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どうせ死ぬのに、なぜ頑張る必要があるのか

僕は大学生の頃に、「どうせ死ぬのだから、頑張っても、頑張らなくても結果は同じだ」と、何でもかんでもやらない理由を探す“虚無主義”な人間になっている時期がありました。

「東京で経営者になり、成功してやる」と上京したものの、経営どころかバイトすらうまくできずクビになり、自暴自棄になっていたんです。

人間関係を築くのも下手くそで、友達ができない。学校に行くことさえ億劫になり、布団の中で一日中過ごす…なんてこともありました。

でも、とあるきっかけから人生に希望を持てるようになり、“半うつ状態”を抜け出せました。

そして、そのきっかけもまた虚無主義でした。

この記事では、虚無主義というキーワードを手がかりに、「どうせ死ぬのに、なぜ頑張る必要があるのか?」を考えていきます。

絶望して生きることに、なんの意味もない

人間が絶望するのは、理想や希望を持つからです。「こうあるべき」にとらわれてしまうから、そうあれない自分に絶望するのです。

たとえば、親戚全員が東京大学に進学していた家族があるとします。あなただけが、東京大学に進学できませんでした。

きっとあなたは落ち込むでしょう。「僕だけ東大に合格できず、恥ずべきことだ」「東大に合格すれば成功できるのに」と、自分を責めるかもしれません。人はみな、「こうあるべき」の基準が、自分自身ではなく環境に左右されてしまうのです。

でも、死んだらみんな同じです。東京大学に進学しても、世の中的な成功を成し遂げても、たくさんの人に評価されても、最後は死にます。栄華は続かないのです。

帰結点は一緒なのだから、何を達成しようが、偉くもなければ立派でもありません。成し遂げたことに、上も下もありません。

お金を稼いだ人が偉く感じるかもしれませんし、多くの命を救った人が立派に感じるかもしれませんが、それはあくまで世間がつくった幻想です。

世界を変えたアップル社をつくったことと、ネイルが上手に塗れることに、本当は差はありません。そもそも、長い人類の歴史で考えれば、私たちが生まれたことは誤差なのです(もちろんアップル社が経済界において偉大な会社である事実を否定しているわけではないです。あくまで人の幸せについて考えると、本質的には変わらないという話です)。

だから、うまくいかないことがあっても、落ち込む必要は全くありません。成功しようが、成功しまいが、なんだっていいのです。

このように、理想や価値を喪失した無意味な状態を指す世界観が、虚無主義(=ニヒリズム)。虚無主義は、「こうあるべき」にとらわれて絶望してしまった状態を抜け出すための対処法として非常に優秀な考え方です。

僕は虚無主義を知ってから、絶望して生きることの無意味さを知りました。

親友と大喧嘩して絶縁されたことも、コンビニのアルバイトをクビになったことも、友達がいなく学校に行くのが嫌になったことも、どうでもいいことに思えました。それが、半うつ状態から脱出できたきっかけです。

どうせ死ぬのに、なぜ頑張る必要があるのか

ただ虚無主義を受け入れたと同時に、「なんで生きているんだっけ?」という疑問も浮かぶようになりました。

理想を掲げることも、頑張ることも、世の中に価値を出すことにも、全てのことに意味がない。じゃあ、なにゆえ僕は生きているのだろうと考えるようになったのです。

そこで僕は、人間は二種類の生き方に分けられると結論づけました。ひとつは「全ての行為には意味ないんだ」とシニカルに生きるタイプ。もうひとつは、「どうせ意味がないなら、失敗することにも意味はない。だから、失敗を恐れず自分の幸せを追求してみよう」と積極的に生きるタイプです。

そして僕は、後者のスタンスを取ることにしました。シニカルに生きるより、幸せを追い続ける人生の方が楽しいと思ったからです。(この生き方は専門的に「積極的虚無主義」というそうです)。

積極的虚無主義の考えに従えば、失敗も無意味なので、挑戦することには何のリスクもありません。また成功に向けてあくせくすることは、その過程自体が非常にポジティブなもの。

つまり「どうせ無意味に回り続ける人生なら、楽しいことを一生懸命やろうぜ!」ってことです。どうせ死ぬんだから、「今日も楽しかった」と胸を張って死ねるように、毎日を必死にポジティブに生きたほうがいい。

「どうせ死ぬのに、なぜ頑張る必要があるのか」ではなく、「どうせ死ぬから、頑張って生きればいい」のです。

積極的虚無主義を受け入れたことで、逆説的に頑張る気力が湧いてきました。どうせ死ぬなら、自分の幸せを追求してみたい。もし失敗して滑稽な姿を晒しても、どうせ死ぬから関係ない。そうやって、いい意味で開き直ることができました。

