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Tailor Platformというプロダクトの狙い

こんにちは、Tailor (YC S22)代表の柴田です。
今回は、Tailor Platformという当社のメインのプロダクトについて、概要と将来構想をご紹介できればと思います。

Tailor Platformを一行でいうと"Headless ERP for Enterprises"で、要するにエンタープライズ(当社では3,000人以上の大企業と定義しています)で使われる基幹システムをHeadless形式で提供するプロダクトです。

Headlessとは?

Headlessとは、コンピューター用語で「画面のない」「GUI(Graphical UI)の備わっていない」という意味の、顔(Head)のない(-less)という語源からくる用語です。通常は、ユーザーが使うアプリケーションの裏側に、部品として組み込んで使用します。

有名なHeadlessプロダクトとしては、Stripe(決済のバックエンドを提供するAPI)や、Twillio(SMS等のメッセージングを提供するAPI)、Sendgrid(eメールの送信や送付先リストを管理するAPI)、Contentful(wordpressのようなCMSをAPIで提供する製品)などが、Headlessプロダクトと言えると思います。ソフトウェアが高度化・重層化する中で非常に伸びている分野で、Tailorが参加するYコンビネーター(米国のアクセラレーター)Summer 2022バッチにも多数のHeadless製品のスタートアップが参加しています。

ユーザーに直接触れるものではないので、Webプロダクトの開発に携わる人でないとイメージしづらいかもしれませんが、ざっくりというと、下図のように最終アプリケーション(ユーザーが直接操作するもの)と、AWS等のクラウドサーバーの中間に位置します。


テイラーメイドの業務システムをかんたんに

国内エンタープライズにおけるERP(販売管理)システムの設計別構成比; 矢野経済研究所のデータをもとに当社作成

大企業になるほど、業務システムに求める要件が複雑になり、既存のSaaSでは満たせない要件が出てきます。日本企業においては特に個社ごとに業務プロセスの独自性が強いイメージがありますが、米Amazonに人事ERP大手のWorkdayを導入しようとしたら失敗した例などが象徴するように、これは国内企業に限らず普遍的な大企業の傾向でもあります。

規模が大きいからこそ、細かいカスタマイズをすることの投資対効果が合うとも言えるでしょう。(システムを改修するコストは一定ですが、効果は社員数などの規模に比例します)

一方で、個社ごとのカスタマイズが必要と言っても、あらゆる面で異なるわけではなく、むしろ8割方は同じような機能が必要になり、これらを各社バラバラにゼロから構築することは、社会全体からみると重複投資になります。ただでさえIT人材不足が日本の競争力問題に直結する中で、重複した機能を共通化して提供することは大きな社会問題の解決につながります。そこで節約されたエンジニアリングリソースを、他の、重要で唯一無二な問題の解決に投入できるからです。

そこで、Tailor Platformが目指すのが、様々な企業で共通している基礎的な部分や共通の部品などを、予め用意した基盤です。
求める機能のうち、個別にカスタマイズが必要な部分だけを開発し、Tailor Platformで提供されているものはTailor PlatformのAPIを呼び出せば、限りあるエンジニアリングリソースを本当に必要な部分にだけ集中することができます。
特にビジネス側に要件のこだわりが強い、画面や権限、入力インターフェイスなどのフロントエンド部分については、完全に自由に作ることができるため、セキュアで使いやすい業務アプリケーションを実現することができます。

加えて、企業内の様々な工程でSaaSの利用が増える中(最近の統計によれば、大企業1社あたり平均で150個ものSaaSが利用されています)、基幹システムをAPI化することで、SaaSと基幹システムの連携をかんたんにし、SaaSが基幹システムから情報を引っ張ってこれるようにするなど、情報を二重三重に入力する手間を削減したりすることも可能です。

なぜテイラーはこのような製品を作りたいのか?

プロダクトづくりの難しい部分をかんたん化し、誰もがプロダクトづくりに参加できる世界をつくる。これが、テイラーが実現したい世界です。

建物も、目に見える壁紙や家具は素人でも直感的に理解しやすいですが、基礎や躯体(壁や柱)、配管がどうなっているのか、どこがどのように相互に影響しているのかを理解するのは難しいですよね。
システムも、目に見えるUIやデザインより、その裏側を支えているバックエンド(サーバーサイド)のほうが、素人にとっては理解しにくいものです。その複雑さ、相互に絡み合っている様は、実際にプログラミングをしたことがないと理解できないでしょう。
逆に、こうした難しいバックエンドを、標準化することで複雑さをカプセルの中に閉じ込めて、部品単位のふるまいを理解すれば、システムの構造を理解しやすくすることができます。

ビジネス側にとっては、システムがブラックボックス化(ベンダーロックインにつながる)することでシステムが"手に負えなくなる"ような状況を防ぐことができますし、エンジニアたち作り手にとっても、相互の前提知識不足からくる非生産的・抽象的な議論を減らし、回り道の少ない建設的コミュニケーションを可能にします。

これにより、PM(プロダクトマネージャー)やビジネス側にとってのシステムの透明性を高め、プロダクトづくりに参加しやすくする、というのが当面のプランです。

長期的には、業務システムのバックエンドだけでなく、基本的なツール類であれば、誰もがプロダクトを作れるようになる世界をつくりたいと考えています。いまわたしたちが、簡単な個人サイトやキャンペーンページであればエンジニアの手を借りずにWebサイトをリリースできるように、似たようなことがシステムの世界でもできるようになると考えています。

プロダクトづくりの民主化というミッションに共感していただける方、ぜひ一緒にこのムーブメントに参加しましょう。

さいごに(採用の宣伝)

テイラーは、エンタープライズ向けに、テイラーメイドの基幹業務システムを10倍速で開発できる開発基盤「Tailor Platform」を開発しており、YC参加を契機に、グローバルな製品やOSSとの連携を強めて世界に通用するプロダクトを構築する過程にあります。

エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー、事業開発、コーポレート系などすべてのポジションで採用を行っております。転職意向のある方は採用チームへのコンタクトを、情報だけフォローしておきたいという方はTwitterPodcastNoteのフォローをよろしくお願いいたします。

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