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光遺伝学を用いたマウスの神経経済学研究の紹介

Kuwabara M, Kang N, Holy TE, Padoa-Schioppa C.
Neural mechanisms of economic choices in mice. Elife. 2020 Feb 25;9:e49669.

経済学的には、いわゆる2財の無差別曲線の接線の傾き(限界代替率)に関連する神経活動が脳のどこで生じているかの研究です。
オプトジェネティクスというテクニックを神経経済学(ニューロエコノミックス)に適用した論文の紹介です。

論文としては2020年にE-Lifeに出たマウスにおいてオプトジェネティクスでGABAという抑制性のニューロンを活性化してある神経回路をシャットダウンすると経済学的選択がどうなるかというものです。Padoa-Schioppaというもともと統計力学(Statistical Mechanics)が専門の方が著者に入っています。そのため経済学的な選択のデータなんですがいわゆるシグモイタルなモデルで逆温度とかがでてくるロジスティックな分析をしています。Orbitofrontal cortexの役割が経済学的選択においてどういうものかっていうのを調べるための研究になっています。
 研究手法のオプトジェネティクスっていうのは、本来は眼の機能をになうタンパクとして進化してきたものを調べたい神経回路に作り出すようにウイルスをツールとして脳内のある場所に感染させてやるという下準備をしてから、ある特殊な光を そこに当ててやって機能をオン・オフしてやるというものです。興味深い点はオプトジェネティクスス(光遺伝学)が経済学的研究として使われ始めている点です。ウイルスがちょっと余計な脳の部分にも感染してしまっている効果も分析しているので注意深い研究です。
  この論文ではサルの場合とマウスの場合の経済学的意思決定(選択)の際の神経情報処理の違いにも着目しています。

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