達のプラットフォームにもなっています。
スタートアップの成長過程がオープンになり、新たな挑戦が生まれる
ユーザーとのプロダクトフィードバックのやり取りは、スタートアップの成長の過程そのものです。従って、ProductHuntはスタートアップの成長の過程をオープンにしているとも言えます。
実際、ProductHuntを見ていると、起業家のリアルなチャレンジの姿に触れることができ、「自分でも同じ様に挑戦できるのではないか」という想いが湧いてきます。わくわくしてきます。
特に、フィードバックを通じてプロダクトづくりに参加したユーザーは、よりリアルにスタートアップの挑戦に触れ、挑戦を疑似体験したとすら言えるかもしれません。その中から新たな挑戦者が生まれてくることは、もはや必然ではないかとすら思います。
また、既存のプロダクトの中でまだユーザーが満足していないポイントを見つけることもできます。それは、「新たな挑戦の種」になり、新たなプロダクトを生んでいくでしょう。
ProductHuntはスタートアップの成長過程をオープンにしている。そして、そこから新たな挑戦がたくさん生まれていく。ProductHuntは挑戦のプラットフォームにもなっています。
そしてライブアプリへ
ProductHuntが大好きすぎて、つい長く書いてしまいました。
ProductHunt最高。そして悔しい。
「ストーリーを語り、ビジョンに共感する人とのつながりをつくり、その共感を育ててサポーターを増やすこと」
これがスタートアップ最大の課題であり、その解決を加速するサービスをつくりたいと思っている我々にとって、ProductHuntは大きな刺激をくれています。
これまでの流れだと、「なぜamiはライブアプリなのか?」という疑問が当然湧いてくると思います。次回は、そのことについて、我々がなぜライブアプリという手段を選んだのか、ということについて書きます。
前回、「次回はFORCASについて書きます」と書いて、結局、ProductHuntについて書いたので、また書くテーマが変わるかもしれません。。