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未来人の僕(回顧録)

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ベンチャー企業から、一代で世界的な大企 業へと育てた男、坂上ケンタ。 坂上ケンタの生い立ちは謎に満ちていた。 彼の死後、パソコンから、厳重に暗号化さ れたファイルが見つかった。 …
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『未来人の僕(回顧録)』

                   テール  この物語はフィクションです。 物語に登場する人物及び団体は架 空のものです。実在の人物および 団体とは一切関係ありません。 登場人物 〇坂上ケンタ  未来人。本編の主人公。西暦2325 の未来から、西暦2025年の現代へ 来たタイムトラベラー。 年齢27歳。将来の事業の成功を夢 見る若者。 〇井上綾香  坂上のベンチャー企業に入社し てきた女性。 自動おむつ試作品の開発を坂上と 共同で行う。坂上から試作品の着 用をお願いさ

人類は3種類の人間に分かれた #01

テール  この物語はフィクションです。 物語に登場する人物及び団体は架 空のものです。実在の人物および 団体とは一切関係ありません。 プロローグ 第一章  人類は3種類の人間に分かれた #01  これから書いていく内容は、僕、 坂上ケンタの人生の回顧録だ。  記述内容に、嘘偽りは一切ない。  この回顧録は誰にも公開されな い。 僕が生きた、「あかし」として、 残してお

人類は3種類の人間に分かれた #03

 原口は、続けた。 「君たちはAIが作り出した、電 脳人なんだよ。 本物の世界を見 たくはないかね?」  本物の世界か……。思いもよら ない原口の話に、僕の思考は停止 した。この世界が本物の世界では ないとするなら、僕の一生は何な んだ?  ふざけるんじゃない。僕は僕だ。 自分の人生は、作られた人生だと いうのか?  AIとかいう、機械に作られた 人生なのか? いやだ! そんな 人生はまっぴらだ。  僕はすがるように、原口に聞い た。 「本物の世界に行けるのか?」 「

人類は3種類の人間に分かれた #04

 明日からは、実世界の坂上ケン タだ。心機一転、実世界でのし上 がってやる。  目覚めると、カプセルの中にい た。自分の手を見るといつもの見 慣れた手ではなかった。体は手術 着のようなものを着ている。  自分の入っているカプセルを覗 き込んでいる、二人の人間がいる。  一人は、原口で、もう一人は見 知らぬ人間だ。  カプセルのフタが自動的に開い た。僕は半身を起こした。あらた めて自分の体を確認すると、いつ もの見慣れた体ではなかった。 「やあ、目覚めたか」原口が僕に

人類は3種類の人間に分かれた #05

 通りへ出ると、何人かの人間が 歩いていた。  その服装をよく見ると、何か変 だ。  男性も女性も、なんか、下半身 が膨らんでいるように見える。  そういえば、手術着のようなも のから、普段の服に着替えるとき、 パンツが少し膨らんでいるように 感じた。 ズボンをはいたが、パンツに違和 感がある。  街を歩いている人の中には、ズ ボンやスカートを履かないで、パ ンツのまま歩いている人がいる。 男性に限らず、女性もだ。  僕は思わず、歩いている人を指 差した。 「あの人見て

第二章 21世紀へ #01

 僕は、新たな希望と夢に燃えて、 新天地の21世紀へ旅立つことにし た。  タイムトラベルは、時間旅行客 だけのものではない。  遠い過去の時代に行われた刑罰 の「島流し」と同じような意味合 いで、人口抑制という名のもと、 囚人も過去の世界へ飛ばされてい た。  日本人の場合は縄文時代とか、 罪の重さに比例して、遥か過去の 時代に飛ばされた。  この場合は、もちろん、片道キッ プという、時間旅行となる。  しかし、もの好きな連中の中には、 自ら進んで、片道切符の時間旅行