消極的虚無主義で生きていると、絶望せずに済みますが、人生を彩るプラスの感情まで否定してしまうことにります。でも、積極的虚無主義で生きることができれば、失敗を「どうってことないものだ」と遠ざけ、なおかつ思いっきり挑戦する過程と、それによって得られる達成を手にすることができる。

コケてもいいけど、コケまいと必死に走ることは素晴らしく、コケずに走り抜けられたら最高です。そんな経験を信じる仲間たちと共にできるのなら、それ以上に幸せな人生なんてない。これが、僕がVAZを創業した理由の一つでもあります。

「今日も楽しかった」と胸を張って、死ぬために

僕は一度目の人生を生きていて、それもまだ29年間しか生きていません。

そんな短い人生の中でも、得た教訓があります。自分が正しいと信じることや、誰かの役に立つこと、社会にインパクトを与えることに“本気で”挑むと、幸せな人生が過ごせるということです。

疾走感があり、高揚感があり、幸福感があり、毎日に生きる意味を見出せるのです。——たとえそれが、本来的には無意味であったとしても。

よく「失敗を恐れて行動しないより、挑戦して失敗する方がいい」という声を聞きますが、その背景には積極的虚無主義があると考えれば、スッと腹落ちするのではないかと思います。

(積極的ニヒリズムとは)現実の虚無を自覚し、それに覆いをしたり、それから逃げたりするのではなく、むしろそれを徹底的かつ積極的に受容することによって、克服することです。

アッチの世界なんてない、あるのはコッチの世界ただひとつであり、この世界に最終的な目的などなく、とめどなく無意味にまわり続ける世界(永劫回帰)しかないと自覚することです。

ハムスターの回し車のような無意味な回転が人生であり、それに対して最大級の“Ja(ヤー、独語のYES)”を贈りつつ、時に仮象(イデア)を仮象と知りながら敢えてそれに乗るフリをして楽しむギリシャ的遊戯。

それがニーチェの言うニヒリズムであり、そこには何らネガティブな要素はありません。—— ニーチェの積極的ニヒリズム

僕が大好きなスヌーピーは「You play with the cards you’re dealt …whatever that means. (配られたカードで勝負するしかないのさ…..それがどういう意味であれ)」という名言を残しています。

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ときにコンプレックスを恨みたくもなるけど、嘆いていても人生が好転する可能性は1%もありません。「一瞬一瞬を一所懸命生きる」と決めたその日から、人は生きる意味を自分で定義することができます。

生きているだけで大変なことはあれど、それは一側面でしかなく、見方を変えるだけでいくらでも幸福になれる。どうせ死ぬから、頑張れるんだよ。


編集協力:モメンタム・ホース

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エンターテイメントとインフルエンサーマーケティングの未来を創る株式会社VAZ代表取締役社長。アジアを代表する30歳以下のリーダー「Forbes Asia Under30」Media, Marketing & Advertising 部門選出。

コメント6件

「どうせ死ぬのに、なぜ頑張る必要があるのか」
木を見て森を見ず、ということですね。頑張ったら人類がどうなるのか、子孫がどうなるのか、わかるはず。要するに、自分のことしか考えていないということだと思います。
死ぬ事以外かすり傷的な本の事を思い出しました。
名越康文さんの本に「どうせ死ぬのになぜ生きるのか」という本がありました。http://pleetm.hatenablog.com/entry/2015/08/17/155709
個人的には、無意味な楽しみを積み重ねて、それで胸を張って死ねる気はしません。というか、それで納得して死ねるとは思いません。ですが、無意味な幸せに満足して死んでいけると思っている種の人びとは割といるように見えます。実際、人間にはそれが可能なのでしょうか。もし人間が生きることの意味を求める存在だとしたならば、それはもしかしたら自己欺瞞なのではないでしょうか。
また、こういった思想は苦境にある人というか、生きることが現実的に苦しい人にとって救いにならないとも思います。なぜならこれは、生きることのよさを幸福感や楽しみのみに見出す考え方のように見えるからです。
たしかに、この考え方で納得する人も多いでしょうし、この記事で紹介されているニーチェの言うように「神は死んだ」、客観的な意味を唱えることが非常に困難である現代、これは有力な「ポジティブに生きる」ための選択肢なのでしょう。
しかし、少なくとも個人的には、これでは納得のいかない人も割といるのではないか、そしてそれは人として生きる以上自然なことなのではないか、と思います。
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