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昔、趣味で書いていた小説を読み返し、当時の感覚を楽しみながら、新しい感性も追加して再構…

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昔、趣味で書いていた小説を読み返し、当時の感覚を楽しみながら、新しい感性も追加して再構築していく予定です。 えびと鯛吉は我が家の猫で小説とは一切関係ありません。えび鯛の様子はインスタで: https://www.instagram.com/cat_taikichi

マガジン

  • 捨て忘れた色

    小説「捨て忘れた色」の散らばった各パーツをまとめたマガジン。 随時追加され、いずれ組み立てられて完成する予定

最近の記事

【小説】捨て忘れた色 「犠牲」

「捨て忘れた色」ベースシナリオのどこかに入る物語です。 犠牲 彼は10日ほどこの病院に入院していた。それも意識が戻ってから10回目の朝日を数えた、、というだけで、実際それ以上入院しているのかもしれない。今日が何曜日かも分かっていないし、今のところそれを確認する気力もなければ、必要もなかった。  今でも身体中に麻痺のような症状が痛みとともに出るため、時折足をひきづりながら病院の中を歩き回ってリハビリを続けていた。  ベッドの上で意識が戻った時、ちょうど院長が隣の椅子に座って

    • 【小説】捨て忘れた色 「回生」

      「捨て忘れた色」ベースシナリオのどこかに入る物語です。 回生 目覚めると、目の前に生き物の気配があった。ぼやけた視界から現れたのは小さく寝息を立てている女性である。私の左腕を枕に寝ている顔には黒髪が幾筋かのラインを描いており、彫刻のようにも見えた。  化粧気のない顔には不安のかけらもなく、規則正しく呼吸をしている。小麦色か、むしろ茶色に近い健康的な頬は白い枕に映え、穏やかな夢を連想させた。寝起きの良くない私でも、覚えず口元が緩んだ。  私はこの女性を知らない。  少し頭

      • 【小説】捨て忘れた色 「脱皮」

        「捨て忘れた色」ベースシナリオのどこかに入る物語です。 脱皮 私は様々な生死を見てきました。同じ街にいるからこそ見える生死というものは時に残酷で、時に安心もするものです。別に好きでここにいるわけではありませんが、特に移動する理由もなく、また場所を移るとなると面倒なこともあるので、大きな転機が私を襲って、この地を押し出されるまではここでくつろぐつもりでいます。チビチビと楽しみもあるもので、、、ね。  先ほど私は生死を見てきたと言いましたが、正確に言うと生から死に移る場面を見

        • 【小説】捨て忘れた色 「基点」

          「捨て忘れた色」ベースシナリオのどこかに入る物語です。 基点 ようやく住むアパートが決まり、生計を立てる、、というようなことをしてみようと考えていた私は、ある会社の入社試験を受けた。住むところを決めたのもその一環ではあるが、職に就くということも暮らしを営む一つの手段であるとは聞いていた。  程なく、、入社面接をするという連絡があり、着慣れないスーツを着てその会社に足を運んだ。指定されたビルに入って、館内の案内図にエレベータの位置を確認したが、通勤時間帯とずれているのかこの

        【小説】捨て忘れた色 「犠牲」

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        • 捨て忘れた色
          5本

        記事

          【小説】捨て忘れた色

          いくつかの世界を通して、生まれて、出会って、取引をしながら成長していく何人かの物語。見出し画像の猫は、小説の内容には全く関係ありません。 誕生 その建物からは真っ黒な煙が絶え間なく噴き出していた。煙突から、、ではなく建物全体から漏れ出ているらしいが、その煙で屋根の構造すら確認できない。私はその黒を右手に見やりながら、建物に沿って歩いていた。辺りは煙の所為か陽が暮れた所為か薄暗い。首筋には違和感があった。いつからか分からない。気付いた時には気になっていた。  ぼやけた視界に黒

          【小説】捨て忘れた色