マガジンのカバー画像

未来人の僕(回顧録)

22
ベンチャー企業から、一代で世界的な大企 業へと育てた男、坂上ケンタ。 坂上ケンタの生い立ちは謎に満ちていた。 彼の死後、パソコンから、厳重に暗号化さ れたファイルが見つかった。 …
運営しているクリエイター

#21世紀

『未来人の僕(回顧録)』

                   テール  この物語はフィクションです。 物語に登場する人物及び団体は架 空のものです。実在の人物および 団体とは一切関係ありません。 登場人物 〇坂上ケンタ  未来人。本編の主人公。西暦2325 の未来から、西暦2025年の現代へ 来たタイムトラベラー。 年齢27歳。将来の事業の成功を夢 見る若者。 〇井上綾香  坂上のベンチャー企業に入社し てきた女性。 自動おむつ試作品の開発を坂上と 共同で行う。坂上から試作品の着 用をお願いさ

人類は3種類の人間に分かれた #06

 僕は原口に聞いた。 「ところで、何で、君はこんなに 僕に親切にしてくれるんだ?」 「前にも言ったが、電脳世界で俺 がやってきた事を誰にも喋らない でくれたら、それでいいのさ。  もし、仮に君が、この世界で成 功したら、後でお返しをしてくれ たら、それでいい。 まあ。期待はしないがな」 「俺は、これで帰るよ。何かあっ たら、呼んでくれ。アレクサに話 掛ければ、すぐに俺につながる」  そういうと、原口は去って行っ た。  原口の話では、AIによって、 人々の暮らしは支配さ

第二章 21世紀へ #01

 僕は、新たな希望と夢に燃えて、 新天地の21世紀へ旅立つことにし た。  タイムトラベルは、時間旅行客 だけのものではない。  遠い過去の時代に行われた刑罰 の「島流し」と同じような意味合 いで、人口抑制という名のもと、 囚人も過去の世界へ飛ばされてい た。  日本人の場合は縄文時代とか、 罪の重さに比例して、遥か過去の 時代に飛ばされた。  この場合は、もちろん、片道キッ プという、時間旅行となる。  しかし、もの好きな連中の中には、 自ら進んで、片道切符の時間旅行

21世紀へ #02

 来週には、21世紀の世界に居る のかと思いながら、代理店をあと にした。  一週間が過ぎて、いよいよ、 21世紀へ旅経つときが来た。  この世界から、タイムトラベル する場合は、タイムポートへ行く。  タイムポートはタイムマシンが 設置してある建屋で、人々はそこ から、過去へと旅立っていく。  タイムポートの建屋に入ると、 タイム通関のコーナーへ向かった。  タイム通関とは、旅行者がこの 世界から過去へ旅立つ資格がある かどうか、検査する機関である。  タイムマシ