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関連図「心筋梗塞」

今回のテーマは心筋梗塞です。
生活習慣病が騒がれている現代社会なので心筋梗塞も増えています。
しっかりまとめて行きましょう。

[ポイント]
心臓は絶え間なく拍動している。その心臓のポンプ作用の基になっているのは心筋細胞の収縮である。
そのエネルギーは、心臓に栄養と酸素を届 けている血管である冠動脈(冠状動脈)によって供給されている。 加齢によってこの冠動脈に動脈硬化が生じると、血管の内腔が狭く小さくなり(狭小化)、血の流れが悪くなっていく。
その結果、心筋虚血(血液が足りない状態)となる。この障害が可逆的な(もとの状態にもどったり悪化したりする)場合は、短時間(数分)の胸痛が生じる。これが狭心症である。
しかし、完全に血行が途絶え、心筋細胞が壊死(細胞が死亡した状態)してしまうと、急性心筋梗塞症と呼ばれる状態になる。
心筋梗塞の原因となった冠動脈には血液の凝血塊(血のかたまり。血栓ともいう)が高い確率で存在すること、さらにその部位では、動脈硬化し た部分をおおっている膜に亀裂が生じている。
組織に亀裂があると修復しようと、血小板をはじめとして、血液に含まれる凝固系(血を 固まらせる)成分がたくさん集まってくる。
その結果、過剰な反応が生じることにより血栓が大きく成長し、完全閉塞となる。
血栓形成の程度が軽い場合は、症状が現われることなく修復されるため、無症候性の動脈硬化となる。しかし中等度の血栓の場合は、血管が不完全に閉塞して狭心症をおこし、完全に閉塞すれば急性心筋梗塞症を発症することになる。

[症状]
心筋梗塞の発作は狭心症とほぼ同じような場所に現れるが、狭心症発作とは比較にならないくらいの胸痛に襲われる。
よく言われるのが「火箸で刺されたような」「石で胸が潰されたような」「胸の中をえぐられるような」に例えられる強烈な痛みで、死の恐怖を感じることもある。冷や汗が出たり、呼吸困難になったり、場合によっては意識を失う事もある。
心筋梗塞の発作は持続時間が長いのも特徴である。狭心症発作は安静にすると治まるが、心筋梗塞は最低でも30分以上は強烈な痛みが続く。冠動脈が詰まってしまっているため、冠動脈拡張薬のニトログリセリンを使用しても効果がない。発作が始まるとすぐに心筋の壊死が始まる。 胸痛は発症から数時間経過すると次第に治まってくるが、これは心筋梗塞が治ったわけではなく、心筋や神経が壊死して痛みがわからなくなったためである。
心筋が壊死範囲が拡がると、心臓のポンプ機能が低下して心不全に移行するため強い息切れや呼吸困難、血圧低下が起こり最悪の場合、死に至る事もある。
さらに、合併症として、心原性ショック、不整脈、心破裂、心室瘤などがあり注意が必要。

[治療]
①手術療法
心筋梗塞をおこした部位の大きさを縮小させることが長期予後(治療後の状態)の改善につながる。そのため、できるだけ早いうちに閉塞した冠 動脈を再開通(再灌流療法)させることが急性期の治療目標となる。
発症後 6 時間までに実施すると梗塞のサイズの縮小が期待できるため、原則として、発症後 6 時間以内であれば冠動脈内の血栓を溶かすこと(冠 動脈内血栓溶解療法:ICT)を中心とした再灌流療法が実施される。 ICTとPTCA(経皮的冠動脈形成術、いわゆる風船療法)は、ともに閉塞血管を再開通させる治療法である。
急性心筋梗塞症については、早 いうちに、閉塞した血管の再灌流を始める方が予後が良いため、施設によって最も早く再開通できる方法が選ばれる。 ICTを第 1 選択として不成功に終わった場合、PTCAを追加することが可能である。出血する危険がある場合には、PTCAが選択される。

②薬物療法 (抗血栓薬治療)
ICTまたはPTCAが終わると、抗血小板療法と抗凝血療法が実施される。これらは薬物療法で、抗血小板薬と抗凝血薬(両者 を合わせて抗血栓薬という)が使われる。 抗血小板薬としてよく使われているのはアスピリンである。抗凝血薬としてはヘパリンが使われる。

[その他]
高齢者の心筋梗塞症は、何の症状もなく、知らないうちになっていることがある。ふだん経験したことがない胸部から上半身の不快感が続く場合は、それが痛いものでなくとも、放置せず、速やかにかかりつけの医師に相談する必要がある。 心筋梗塞の治療は、安静、酸素吸入、鎮痛などの一般的な処置に加え、初期には救命が大きな目的となる。初期の死亡原因の大部分は、致命的な 不整脈(心室細動)によるものである。できるだけ早く病院へ収容してもらうことが大切である

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